来年1月に発売を控えているエクリプスの新作「バロール65」。その名前からも分かる通り、名作「バロール」のダウンサイジング版にあたるわけだが、ただ小さくなっただけではないと、生みの親である前田泰久さんは語る。小さいからこそ持たせた独自アクションの真意とは?そしてバロール65を使いこなすためのエッセンスをいち早く紹介!!
●文:ルアマガプラス編集部
必然のダウンサイジング
2016年にバロール90が、2017年にバロール130が登場し、新作「65」の発売は2025年1月を予定している。
前田「90が出た頃からサイズ展開の構想はずっとあったんですけどね。いよいよ作るかということになって、初お披露目が今年(2024年)のフィッシングショーだったので、開発期間そのものは1年くらいになりますね」
まさしく満を持しての登場だが、開発ペースは比較的早いと言えそうだ。
前田「完成度の高いバロール90をベースに、アクションや使い心地といった目標に合わせて開発しましたからね。とはいえ、大きいルアーと違って浮力を確保しにくい分、コンマ数gの調整には苦戦しましたよ」
バロール65はその名の通り65mmボディ。
そのサイズは明らかに他のものより小さいが、どんな狙いがあるのだろうか?
前田「バロールらしく、浅いレンジを攻略するためのシンペンなのには代わりありません。65ではそれに加えて、ハクやアミなどの小さいベイトを捕食するパターンに対応するサイズ感となっています」
明確に小さいベイトを偏食している魚に対しては、やはりサイズ感を近づけることが釣果の鍵。
そのうえでハクのように水面直下を泳ぐベイトや、アミのように泳いで水を動かさないベイト絡みの釣りであればシンペンがうってつけだ。
前田「でもそれだけじゃないんです」
それはベイトの種類にかかわらず効果的な狙いだという。
前田「タフな魚に対して、ルアーサイズを落とす、という釣りが効果的なことは少なくありません。特にルアーサイズを70mm以下に落とすと、明確にそれを実感できる。だからバロールは65mmというかなり小さいサイズ感に設計したんです。シーバスルアーとして必要とされるキャスタビリティを満たし、『バロール』としての体裁を保てるギリギリのサイズというわけです」
サイズが違うだけじゃない! モデルで異なるアクションの質
65の登場で3モデルがラインナップすることとなる「バロール」だが、実はサイズが違うだけでなく、動きの質も異なっている。
前田「御存知の通り、バロールはリトリーブスピードや水流の受け方によってロールとテールスライドを使い分けることができるルアーです」
前田「例えば90はバランス型で、アップ~アップクロスで泳がせるとロール、ダウンクロス~ダウンで泳がせるとテールスライドアクションと、きっちりと泳ぎ分けてくれます。ドリフトの釣りではこの切り替わるタイミングが食わせのきっかけになったりもするわけです」
では2作目に当たる130はどうなのだろうか。
前田「ロール主体のアクションです。アップではもちろんロールなのですが、ダウンでもわずかにテールスライドが入るだけで、ロールが強めの動きになっています。これはボリュームがある分、大きく動くと派手すぎてしまうからなのですが、このサイズ感でロール主体の弱い波動というのがバチ抜け時に効果的な理由だったりもします」
そして最新作の65もまた、異なる性質を持つ。
前田「アップでロールなのは共通ですが、ダウンや速めのリトリーブスピードなど、しっかりと水を受けて泳ぐ際は強めのテールアクションで泳ぐんです。より一般的なシンペンの動きに近いというんですかね。130とは逆で、しっかりと動くことでボディの小ささゆえの存在感の薄さをカバーしているわけです」
小さいからこそのメリット・デメリット
65mmともなると、シーバス用プラグとしてもかなり小さい部類に入る。
だからこその欠点はもちろん、ある。
前田「干潟などのオープンウォーターでとにかく遠投して探る、という釣りには適していません。それは想定していない釣り。『バロール65』は言わば近距離戦用のルアーなんです。とはいえ40mくらいは飛ばせるので、近距離に対して正確に投げられるようにはなっています」
立ち位置から容易にキャストできる橋脚や、手前のブレイクラインなどは『バロール65』の強みがより活きるのだという。
前田「誰もが投げる橋脚。そこにいる魚は当然神経質になっているはずです。まずそういった魚に対しては、65mmというサイズ感が大きな武器になる。そして近距離戦で正確に投げられるということは、明暗の際や流れのヨレなど、シビアな着水点に対してルアーを落とすことができ、任意のトレースコースを高い再現性で通すことができるわけです」
また、一級ポイントに比べて小場所になりがちな二級ポイントにおいても、正確な釣りができる65は強力な武器となってくれるだろう。
前田「サイズが小さいので、濁りもあまり得意ではありません。ですが豊富なカラーラインナップを予定しておりますので、そのローテーションで対応できるはずです。最も、小さいことは利点でもあって、目の前に落とすことができれば食わせられるんですけどね」
その点においても、近距離戦で正確に投げられるというのは武器になるのだ。
タックルの許容範囲は意外と広い!
かなり小さいバロール65だが、タックル選びはそこまで難しくないのだという。
前田「使い込むなら繊細なティップを持ったロッドなんかを選ぶのもありですが、普通のタックルでOKです。M~MLくらいのロッドで、長さはフィールドに応じて選ぶ。ラインもPE1.5ポンドくらいまでならしっかり泳いでくれる。つまり普通のシーバス釣りに組み込めるんです」
マイクロベイト絡みの釣りをするときだけでなく、他のタイミングで釣りをする際にもタックルボックスに入れておけば、タフな魚を攻略したり、ボウズ逃れができたりと、重宝しそうだ。
使いこなすために
前田「出しどころは主に4つ。マイクロベイトパターン、ハイプレッシャー対策は先にも紹介している通りです。マッチ・ザ・サイズ的な使い方であったり、小さいからこそ口を使わせることができる魚や二級ポイントにいる魚を狙うことができる。これに加えて、普段の釣りでルアーサイズダウンというローテーションに組み込むこともできます。それからどうしても釣りたいときの奥の手。時と場合によっては20cmのシーバスが釣れてしまうこともあります。せっかく釣りに来たのだから、少しでも満足感を得たい。そんなときにも投げてほしいですね」
1歩踏み込んだ使い方を覚えれば、より盤石だ。
前田「他のサイズもそうなのですが、バロールには調整の余地が取ってあります。例えばある程度の範囲であればフックを替えてもアクションが損なわれることもありません。その特性を活かして、0.2g程度のウエイトシールを顎下や腹下に貼って、アクションを変えることなく泳がせるレンジを深くすることができます。流れのある場所なら、より粘って泳がせられるようになりますよ」
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