どのエリアでもスプーンさえあれば大丈夫! トーナメントでもスプーンオンリーを通してきた中山さんだが、プラグが良い場面は確実にあるという。その良い理由とは何だろうか? この記事ではその確信に迫る。
●文&写真:中村崇彦
Profile
杉山代悟(すぎやま・だいご)
ジャッカル・ティモンサポート。8歳からエリアトラウトを始め数々のトーナメントで腕を振るい、若くしてトップトーナメンターとして名を馳せる。遊漁船の船長(清水港ZEST)もこなす超実力派のアングラー。
矢島俊介(やじま・しゅんすけ)
ジャッカル・ティモンフィールドスタッフ。2022年トラウトキング選手権大会でマイスターを獲得したティモンの若きホープ。飽くなき探究心から生み出される独自のゲーム展開で、他者を常に一歩リードする。北関東をメインに日々ワザを磨き込み連覇を狙う。
エリア① 東山湖フィッシングエリア
HIGASHIYAMA-KO 静岡県御殿場市
住所:静岡県御殿場市東山1077
電話:0550-82-2161
営業時間:6:00~17:00(12/1~2/末)季節により変動
料金:A券(5:00~17:00、12/1~2/末は6:00~17:00)/5,500円など
主なレギュレーション:ルアー・フライのみ、ソフトルアー・ワーム禁止など…ほか詳細はオフィシャルサイトを参照。
東山湖の解説!
典型的なマッディエリア
杉山「水質はマッディで、寒くなるほど濁ります。規模は最大級。水深は場所にもよりますが、全体的には深めで平均3mくらい。魚も密度も濃いです。マッディというのがパワーワードで、動きやカラーなどの、いわゆる強いルアーが効く典型的なエリアだと思います」
共通パターン
ティアロ1.6g
まず釣って考える
杉山「カップが後方にあるのでゆっくり引いてもしっかりウォブリングします。濁っているのでスロー引きが大前提でカラーも派手め。エリアを問わず濁ったらコレですが、東山では誰でも使ってます。だからこそ1.3gと1.9gの出し所が大事になりますね」
矢島「ダイゴマシマシウズラ(写真)はダイゴ君のシークレットカラーで、マッディで釣れるすべての要素が入ってます。釣り切った感があってもこのカラーなら釣れるんですよ。何度もお世話になってますが、ついにリリースだと。もうどうしよう!?だよね(笑)」
共通フォローパターン①
ダートラン
ボトムでの繊細な食わせ
杉山「時期が早いと草もあるので、それを拾わないオリジナル(3.4g)が早い時期には好きで使ってますが、本命は季節が進行したとき。デジ巻きやバンプ、シェイクでボトムを切らずに、弱い横の動きで誘います」
共通フォローパターン②
タップダンサー
縦で誘ってボトムで食わせる
矢島「濁り切る前だと水温的にも高くて魚が散ってるので、リフト&フォールの縦の動きで誘えます。もっと季節が進めば、まずこれを投げて、触るけど食い切れないとなったらダートランにローテーションしますね」
東山湖攻略のヒント「絶対スプーンからのボトムフォロー」
エリア② 大芦川F&Cフィールドビレッジ
OASI-GAWA 栃木県鹿沼市
住所:栃木県鹿沼市下沢1037
電話:0289-63-5678
営業時間:7:00~17:00季節により変動
料金:1日券5,000円、半日券3,800円(いずれも大人男性)など
主なレギュレーション:シングルフック&バーブレス、1.8cm以下のスプーン禁止など
大芦川の解説!
