傘の骨のように伸びるワイヤーにたくさんのワームをセットし、小魚の群れを演出する「アンブレラリグ」。反則級に釣れそうな外見だが、現実はそうではない。適切なセッティングとタイミングで投入して、初めて威力を発揮するリグなのだ。今回は、霞ヶ浦本湖のシャローに差してくるデカバスを追い続けるアンブレラリグの使い手、佐々木勝也さんにそのキモを聞いてみた。
●文:ルアマガプラス編集部
佐々木勝也(ささき・かつや)
東北地方のため池などでバス釣りを覚え、その卓越したフィッシングセンスで10代の頃からメディアで活躍。2018年には霞ヶ浦に移住し、フィーディングでシャローに差すデカバスを追い求めるようになる。1988年生まれ、DAIWAバスプロスタッフ。
佐々木勝也が本湖のシャローにこだわる理由
ルアマガ記者はこれまで、年間を通して佐々木勝也さんの霞ヶ浦水系での釣りを見てきたが、全くブレない要素があることに気がつく。まず大前提として、佐々木さんは丸々と太ったハイクオリティーなバスを常に狙っているということ。
そのためには、エサを食いにシャローに差してくる本湖のバスを狙うことが最も近道となる。
佐々木「流入河川でも釣りはしますが、風がいいかんじに吹いたりすると本湖に戻りたくて落ち着かなくなるんです。本湖病ですね」
佐々木さんにとって、狙うべきは閉鎖水域に居着く気難しいバスよりも、本湖バス。シャローに差すタイミングに出会いさえすれば、簡単に口を使うし、クオリティーも高いことを経験上知っているのだ。では、その「バスが差すタイミング」はどうすれば分かるのか。
佐々木「これも常に言っていることですが、風、タイミング、そしてベイト(エサ)の存在です。特に低水温期は、まだシャローに魚が少ないので、風が適度に当たることによってベイトフィッシュが岸に寄せられ、バスもそれを食べにシャローに差してきます。タイミングも重要で、風の強さや風向きが変化した時にバスが口を使うことが多いです。ハイシーズンであればベイトがいなくてもシャローカバーにバスがいることはありますが、春まではベイトフィッシュが岸にいる場所に狙いを定めた方がいいです」
「鳥と友達になる」といつも口にするほど、佐々木さんは常に岸沿いに鳥が寄っていないかをチェックしている。ベイトフィッシュがいる目印になるからだ。ただし、見つけたいのはカイツブリやサギなどの魚食性の鳥。カモやオオバンなどの鳥は当てにならないのでご注意を。
そして霞ヶ浦水系のベイトフィッシュに関しては、近年気になることがあるようだ。
佐々木「ここ数年でワカサギがずいぶん減ったんです。ワカサギの群れは偉大です。沖からシャローにバスを連れて来てくれるんですから。一方、ワカサギの減少によってボラやイナッコ(ボラの幼魚)を食べるバスも増えてきました。ただ、ボラ食いのバスは一度食べたらそれで満腹になってしまうので、フィーディングの時間が短いんです」
アンブレラリグは万能ではない
そんなシャローに差してくるバスを釣るために、佐々木さんにとって欠かせないルアーが「アンブレラリグ」だ。エサを食いに岸沿いに来たバスの目の前にこんなおいしそうなものが現れたら、簡単に食ってくれるだろうと思ってしまうが…
佐々木「勘違いしている人も多いですが、アンブレラリグはどんな時でも食わせられる万能ルアーではありません。タイミングで簡単に食ってくれるのも確かですが、一方でアラバマリグを嫌がるバスも多いんです。特に近年はアラバマを使う人が増えてきたので、ひと工夫が必要です」
そう言って佐々木さんが取り出したのは、2種類のアンブレラリグ。一方はワカサギの群れを模した細身のワームを取りつけたもの。他方は、厚みがあるボディーのシャッドテールワームで、これはボラやイナッコ食いのバスに効くという。
ベイトフィッシュ別アンブレラリグセッティング
近年、霞ヶ浦水系ではワカサギが減少しているため、ワカサギが接岸しやすい春でも両方のタイプの具を用意したい。ちなみに、オフセットタイプのジグヘッドを用いてカバーまわりを攻めるのは佐々木さんのシークレットテクニック。ただし、挑戦するときは根がかりに十分注意しよう。
佐々木「基本的な使い方は、ロッドシェイクでワームにロールアクションを加えて漂わせる「バマスト」です。万能ではないということを忘れず、他のルアーとローテーションしながら投入してみてください!」
佐々木さんのアンブレラリグタックルはこちら!
【タックルデータ】
- ロッド:スティーズSC C68H-ST•SB ストラトフォートレス68
- リール:ジリオンTW TD 1000XHL
- ライン:モンスターブレイブZ 20lb
- ※すべてDAIWA
ストラトフォートレス68はスティーズのラインナップ中、最強パワーのロッドだが、6ft8inという取り回しの良いレングスに高弾性ソリッドティップを搭載し、繊細な操作性とバイト時の乗りの良さを両立させた、佐々木勝也さん監修の意欲作だ。
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