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毎回語り尽くしのネタ満載トークインタビュー・清水盛三「帰ってきたシン・ネバギバ。」。連載8回目は、1月中旬~2月上旬に行なわれた横浜&大阪のフィッシングショーについての振り返りから、2月の極寒時期における攻略パターンについて、ミッチリ語っていただきました!!
●文:ルアーマガジン編集部(写真提供:MORIZO SHIMIZU)
清水盛三 MORIZO SHIMIZU
1970年5月29日生まれ。大阪府出身。’97JBスーパーバスクラシックウィナー、’00JBワールドU.S.チャレンジinレイク・ミード優勝を経て渡米。老舗トーナメント団体B.A.S.S.が主催するエリートシリーズやFLWなどに参戦。2018年をもって引退、17年間の米国競技生活にピリオドを打った後は日本国内の各メディアへの出演他、ご意見番として後輩の指導にあたる。バサー・オールスタークラッシック2022優勝。
オフィシャルサイト http://www.morizoshimizu.jp/
<スポンサー>
エバーグリーンインターナショナル、グローブライド、東レ・モノフィラメント、グレンフィールド、マーキュリー、カラーズインターナショナル、ALL of FAN
<バスマスター通算成績>
●B.A.S.S.
’01ウェスタンオープンでデビュー。1シーズン目で、翌年からのツアー参戦権を獲得。公式戦出場151回、クラシック出場3回、2006年にエリート・ケンタッキーレイク戦優勝、入賞66回(優勝:1回、準優勝:2回、トップ10:9回、トップ20:21回、トップ30:34回)。獲得賞金77万1299ドル(約1億1801万円 *1ドル153円換算)。
皆さんには、本物を見極める“目”を持ってほしい。
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フィッシングショーはいろいろと見聞きができる、またとない機会!
――モリゾーさん、2025年一発目の連載です! 今年もあれよあれよという間に、横浜と大阪のフィッシングショーが終了ですね!
清水「ホンマですワ~。もう、担当さんがバタバタしてる間に、両方とも終わってしまいましたやん。というワケで、皆さん、今年もよろしくお願いしますね! 僕は今年も両日参加、エバーグリーン&DAIWAブースでそれぞれトークショーをやらせていただきました」
――横浜、大阪、共に予想以上の盛況ぶりでしたね。
清水「そうやね。昨年同様の混み具合でエエ感じで盛り上がってましたねぇ!」
――ちなみに、各トークショーの印象はいかがでした?
清水「横浜のエバーグリーンブースではね、昨年同様お客さんとの距離を密に…よりダイレクトに触れ合いたかったから、平場に小上がりのステージを作ってもらったんですワ。大阪は逆にいつものステージで、石井館長とのトークセッションを楽しみましたよ」
――そうでした。横浜ではこの時季における1尾の価値の見出し方、大阪では石井館長と話題の新作Mo-DOルアーについての掛け合いシークレットトーク、でしたね!
清水「お、ちゃんと聞いてましたねぇ(笑)。ちなみにDAIWAブースでは、大きなメインステージでアメリカ組の並木(敏成)さんと青木(大介)くんのトリオで、それぞれのスタイル別愛機リールのハナシを展開したかな」
――モリゾーさんのトークショーだけでも盛りだくさんでしたね!
清水「おかげ様で僕も例年以上に楽しめましたよ。双方のステージでお客さんがいっぱい集まってくれて…ありがたいことやけどね。特に横浜のエバーグリーンブースはダイレクト感が増し増しで、Q&Aコーナーもより深く充実した感じやったかな。イメージで言うと、エバーグリーンブースがライブハウスツアー、DAIWAブースがドームツアーみたいなイメージやったね(笑)。それぞれで異なる雰囲気ながら一体感があって楽しめたかなと」
――なんとも分かりやすい表現!
横浜エバーグリーンブース。お客さんとの距離が近い…このダイレクト感、なかなかです。最後のQ&Aコーナーでも個々の悩みがより具体的な質問としてモリゾーさんに投げかけられていたのが、とても印象深い。
漫才グループでいうところのボケ担当が並木、ツッコミの清水、そして安定の青木、というアメリカツアー経験者トリオで楽しませてくれたDAIWAブース。本場トーナメントトレイルでの経験値を生かしてのタックルトークは聴きごたえがあるものだった。
清水「横浜のエバーグリーンブースはより具体的な質問をされたのが印象深かったなぁ。ライブハウスって表現をしたけど、お互いの目の前に、アングラーとお客さんが対峙する独特の一体感を大事にしたかったから、なるべく僕一人が一方的に話すのは避けようと思ってね。案の定、皆さん悩んでたなぁ…。だから僕も、受けた質問の一歩先まで丁寧に答えてあげられるように、いろいろと踏み込んだところまで話をさせてもらったよ」
――何か印象に残っている質問って、ありました?