勝てば名が立つ老舗
水質はクリア。対岸から8割のキャストでそこまで被ることはないので大規模かな。水深は浅くもなく深くもなく。魚影もそこまで多くはないけど少なくもなく、ただ、難しいイメージはあります。トーナメントフィールドとしても歴史があって、北関東の名門エリアですね。
共通パターン
ブリブリミノー
見られる前に反応させる
杉山「僕の中では魚が少ないイメージなので、必ずどこかに寄せる要素を入れるんですが、強い波動で寄せるのがブリブリミノー。放流の残りなんかを狙うことが多いです。正直これは矢島さんに教わりました(笑)」
矢島「クリアでルアーをよく見てます。でもあえて逆に強い方向に振ってみる。見る前に食わせるイメージで、動きのシルエットは小さいけど波動は強くて速さでごまかせる。このパターンで何度も表彰台に乗ってます」
共通パターン
パニクラDR
ボトムのスピードコール
杉山「ボトムでスピードを残して寄せられるクランクですが、いまテストしてるパニクラのDDRが出たらそっちがベストですね。カラーはティモンテスターの遠藤(肇)さんのカラー(エンド系)であれば間違いないです」
矢島「これもスピードで惑わせるタイプで、ボトムで使います。ブレイクまで追わせて食わせる。大芦川ではスピードを残すのがキーですね。ゆっくり大きくじゃなくてスピードで。レンジコントロールもしやすくて使いやすいです」
杉山’s パターン
リクーゼ
強波動スプーン
杉山「飛ばして遠くから寄せられるウエイト(1g)でレンジも入れられるとなると行き着くのがコレ。クリアで放流の残りを獲っていくイメージで作ったのでマッチするはずです」
矢島’sパターン
ペピーノDR
王道どスロー
矢島「スピードに飽きたなとなったら入れます。両極端が良いので、ゆっくりでもドスロー系。MRとDRは中層かボトムかですが、DRで水面直下をデッドスローに引くのは裏ワザですね」
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エリア③ ベリーパークinフィッシュオン! 王禅寺
OZENJI 神奈川県川崎市
住所:神奈川県川崎市麻生区王禅寺1227-2
電話:044-959-0037
営業時間:6:00~21:30(11/1~3/31)季節により変動
料金:男性一般4,900円、前売券4,300円(いずれも6時間)など
主なレギュレーション:ルアーのみ(イチロー池)、シングルフック&バーブレスなどその他詳細はHP『フィッシュオン!王禅寺』へ
王禅寺の解説!
マッディでライバル多し
水質はマッディ。規模は小規模で水深は深め。魚は多め。首都圏にあるので釣り人も多くて人的プレッシャーとしては5つの中では最高レベルですね。試合はあまり開催してないので、ロケやプライベートで釣る感じですが、ここもマッディの水質がキーになります。
共通パターン
ティアロ1.6g
濁りへの適切対応
杉山「東山湖も1.6gなんですが、規模ではなく深さで1.6gになります。ゆっくり引けて動きも大きい。水深があって濁ってるので速すぎると追えないし、プレッシャーも高いので、ちょうど良いペースで波動を出し続けられるのが釣れる理由ですね」
杉山’s 2パターン
パニクラDR
①オールレンジ攻め
杉山「あえてディープダイバーで、巻き始めで食えばシャローだしディープまで探れる。無難なカラー(エンドパンプキン)ですが、プレッシャーも高いのであえてのそれ系が効きます」
ちびパニクラDR-SS
②食わせのクランクの定番
杉山「水温が高い時期で魚が浮いてくると1.5mより浅いレンジで爆裂します。極寒以外は中層の釣りが効くので、扱いやすくて食わせ能力の高いちびパニは外せませんね」
矢島’s2パターン
フラパニ
①ラトル音で寄せる
矢島「フラットサイドボディのパタパタ系。パニクラとちびパニの間のサイズ感で、かつラトルが入ってるので音で寄せられます。レンジを取りやすくて初心者にも扱いやすいですね」
ペピーノDR
②ゆったりディープ
矢島「DRだと全レンジを探れるんで、特に深いエリアだと有効ですね。食わせではありますが、ゆったりした動きなので派手なカラー(MSTカルテットチャート)で目立たせて寄せます」
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エリア④ アルクスポンド焼津
YAIZU 静岡県焼津市
住所:静岡県焼津市利右衛門115
電話:054-622-7123
営業時間:7:00~20:00
料金:1日券6,000円(平日)、男女ペア1日券8,200円など
主なレギュレーション:ルアー・フライのみ、シングルフック&バーブレスなど
その他詳細はHP『アルクスポンド焼津』へ
アルクスポンドの解説!
