[緊急事態]バスの乗客が次々と泡を吹き卒倒! ついに本人にもその症状が!一体何が…。

世界を旅する釣り人であり、釣り具メーカーのツララ(エクストリーム)のフィールドスタッフもつとめる前野慎太郎さんが、世界各地での釣行で遭遇したエピソードをレポート。今回は、インドネシアへの釣行をお伝えする。果たして、どのような出来事が待ち受けるのか…!?

●写真/文:前野慎太郎(エクストリーム)

2024 イカメタル特集

憧れのインドネシア・カリマンタン島へ! 最後の最後に待ち受ける災難とは…!?

ルアマガ+をご覧の皆さま、こんにちは。前野慎太郎です。今回はインドネシアのカリマンタン島を旅した時の出来事をご紹介します。世界有数の熱帯雨林に多種多様な生き物、そして何より美味しい食事に親切な人々と、素敵が溢れるこの国で、最後の最後に待ち受けていた災難とは…? ぜひ最後までご覧ください。

カリマンタン島はどんなところ?

カリマンタン島は東南アジアに属し、南シナ海の赤道直下にある世界で三番目に大きな島です(ちなみに一番大きな島はグリーンランド島、二番目は以前の記事で紹介したニューギニア島)。この島はインドネシア・マレーシア・ブルネイの3ヵ国が領有しており、英名のボルネオ島という名称でも知られています。

カリマンタン島と言えば、手付かずの大自然とそこに生息する豊かな生態系ですが、代表する動物と言えばやはりオランウータンでしょう。オランウータンは、カリマンタン島とスマトラ島にしか生息していないとても希少な動物です。他にもテングザルやボルネオゾウ、ラフレシアなど、島ならではの進化を遂げた固有種が生息しています。もちろん水中も生き物の宝庫で、著名な熱帯魚からレアな魚が多く生息しています。

私は乾季真っ只中の8月、少ない現金を握りしめてアジアの生き物パラダイス、カリマンタン島を目指しました。

東南アジア有数の大都市ジャカルタ経由でカリマンタン島へ

飛行機に乗ること8時間、私は東南アジア有数の大都市であるジャカルタ(インドネシアの首都)の郊外にある、スカルノハッタ国際空港に降り立ちました。

経由地となるジャカルタの、スカルノハッタ国際空港に到着。

空港の自動ドアが開いた瞬間、熱帯特有の湿度の高い空気が体を包み込みます。本来ならばジャカルタ観光をしたいところですが、目指すカリマンタン島への飛行機が次の日出発だったので、市内散策もほどほどに安宿を探します。

空港のトイレ。水洗レバーを捻るとなぜかウォシュレットが作動した。いきなり洗礼である。

どこの国でもそうですが、サイトやアプリに載っている安宿よりも価格が低い宿を見つけたい場合は自分の足で探すしかありません。一軒一軒宿を回り、最終的に一泊1000円ほどの宿へ入りました。

これで1000円。エアコン、扇風機無し。暑すぎて夜中まで眠れない。

この国の交通ルールを疑った瞬間。 [写真タップで拡大]

食事は日本人の味覚に合うものが多く、とても美味しい。そして安い。 [写真タップで拡大]

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カリマンタン島に到着。赤道直下の町ポンティアナへ

翌朝、再び飛行機に乗って目指したのはカリマンタン島の玄関口であり、州都のポンティアナ。ここは赤道直下の町としても有名であり、赤道記念館なるものがあるので行ってみました。

カリマンタン島にある赤道記念館。

私もここに来て初めて知ったのですが、赤道直下では生卵が立つのだそうです。難しい話は省きますが、地球の自転は赤道を軸に行われるので、赤道上では遠心力が真上にかかり、重力は真下にかかるので丁度バランスが取れるのだそうです。実際に卵を渡されたのでチャレンジしてみると…。

きれいに立った卵。

びっくりするくらい綺麗に立ちました。厳密には本当の赤道直下は若干離れた位置だそうですが、地球規模の運動なので卵くらいであれば影響はないのでしょうね。しかし本当に立つとは思っていなかったので驚きました。

