『ノイド』は新たなシーバススレイヤーとして定番化する!驚くべき2つの個性に注目!

2024年、釣りメーカーらしからぬ『かっこいい系』のブランディングで旋風を巻き起こしているフローフルワークス。発表されたプロダクトのひとつ『ノイド』。ただのジグヘッド+シャッドテール系ルアーでないギミックと、ギミックやかっこいいだけでない考え抜かれた『釣れるロジック』が内包されているのだ。このルアーはシーバススレイヤーとして定番化するのだろうか。

●文:ルアマガプラス編集部(深谷真)

フローフルワークスのノイドはかなりキテます

結論から言うと、新進気鋭のメーカー『フローフルワークス』が投入してきた『ノイド』は素で推せます。

写真のブラックカラーはルアマガから2025年に発売予定のカラー。

まず、普通の小規模系プロダクトでは絶対にここまでの開発環境はないという特別な流水水槽を使用してテストを行なっています(水槽の施設は7億円?)。ここでは、独自の新しい素材(生分解性のワーム)を使ったノイド別バージョンのテストも行なっていたりとかなり本格的。小規模プロダクトとして誕生したフローフルワークスがなぜ!?と思われたかもですが、実はこちら東京海洋大学の『回流水槽』という設備。フローフルワークスと東京海洋大学がタッグを組んで、より実用的な生分解性素材の開発に取り組んでおり、その一環でこの設備が使えるのだという。その取り組みについては近日中にまた掘り下げてみたい。

鳴門の激流クラスも再現できるのでは?といえる超性能な回流水槽。フィールドテスト何日分もの知見がここで短縮して得られる。

この水槽での開発は、おそらくフィールドテストの何日分かの知見を一気に得られるだろうという環境です。川の激流すら表現できる流水水槽で、しかも横、上、下、後ろからテスト中のルアーをしっかりと観察できるのですよ。いや、この水槽ヤバイ! おそらく大手釣り具メーカーも持っていないであろうとんでも水槽…。

横からはもちろん、下からもルアーの様子を観察できる優れもの。実はこれがデカいアドバンテージ

そんな環境でテストを行なって、プラスアルファ、フィールドでのテストを繰り返して作られているアイテムなのでそのこだわり具合が異質なのです。目に見える個性としては、ジグヘッドとワームボディに見られるスマートなギミックなのですが、記者が注目したのはそれ以外の性能的特徴でした。

ワームを歪みなくスマートに装着できるノイド独自のシステム。安定した姿勢、釣果に一役かっているギミック。

2つの特筆すべき『個性』。1つめ。徹底した水平スイミング姿勢

フィールドテストだけでは微調整も行いにくいのですが、この巨大水槽などでの開発も相まって、狙っている姿勢がきっちりルアーに反映されているんですよね。その重要な姿勢っていうのが、徹底した水平スイム。これ、ほぼどんなライン角度でもほぼ水平に泳ぐようコントロールされているのがすごい。

ある程度ラインとの角度がついていても、かなり安定した水平姿勢を見せるのがノイドの特徴のひとつ

この姿勢が徹底的に管理されているので、シーバスの食いかたがめちゃくちゃ素直。写真を見てもらえればわかるかと思いますが。すっぽりダブルフックがガッチリとフッキングするバイトが多い。これはルアーが水平姿勢を維持してスイムしている証左でもある。

すっぽり飲み込んだり、前後のフックがきっちり両方ともフッキングしているバイトが多い。これも、かなり精度の高い水平姿勢ゆえの特徴。

ジグヘッド+シャッドテール系のルアーはシーバス・フィッシング界ではくわせ系の定番となっていますよね。王道であり、キングであるコアマンのVJ、ターゲットはサーフですがビーチウォーカー・ハウルなども信頼が高いルアー。大手からも売れ筋を睨んでの展開があり、それぞれに個性を見ることができます。

ではこの、新機軸系ジグヘッド+シャッドテールの『ノイド』がそれらの定番に割り込む個性があるのか?そのひとつが、ほぼどんな状態で引いても水平を維持してくれる姿勢だと言えると思います。シーバス攻略の選択肢のひと枠に、この個性だけとってもルアーケースに割り込んでくると思います。

2つの特筆すべき『個性』。2つめ。ワームとプラグの長所をハイブリットした『ボーン構造』

ノイドの構造的なギミックとしてボディワーム部は魚さながらの背骨的なギミックが内包されています。これはジグヘッドとのワンタッチで姿勢が崩れない接続ギミックを実現させるものですが、この骨が柔らかいワーム部の約半分に入っています。

これがどう機能するかというと、ワームだけの場合に見られる不自然すぎるウォブリングやロールを抑え、ルアーとして魚を誘う違和感を表現しています。かなりマニアックな指摘ではありますが、ルアーというのはリアル過ぎてもダメ。違和感があり過ぎてもダメ。そのいい塩梅を表現してくれているのです。ただ、これが注目して指摘したい機能ではありません。実はこのボーンがワームを支えることで、アングラーのルアーコントロールにかなり幅を与えてくれています。

どういうことかというと、どんなルアーでも目の前を通れば喰うという条件下ならいざ知らず、ルアーコントロールにより釣果を分けるような局面では、ルアーに干渉する潮の流れやルアーのレンジをアングラーがコントロールすることで、釣果を引き上げていくことができます。投げて巻いてりゃ釣れた。ではなく、投げて巻いて、コントロールして釣れた。ってヤツです。

じつはノイド、魚のバイト時に違和感が少ないソフトルアーでありながら、内蔵している『背骨』のおかげで、流れを『面』で捉えやすくなっています。ルアーコントロール時に制御できない水の抜けかたをしないので、潮の流れをボディが面でしっかりと受けて全体のバランスが安定、なおかつアングラーがコントロールしやすいんです。この構造は前述したボーン構造の恩恵です。

この個性だけでも、ルアーボックスの席に入れたくなる

星の数ほどあるルアー。どのルアーもメーカーサイドからは『⚫︎⚫︎だからこそ釣れる』的なセールストークが並ぶわけですが、持っているルアーの個性を見極めることが大事。例えばですが定番のVJの特徴をしっかり把握しつつ、個性の違うルアーを状況によって投入して釣果アップを狙っていくのがルアーフィッシングの楽しさのひとつ。ノイドというルアーは汎用性も高次元で有していながら、ならではの特徴もしっかり持っている良ルアーだということは間違いなさそうです。

ルアマガで発売予定のノイドのオリカラ。


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