風の影響を受けやすい
水質はクリア。規模は中規模。水深は浅め。魚は大きめで多め。ボトム系の釣りが強くて、釣り続けられる印象はあります。それと風の影響を受けやすく、風でスイッチが入りやすいですね。あと、ティモンテスターの瀧澤(真一)さんおすすめのルアーは間違いないです。
杉山’s 3パターン
クロボール2.0g
①デジ巻きシェイク
杉山「透けるカラーでナチュラルなサーキットボードが瀧澤さんのおすすめ。カラーもタッキーゴーストペレットです。デジ巻きにシェイクの短いストロークでモジモジさせて使います」
ちびパニクラSR
②風が吹いたら表層直下
杉山「魚の絶対数が多いので、そこでの食わせのクランクならこの一択かなと。風が吹けば一気に浮いてくるので、表層の水面直下を速く引けるのが強い。アルクス戦の優勝パターンです」
リクーゼ
③シルバーの誘惑
杉山「クリアな水質からシルバー系のカラーが効果的です(写真はヤジーシルホワUV)。放流の残りを獲るにはまさに鉄板ですね。1gなので全レンジ攻められるのもおすすめです」
矢島’s 3パターン
Tグラベル1.7g
①静のボトム攻め
矢島「ボトム攻略専用に瀧澤さんが作ったスプーン。アルクスでテストしてるはずなので釣れます。デジで一瞬浮かせてヒラヒラ落とす。あるいはズル引きかシェイクしながら巻きます」
パニクラDR
②動のボトム攻め
矢島「Tグラベルがプライベートだとするとこちらは試合寄りですね。ボトムノックで大きく叩いて高活性な魚をスピードでダマします。シルエットの大きさも魚を呼びますね」
デカミッツドライ
③騒がしく寄せる
矢島「表層に魚が溜まってきたときに水面の壁で食わせるためのルアーです。ラトルで音も鳴るので、波立っててもしっかりアピールしてくれます。ショートストップ&ゴーで使います」
アルクス攻略のヒント「表層かボトムか!」
エリア⑤ 醒井養鱒場
SAMEGAI 滋賀県米原市
住所:滋賀県米原市上丹生1570
電話:0749-54-0301
営業時間:平日9:30~15:45、土日祝8:30~15:45(12/1~1/31)季節により変動
料金:1日券3,500円(平日)4,000円(土日祝)など
主なレギュレーション:ルアーのみ完全リリース制、シングルフック&バーブレスなど
その他詳細はHP『醒井養鱒場』へ
醒井の解説!
魚影が濃くて水深が深い
基本はクリアでやや色付きですね。濁るなら茶より白系で、川の水なので川が濁ると濁ります。規模は中から小規模で、フルキャストはほぼしません。水深は深いです。魚影はピカイチ。入れる量がハンパないので、セカンド、サードの展開はほとんどしませんね。
杉山’s 3パターン
リクーゼ
①ボトムゆっくり
杉山「デカティアロからあえて(ウエイトを)落として食わせていくとしたらコレ。底まで落としてゆっくり引きます。1gのワンウエイトですが、ベストな設定だと思います」
ちびパニクラDR-SS
②レンジに即入れ
杉山「水深があるから早く入れたいという意味でSS(スローシンキング)。食い上げを待つよりも居るレンジまで素早く入れたいので。カラーもレッドグロー系(写真)がおすすめです」
ペピーノMR
③スローに弱く
杉山「ちびパニが速いので、そこからスローに落としていくニョロ系でゆっくり巻きます。動きが弱めなのでカラーは派手にしてサポート。ペピーノはこの使い方が多いですね」
矢島’s 3パターン
ちびパニクラDR
①2度目のスイッチ押し
矢島「ひと口サイズで速く引けて、レンジもしっかり入る。釣られた放流魚にまたスイッチを入れるアピール力を持ってます。試合で使わない人はいないんじゃない?というレベルです」
TCレイゲンMR(プロト)
②浮かせて食わせる
矢島「ちびパニから変えて、手っ取り早くサーチするためのミノー。ジャークしますが横に飛ばすんじゃなくて、縦に沈みこませてから浮かせる浮上系。浮上で食わせるのがキモです」
③ボトムで食わせる
キビパニMR
矢島「ちびパニとパニクラの間の大きさで、リップが大きいんでコンクリボトムのすれすれを泳いでくれます。いわゆる壁を使う釣り。醒井さんでは定番の釣り方だと思います」
共通パターン
デカティアロ3.8g
放流狙い
杉山「試合は放流合戦から入るので、放流用のスプーンがまず定番。3g前後で、軽くて2.5、重くて4g。ブリブリ系が強いです」
醒井攻略のヒント「放流からのスローダウン」
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