赤道直下。

立った卵と記念撮影。

赤道記念館を出た私は、奥地へ行くための手段を探します。ポンティアナはカリマンタン島の中でもかなり大きな規模の町。魚も探せばいるのでしょうが、せっかくここまで来たのであれば、ぜひとも奥地で釣りをしたいので、バイクタクシーに跨ってバスターミナルへと向かいました。

東南アジアはバイク移動が一般的。

ちなみにバイクタクシーは日本ではあまり馴染みが無いと思いますが、ひとたび海外、特に先進国以外の国々を旅する時は移動手段として必須です。タクシーよりも価格がかなり安価、かつ台数も多いので、乗りたい時にすぐ乗れますし、渋滞にも巻き込まれないので、時間を無駄にせず移動することができます。

バスターミナル。

デメリットとしては、やはり転倒した時に怪我のリスクがあることと、基本的に運転が荒いので単純に怖いです。特に大きなバックパックを背負っている場合、発進時に急アクセルをされるとそのまま後ろに転げ落ちてしまうので、自分の体重と荷物分を支える腕の筋肉の負担は半端ではありません。ですがそれを差し引いてもメリットが大きすぎるので、私は毎回転げ落ちそうになりながらも頻繁に利用しています。

聞き込み調査で目的地を決定。長距離バスで18時間移動

バスターミナルに到着してからは、地図と聞き込みを参考にバスを決めます。事前情報ではエアコン付きのバスもあるそうなのですが、私が乗れるタイミングのバスは全てエアコン無しのボロボロのバスでした。

バス。のちにこれはまだ良い車両だと知ることになる。荷物は基本的に外に積む。

目的の町プトゥシバウまではおよそ18時間。そこそこ長い道のりなので気が引けますが、よく考えるとエアコン付きのバスに乗るほど予算に余裕はないので、どのみち安いバスに乗ることになると気づいた私は、それなら早く着くほうがいいと思い、そそくさとボロボロのバスに乗り込みました。

海外の悪路は非常にパンク率が高いため、基本的に到着予定時刻は過ぎる。 [写真タップで拡大]

相変わらず食事は美味。私が行った国の中でも三指に入る美味しさ。 [写真タップで拡大]

プトゥシバウに到着した私は、ここからさらに奥地へ行くために情報収集を開始します。小さな村へ行くためのボート乗り場を教えてもらったので向かってみると、ここからは国立公園になるのでパーミット(入場許可証)が必要だということが分かりました。パーミットは警察署で発行できるそうなので、プトゥシバウの警察署へ向かいます。

無事手続きを完了してパーミットを取得した私はボート乗り場に戻りました。すると、田舎の雰囲気に全くそぐわないモーターボート乗り場へ案内されます。どうやらこの近辺ではモーターボートが住民の移動手段らしく、プトゥシバウを起点に周辺の村々へ移動できるようです。私は勇み足でカラフルなボートに乗り込み、ボートは川を進み始めます。しばらく走ると、遠くに集落が見えてきました。ようやく最終目的地へ到着です。

モーターボート乗り場。 [写真タップで拡大]

ようやく村にたどり着いた。 [写真タップで拡大]

到着したのは迷路のように道が入り組んだ村

ボートを停泊させる桟橋に降り立ち、小高い斜面を登って集落へ向かった私の前に現れたのは、地面から2mほどの高さで建てられた木造の道でした。幅は人がすれ違える程度の小さな道ですが、驚くことにその道が蜘蛛の巣のように広がっており、その道に沿うように住居が立ち並んでいます。てっきり地面の上に直接建物が建っている、いわゆる普通の村だと思っていたので驚きましたが、この構造は南国特有の気候に起因しているそうなのです。

