当連載シーズン2は第7回目にして、奥田さんがついに大海原へ! 場所は日本海の北陸エリア、狙うはパワーファイターとして知られるオフショア夏〜秋の風物詩・シイラ! …てことは、専用タックルを使う? いや、今回もバスタックルで挑み、奥田さんの右腕バンタム各モデルが主軸だ。そのポテンシャルを再確認してみたい
●文:ルアマガプラス編集部
海の暴れん坊・シイラ主軸を目論むもまさか…
9月中旬の三連休、その前半を使って奥田学さんがやってきたのは日本海の北陸エリア。シーズン2ではここまで6回続いたバスフィッシング釣行から一転して、第7回目の今回はいよいよソルトウォーター回となる。
奥田「“フリースタイル”のタイトル通り、海もやらんとね。普段はマグロなど海もやっとるもんで。今回は近年僕がハマっとるビッグベイト&ジャイアントベイトでのシイラゲームです」。
なぜ日本海なのか? 奥田さんいわく「太平洋側との比較で大型のシイラが多い」傾向があるのだという。常に現場最大級に焦点を当てる当連載の主らしい選択だ。
奥田「…でもね、この連載で度々あることなんやけど、今回も天候が良くない…。今日は風が強く時化てるんで、漂流物を眼で探して狙っていくシイラゲームにはあまり向いていない…。明日に至っては現段階では出船できないかもしれない爆風予報でサ…」
初日は昼からのスタートで、早くも先行きに暗雲が立ち込める。
奥田「まぁ、釣りは自然が相手なもんでそれも仕方がない。そんなこともあるかなと思って、実はコレも用意してきたよ」
そこには複数のエギとエギングタックル。そう、サブターゲットとして、秋が数釣りの最盛期となるアオリイカを狙う算段だ。バスでも海でも常に、奥田さんはゲームプランに隙がない。
奥田「荒れ模様で外洋まで出られそうにないので、比較的穏やかな近場からシイラゲームとエギングの二本立てで始めていきます」
意外な展開となった今回、はたしてどんな結果が待っているのか。
乞うご期待!
考える前に身体が動く
瞬時の判断力で勝利へ
シイラのオフショアゲームとはどんな釣り方なのか。まずはその概要をご解説いただこう。
奥田「シンプルに言うと、海の表層カバーゲーム。一見単調に見える大海原に、ポツンと『漂流物』が浮いていれば、そこが付き場。ベイトフィッシュが付き、それを捕食する魚が付き、さらにはシイラも付く。そこに生態系ができ上がっているというわけなんよ」
流木や藻の塊、時には人工のパヤオ(浮き漁礁)など。別方向から流れる潮が当たって形成される『潮目』にも、同様の生態系が形成されるのだという。それらのキワにビッグベイトを通すことで、バイトを誘うのが王道だ。
奥田「空を飛ぶ鳥の存在にも注目しておきたいね。多くの鳥が水面に突っ込んで小魚を捕食している『トリヤマ』も目安の1つ。でも、今日は漂流物があまり見えないし、鳥の様子も穏やかやね…」
ようやく見付けた漂流物にはシイラの姿はなく、バンタム×アーマジョイント190SFの黄金コ
ンビが火を噴くことなく空を切るばかり。
いつしか風はさらに強まり、強風を避ける風裏へと移動して、アオリイカを狙うエギングへとシフトしていく。
…と、その時! 奥田さんは何らかの異変に気付き、エギを速攻で回収して、即座にタックルをバンタム274MHへと持ち替えフル遠投。
ルアー着水からの数アクションでロッドが弧を描く!