清水「多すぎて分かりませんワ~。でも、集まってくれた皆さんは、総じて“釣りがもっと上手くなりたい”と切に思っている人たちばっかりやねん。だからより突っ込んだ質問が来るしね。まぁ、僕の答えが少しでも役に立てていればエエかなと。ていうか、釣りってね、やる以上はサカナが釣れないと面白くないんですワ。コレは何度も言ってることやねんけどね。だから、限られた釣行回数の中で、できるだけ多くサカナを釣る…釣れる確率を上げていくにはどうしたらいいのか、ってことを常に念頭において釣りに向き合ってほしいかな」
――ショーの会場を見渡すと、各メーカーさんが様々なアイテムを展示していますからね~。
清水「ひと通り見て回るだけでも結構時間がかかるけど、自分のスタイルに合う合わないも含めて、各社から出ているアイテムをじっくり見るにはフィッシングショーはいい機会やからね。運が良ければアングラーさんからも話を聞くことができる。せっかく会場に足を運んだのであれば、そういった普段体験できないことを体験していってほしいね。今の世の中、ネットで流れている情報がどうしても先行するしメインになりがちやけど、本物を見極める選定眼…“目”を養うことで、さっき話した釣れる確率っていうのが確実に上がっていくはずやから。もちろん、発信していく側の僕も、僕でしかできないこと…例えば、アメリカでの貴重な経験値から生まれる、僕ならではの“釣れる”アイテムについての真の情報とかを、惜しみなく出していく予定やで」
――ということは、現在作っているプロトモデルの情報なども、惜しみなく…。
清水「っと、ソコは秘密主義者の僕の出番ということで…プロトのハナシは残念ながらデキマセンねぇ(笑)」
世界が認める本物“ジャックハンマー”に末弟が登場。その名も「ベイビージャック」。コンパクトサイズならではの待望の1/4オンスモデルから、このベイビーシルエットで1/2オンスまでラインナップ。本場アメリカトーナメントシーンはもとより、日本のフィールドでも席巻すること間違いなしだ。
ワールドワイドの初代称号ルアーは“シャワーブローズ”だった!
――プロトモデルといえば、ジャックハンマーのミニマムサイズが遂に発売決定ですね!
清水「そうなんですワ~。満を持して、ですね。コレもブレット・ハイトからのリクエストでね、ナーバスなバスでも確実に仕留められる小型のジャックハンマーが必要やから、作ってほしいと」
――なるほど。
清水「僕も状況別に攻められるように何種類かあったらエエなぁと思ってたところやったから、じゃあやりましょうと。実は昨年のバサークラシックのプラクティスで、ベイビーのプロトで数本釣ってたりもしたんやけどね。とにかく、このベイビーサイズが完成したことで、ジャックハンマーの使用可能領域が一気に広まった感じがする。様々な状況下で活躍してくれると思いますよ」
――日本でいうと、止水域ワンド系とか、ため池等の小規模フィールド系で威力を発揮しそうですね。まさに、アメリカでも日本でも死角なしのラインナップです!
清水「ですね~。早く皆さんに使ってほしいですワ。ちなみに言っておくと、アメリカで一番最初に爆発的なヒットを飛ばしたMo-DOルアーはジャックハンマーではなく、シャワーブローズやからね。ノーマルサイズとワンサイズ小さいショーティー。特にショーティーは一時期、スモールマウス戦のトーナメントにおけるシークレットベイトになってたくらい」
――『ネバギバ。』の過去のインタビューでも「ショーティーが向こうのスモールに効く」って語ってもらってましたね。
清水「本チャンの試合で実際に釣れる、って一般アングラーに認識されると、一気に全米中に情報が広まるからね。シャワーブローズも、今はビッグママから77.7まで4種類がラインナップされた。試合当日では、サイズによって出る出ないがかなりシビアやから、細やかな使い分けがやっぱり必要。おかげ様で、今ではトップウォーターのジャンルでの認知度は本場アメリカでは抜群に高いですワ」
――本物として認められているという証ですね。
清水「そういうことやね。アメリカではいつだってトーナメントが第一やから。試合でみんながこぞって使っている、もしくは、上位入賞者がシークレットとして使っていた、となれば、そのルアーは本物だと世間が認識する。シャワーブローズやジャックハンマーしかり。前回も言ったけど、Mo-DOブランドのコンセプトは“一生涯釣れるルアー”やからね。工夫を凝らして生み出す以上は、世界最高峰を目指したい。本物を作ってナンボの世界やと思ってるから一切の妥協はナシ。だからこそ、創りがいがある。生みの苦しみでしんどいところもあるけどね(笑)」
――皆さんにも、そんな本気度MAX級の新作、早く使っていただきたいですね!
清水「せやねん! みんな、春までの辛抱やからあと少し待っててね~!」
実は、他にも名作として、エキスパートロコの方々が隠し持っているルアーがあるのをご存じだろうか。それは「J×Jミノー」。2025年度は新色があらたに6色追加される。ありそうでなかったクラウンや特定の状況で爆発しそうなボーンなど、こちらも7月の発売が待ち遠しい限り。
厳冬期の2月。ゼロイチゲームの「イチ」を掴むキモとは…?