木造の道。これが村中に張り巡らされている。

私たちが住む日本には四季がありますが、世界各国を見てみると、実は日本ほど明確に四季がある国は多くありません。特に赤道付近の国では雪が降らず、季節は大まかに分けると乾季と雨期のみとなります。私が訪れた村は、雨期になると川の水かさが10mほど上がるらしく、その時期は陸地が水に浸かってしまうために、地面から2mほどの高さで道を作り、そこで生活をしているのです。

到着してしばらく村を歩いてみましたが、宿のような建物は見当たりません。困り果てていると、村人の1人が「私の家に泊まるといいよ」と言ってくださったので、お言葉に甘えました。荷物を置いた後、この辺に釣りができる場所がないか尋ねてみると、しばらく歩いた場所に湖があるとのこと。釣れたら持って帰ってきてほしいと言われたので、湖に行ってみることにします。

教えられた方向に炎天下の中30分ほど歩いていると、大きな湖が現われました。ここでは現地の方がたまに漁をしているらしく、主にコイ科の魚や雷魚の仲間が生息しているようです。おもむろに水面を泳ぐルアーを投げてみると、すぐに水面がバシャッと割れました。釣れたのはジャイアントスネークヘッド。現地名はトーマンと言い、東南アジアに生息する代表的な釣魚です。2尾釣った時点で水が尽きかけていたので、ひとまず村に戻ります。居候先のご家族に釣れた魚を渡すと、「明日、この村一番の釣り人を紹介するよ」と、願ってもない申し出を頂きました。

ジャイアントスネークヘッド。大型は10kgを超える。

村に戻ってからは、付近を散策したり、居候先の仕事の手伝いをして過ごします。私が泊まらせてもらっていた家庭では、甘辛い団子のような食べ物を作っていました。ほとんどが村で消費されるものだそうですが、小さいコミュニティではこのようなことは珍しくありません。他にもバナナフライやジュース屋さんなど、各家庭が工夫して商売をしていました。

居候先での団子作り。 [写真タップで拡大]

八百屋さんなど、生活必需品がひしめき合うが、肉屋は見当たらなかった。 [写真タップで拡大]

次の日、村一番の釣り人と会うことになりました。彼は本業が警察官だそうですが、隙を見ては自前のカヌーで付近の川や湖を回って釣りをしているそうです。そんな彼と、これから数日間一緒に釣りをさせて頂くことになりました。彼はカヌーを持っているので、行動範囲が大幅に広がります。

村一番の釣り人。評判通り重度の釣りバカだった。

ある日、「とっておきの場所へ連れて行ってやる」といった彼は、私をカヌーに乗せて、うっそうと草が生い茂る小さな川を進みました。少し開けた場所でカヌーを止めると、「ここからは歩きだ」と言い放ちます。が、私の眼にはどう見ても道などは無く、ただひたすらにジャングルの中を歩くはめになるのでした。

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いざ、スネークヘッドの楽園へ

無心でジャングルを進む2人。時々野生のブタの群れから威嚇されたり、捕まえようとしたヘビがコブラだったりといったハプニングもありましたが、なんとか無事に目的のエリアに到着しました。このエリアはまるでジャングルの中に突然現れたオアシスのような場所で、小さな川が流れるとても綺麗な場所でした。「すぐに釣れるから釣りをしてみろ」という彼は、地面に穴を掘って火を焚く準備をしています。どうやらお昼ご飯は釣った魚のようなので、魚を釣らないとご飯がない!と、気合が入ります。しかし私の気合とは裏腹に、このエリアはとんでもないポテンシャルを秘めていました。とにかく魚が釣れ続くのです。

そのほとんどは2〜3kgほどのジャイアントスネークヘッドですが、10尾に1尾ほどの確率で違う雷魚が混じります。あまりの楽しさに夢中で釣っていると、あっという間に昼時になり、昼食に釣れた雷魚をふるまって頂きました。調理方法は丸焼きで味付けは塩のみです。外側は黒焦げですが、身の部分は丁度よく火が通っており、疲れた体も相まって抜群に美味です。結局村に滞在中は彼の世話になり、連日最高に楽しい釣りを経験させて頂いたのでした。

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