
リールのメンテナンスは釣り人にとって悩ましい問題だろう。ここにはオイルを、ここにはグリスを…など、慣れていない人にとってはハードルが高く感じるはず。そんなメンテナンスを誰でも簡単にできるようM.T.C.W.代表の小野大輔さんに解説してもらった。
●文:ルアマガプラス編集部
小野大輔
おの・だいすけ/リールカスタム用品などを展開するM.T.C.W.代表。自らも商品開発やメンテナンスを行い、常に現場主義の高品質な製品を創り出す。モータースポーツ業界にも精通しており、レッドブルチームでの活躍経験も。
悩める釣り人にメンテナンスを伝授
静岡県に拠点を構える「M.T.C.W.(モトテックカスタムワークス)」は、リールメンテナンスやカスタム用品を展開。
M.T.C.W.Co.Ltd
●住所:〒422-8037 静岡県静岡市駿河区下島1006●営業日:月~金曜日(祝日を除く)●営業時間:10:00 ~ 18:00
初心者でも分かりやすいラインナップながらも、高品質で上級者からの支持も厚い。
そんなM.T.C.W.の代表である小野大輔さんにリールメンテナンスについてお話を伺う機会を得た。
小野「リールのメンテナンスって実はすごく簡単で、しかもめちゃくちゃ奥が深い。オイルやグリスを使い分けることで、リールを自分好みの味付けにしたり、釣り方に特化した性能を引き出せたりするんです」
実際にM.T.C.W.が手掛けたリールを触らせてもらうと純正とはもはや別物。巻きや回転が異次元なほどスムーズになっていた。
小野「すごいでしょ?(笑)そのリールは色々パーツも変えてるから。でも、パーツをいじらなくても、オイルとグリスを変えるだけで結構違う。今回は誰でも簡単にできるメンテナンスを解説していきます」
大事なポイント
オイルは一滴ずつ!
オイルは一滴ずつ入れるのが基本。
小野「写真のようにスポイトの先端からポタっと落ちるくらいの量が目安です」
メンテ必須グッズ
専用のものではないが、下記アイテムはぜひ用意してメンテナンスに挑んで欲しい。
・ピンセット
・キッチンペーパー
・パーツクリーナー
・ビーカーや紙コップ
スピニングリール(ドラグオーバーホール&オイルメンテ)
ドラグを分解
今回使用するのは23ヴァンキッシュ。スプールをボディから外し、ドラグからピン、座金、ワッシャーを取り出す。ピンセットがオススメだが、爪楊枝でも可能。
小野「取り外した順に並べるとスムーズに作業できますよ!」
座金、ワッシャーをパーツクリーナーで清掃
取り出した座金とワッシャーに付着している汚れたオイルなどをパーツクリーナーで洗い流す。
小野「外したついでに各部もきれいに拭き取りましょう」。
ワッシャーにグリスを塗る
ピンセットを使用して、ワッシャーの両面にまんべんなくグリス(MTDG-02)を塗る。
小野「たっぷりというよりはムラなく。うちのグリスだったらフタで作業するのがオススメです(笑)」。
元に戻したらドラグOHは完了
グリスを余計なところについたグリスを拭いて、順番に組みあげてドラグのオーバーホール(OH)は完了。順番は下からワッシャー→座金→ピンだ。
小野「ね?簡単でしょ!」
オイルメンテも分解から!