――ということで、今月のバス釣り上達のヒントですが、冬も真冬…厳冬期ということで。。。
清水「まあ、ドSな時期ですね~。アングラーからするとドMか(笑)。ホンマに1尾の価値が格別な時期。トップシーズンのように5~10尾ってのは極めて難しいけど、1~2尾なら狙ってイケます。この時期でも釣る方法は、ある」
――ちなみに、前回のインタビューで『次回はライトリアクション系…静と動を意識した釣りがエエかなと』いうことを仰っておりましたが…?
清水「そうなんですよ。通常のヘビーウエイト系ルアーでのキビキビしたリアクションフィッシングではない、もっと軽いリアクションとでも言うんかな。…まあ、通常のソレでも釣れる時はあるけれど、厳冬期って水温が5℃を切るときもあるくらい水が冷たいから、動ける範囲も時間も限られるからね。ジグをパンパン跳ねさせたり、冬はジャークベイトや!ってバンバンにジャーキングしたり、そういうのではない、もっとライトな控えめなリアクションで口を使わせることを、僕はライトリアクションって呼んでる」
――ほほう。
清水「例えば、メタルマスターの7グラムを使ってのバーチカルジギング。10メートル前後のボトム付近を、ちょいちょいとロッドティップを軽く動かす程度で誘う釣り。ホンマにちょっとやで。10センチくらいかな…上げて誘って、落として上げて、の繰り返し。少しずつ移動しながら探っていく。まあ、サイズは選べないけれど、バスがいれば思わずパクってなる。小バスでも釣れたら嬉しいやん、この時期は」
――ゼロとイチが違うのは、モリゾーさんも何度も言ってますからねぇ。
清水「あとは、ラバージグ。ボリュームのある、でもコンパクトなクロー系のワームをトレーラーにして、シャローからダウンヒルでトントンと落としていく釣り。この時期、バスはボトムよりちょっと浮き気味やから、ズル引きというよりも、ボトムスレスレを泳がせて誘う感じ。ジグもフルボリュームのモノではなく、IRジグのようなコンパクト系がいいね。5/16~3/16オンスあたりが使いやすくていいかな」
――とにかく派手さは禁物、なんですね。
清水「そう。何事も控えめが大事やで。バスがいれば派手じゃなくてもその存在には気付いてるからね。ただ、温かければすっ飛んで食らいつく距離でも、厳冬期はそこまで元気じゃない。バスが動ける範囲にまでルアーを入れてあげないといけないのがこの時期。だから、忍耐力が養われる時期でもあるんですワ。厳冬期にバスを釣ることができたら来たるべきハイシーズンには確実にレベルアップしてるハズやから、皆さん、我慢して頑張ってみてね!」
――あと、この時期は寒さ対策も万全じゃないと…ちなみに、モリゾーさんはどんなスタイルでフィールドに出ていますか?
清水「よくぞ聞いてくれました。まさに、テクニックと気概だけでは身が持たへんのがこの時期。僕は、昼間に太陽が出たら汗ばむくらい、保温効果の高いウェアセッティングを施してるよ。でないと朝晩の冷え込みに耐えられません…。最近のお気に入りはDAIWAのダンロテック・アンダーウェアシリーズ。これがまた、めちゃくちゃ暖かい!! ゴルフでもマスト着用(笑)。ちょっとお高めやけど、試す価値はありますよ」
――着用レイヤーの順番としては?
清水「まずは薄手のヒートテック系→ダンロテックの上下→ロンT→パーカー、もしくはフリース→最後に防寒ウェア、てな感じ。足元はマウンテン系の動きやすい防寒シューズでキマリ。ダウン素材系は確かに暖かいけど、ゴワゴワしてキャストの邪魔になるから着込まないようにしてる。あとは、カイロをお腹と背中に1枚ずつ貼って、貼らないカイロをポケットに仕込めばパーフェクトですワ!!」
――完璧装備ですね(笑)。
清水「でしょ。まぁ、コレで魚が釣れなければ『その日は占いで12位やったな~』的な気持ちで割り切るのも大事やで。後に引きずらない。だって元々が超厳しい釣りやねんから。ドリフの“次いってみよう”精神でまた頑張ってくださいね(笑)」
The HITでの真冬のロケでのひとコマ。メタルマスターでは小バスを、IRジグではナイスサイズをそれぞれ釣り分けた。IRジグはフォーリング&ライトリアクションパターンだ。厳冬期のバス釣りは、とにかく一日やり続ける持久力と精神力が大事。寒さ対策は万全に!(写真提供:サンテレビ@the HIT)
<モリゾー・おすすめタックル> メタルマスター仕様ver.
●ロッド:シナジー・リッピンフィート CSYC-610ML(EG)
●リール:24スティーズSVTW100XH ※8.5:1(DAIWA)
●ライン:エクスレッド10ポンド(東レ)
●ルアー:メタルマスター7グラム(EG)
<モリゾー・おすすめタックル> IRジグ仕様ver.
●ロッド:シナジー・マルチローラー CSYC-70M+(EG)
●リール:21ジリオンSVTW1000XH ※8.5:1(DAIWA)
●ライン:エクスレッド12ポンド(東レ)
●ルアー:IRジグ 5/16~3/16オンス(EG)+3~3.5inクロー系ワーム
※本記事は”ルアーマガジン”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。