奥田「目の前をシイラの群れ通りかかった! 群れが進む方向と、船が進んでいく方向が逆やったから、飛距離の出せるセッティングをすかさず選んだのが正解やった!」
瞬時の判断力、考える前に身体が動く狩猟本能。数少ないチャンスを確実にモノにする。それが当連載の主、奥田学さんの凄さだ。
バーチカル=縦方向で誘うボートエギング
奥田「イカ歴?30年以上かな。実は長い。最初から独学でやり始めたので、現代の最先端エギングではないよ。でも、それでも未だに通用し続けているんだから間違いではないのかなと」
初日は見事なシイラを1本捕獲するも、その後はノーチャンスで終了。強風のため欠航が懸念された2日目だったが、幸いにもエリア限定での出船が可能となった。つまり風を避けてのエリア、アオリイカのエギングゲームが主体となる1日が予想された。
冒頭の通り、奥田さんはエギングという名称自体が世に存在しない頃から、このゲームに精通。そのキャリアは実に長い。
奥田「ボートで沖に出たりして、当時はよう釣れた。今回もレンタル艇でやろうかと思ったんだけど、何せ三連休なもんですべて満杯。当連載でいつかやってみたいね」
今回は縁あって遊漁船利用となり、今に至る。ところでボートエギングとはどんな釣りなのか。まずはご解説いただくことにした。
「厳密に言うと、潮の流れや風で船が流れたりするのでアプローチは繊細なんやけど、簡単に言うならバーチカル(=垂直、縦方向)ゲームやね、僕の場合」
エギをフォールさせて、着底したら何回かシャクり上げて誘い、反応なければ再びフォール。着底したらシャクり上げ…「この作業を1投で3回程度」でエギを回収するのが基本だという。
「フォールさせている段階で、アオリイカはエギを見に来ていると考えていい。着底したら、即座にシャクり上げて誘うことが大切。何せ今回の場合、水深は30メートル。着底したことに気付かずエギを放置してしまうと、イカは去ってしまうからね」
そこで奥田さんが取り出したのは、エギ用追加シンカー。エギのヘッド部にセットすることで重量が増して、ノーマルエギとの比較で沈下スピードは速く、なおかつ着底がわかりやすいのが特長だ。
奥田「エギはノーマル状態だと水中で抵抗が少ないし糸フケも出るので、着底がわかりにくい。深場のエギングに慣れていないなら試してみるべきだね」
エギングは日々進化している。
終始笑顔で楽しむ主の遅れてきた夏休み釣行
エギングの手法やスタイルが日々進化する中で、奥田さんがイカ釣りを始めた30年以上前から変わらない真理もある。それがバスロッドの汎用性の高さだ。
今回使用したのはバンタム264L/M。LパワーのソフトティップにMパワーの強靭バットを組み上げ、奥田さんのマイクロスイムベイティングで度々活躍を見せるモデルだ。エキサイトトップ搭載でライトリグシェイキングにも磐石のパワースピンとしても知られる。
奥田「これがエギングとめちゃくちゃマッチングする。比較的ショートレングスだから、ボートでのバーチカルエギングで取り回しもいい。元々バスロッドって、繊細ながらもバットが強くてエギングロッドにテーパーが似てるからね。ちょっとやってみたいなって方は、普段使っているバスロッドそのままでイケると思うよ」
もちろん、より専門的に挑みたいなら専用ロッドも存在する。だが、バスも海も何でもやりたいフリースタイル派にはまずはバスロッドでも楽しめる。
奥田「一時は暴風に襲われてどうなることかと思った瞬間もあったけど、何とか結果を出すことができた。まぁ、しゃあないね。僕らは天気と付き合って遊ぶ立場の人間なんでね、釣りってのは」
苦境にさらされながらも瞬時の時合を捉えて、見事に3連発!
いつもは一撃必中を目論み険しいハンター目線の奥田さんだが、この日は終始頬を綻ばせているのが印象的だった。今年の夏も日本全国を駆け巡ってきた奥田さんの遅れてきた夏休み。今回も実に有意義な実釣となったのだった
釣ったアオリイカは即締め◎
奥田さんの使用タックル
シイラ&イカ!意外すぎる奥田さんの奮闘は動画でも!!
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