オイルは低粘度のMT-01を使用。
今回のメンテナンスでオイルを注入するのは、両側のハンドルを外した部分とスプールを外すと露出するメインシャフト部分。
オイルを注入して馴染ませる
リールを回してオイルを馴染ませる。
オイルは機構部をキレイにしてくれるので、シャフト部分は「オイル→回す→キッチンペーパーで拭く」を何度か繰り返すのがオススメ。
もちろん、汚れが出てこなくなったら拭く必要はない。どの部分も一滴ずつ注入する。
スプールとハンドルを取り付けたらOK
リールを元の状態に戻したらスピニングのメンテナンスは完了。
小野「やるのとやらないとじゃ大違い。とくにドラグは、きちんとメンテナンスしてると取れる魚が増えますよ。リールの寿命も伸びるし、愛着が沸きます」
ベイトリール(オイル&グリスメンテ)
ボディ、スプール、サイドプレートに分解 ドラグを分解
使用したリールは15メタニウムDC。まず、ボディとスプール、サイドプレートを外して分解。
小野「ベイトリールのパーツも外した順に並べておくのがオススメです」
汚れや古いオイルをしっかりと拭き取る
オイル&グリスを注入する前に、キッチンペーパーを使用してスプールシャフトやレベルワインダーを清掃。
3か所にオイルを注入
サイドプレートのベアリング、レベルワインダー、スプールシャフトにオイルを注入する。
レベルワインダーとスプールシャフトは、汚れが浮き出てくるため、キレイになるまでキッチンペーパーで拭きながらオイルを馴染ませよう。
スプールシャフトもキッチンペーパーで浮いてきた汚れなどを除去しながらオイルを注入する。シャフト全体に行き渡らせるようオイルを延ばすイメージで。
レベルワインダーにグリスを塗布
オイルを注入したら、ムラがないように延ばしながらレベルワインダーにグリスを塗布。このとき、爪楊枝にグリスを付けて、レベルワインダー全体に塗り広げる。
グリスはバス専用設計のMTGG-Bを使用。
元通りに戻せばベイトリールもメンテ完了
ボディにスプールとサイドプレートを組み込めばメンテナンスは終了。
小野「ベイトリールのメンテナンスもすごく簡単です。M.T.C.W.の製品は初心者でも扱いやすく作っているので、ぜひ使ってみてください!」
リールの性能を引き出すM.T.C.Wのアイテム!
メンテナンス時に必要となるオイルやグリスは様々なメーカーから出ているためどれを選べばいいか迷うかもしれない。そんな時は初心者でも使いやすいM.T.C.Wのアイテムがオススメだ。
グリス
MTDG-02[中粘度]
ドラグを究極性能へ
ドラグの究極性能を追求して開発されたMTDGシリーズの中粘度タイプ。グリス粒子を細かくすることで少量でも効果を発揮し、過酷なシチュエーションでもドラグの性能を引き出す。
MTGG-B
バス釣りのための専用ギアグリス
リールのギア部に馴染ませると強靭な極薄油膜を形成し、バス釣りに必要な感度の高い軽快な巻き心地を実現する。ギアの摩耗も防ぐため、リールの寿命も伸ばせる高品質グリス。
オイル
MT-01
小型リールの軽快さを向上
従来よりも1/10以下の超微粒子構造のMTオイルシリーズ。MT-01は、軽快な使用感を生み出す低粘度タイプで、小型リールにピッタリ。
MT-02
しっとりとしたシルキーな巻き心地に
MTオイルシリーズの中粘度タイプ。リールのシャフト部分などに塗布し、馴染ませることでシルキーな巻き心地を実現する。
コート剤
メンテナンス後に使用して、その性能を維持するためのコーティング系も紹介。
水性ガラスコーティング剤
Infinity
大事なタックルをベタつかないコーティングで守る
釣り具専用に開発されたガラスコーティング剤。リールやロッドだけでなく、クーラーボックスなどにも使用できる。傷や汚れからタックルを保護し、新品時のような艶を作り出す。
リールへ使う場合はリールの大きい面の部分に吹きかけ、マイクロファイバークロスなどで全体に広げていくと、キレイに塗布できる。
ラインコート剤
Protection-飛-
高耐久&抜群の飛距離
スプールに糸が巻かれた状態で吹き付けても、下の糸までしっかりと浸透するラインコート剤。飛距離の向上や毛羽立ちを抑制しながら、耐久性も向上する。PEライン以外のナイロン、フロロ、エステルなどにも使用可能。
糸が巻かれている状態のリールやボビンにまんべんなく塗布し、しっかりと乾かすことでラインをコーティング完了となる。