
エリアには多くの理論がある。魚を飽きさせないようなローテーションとか、高感度かつ軽量こそが正義とか、ソリッドティップとかカーボン製ガイドフレームとか…。そして、エキスパートアングラーは掘り下げられた理論にさらに独自の色付けを施す。他の人とは違う角度で。長い開発期間を経て形になった製品は、やり尽くされたかのように思えるエリアの中に新たな可能性を探る羅針盤なのだ。
●文・写真:丹律章
和田浩輝(わだ・こうき)
1999年神奈川生まれ、神奈川在住。プロアングラー。DAIWAトラウトフィールドテスター、SLP WORKSプロスタッフ。トラウトキング選手権大会では、第16回の総合2位、第17回と第20回の総合優勝でトリプルマイスターを獲得。FF中津川カップでは3年連続年間優勝を記録。
プレッソ・ワブクラJr. PRESSO WABCRA Jr.
ワブクラJr.にシャローランナーモデルが登場。フローティングタイプとスローシンキングタイプがあり、スペックは25mm/F=1.5g、SS=1.7g。
ルアーの目の縁が白色なのがF、オレンジがSS。
プレッソ・ワブクラJr. 25F SR PRESSO WABCRA Jr. 25F SR


プレッソ・ワブクラJr. 25SS SR PRESSO WABCRA Jr. 25SS SR


アピールの小さいシルエットに、ブルブルとラトル音のアピールをプラスしたクランク。ラトルはガラスビーズ1個で音色はかなり高音。やる気のない魚にスイッチを入れるのにラトルは有効だ。
「自分が最適と思うブルブル感と引き抵抗を重要視しました。前に押してくる分かりづらいバイトもブルブル感が抜けたタイミングで捉えられます。Fはバジングを含めた水面直下の攻略もできるし、ティップ位置によって30cm程度潜らせることも可能。Fは浮力が高いのでより波動が強く、最初に投入することが多いルアーです」
SSはやや早めの沈降スピードに設定。1g以下のスプーンのように、カウントダウンで沈めてから巻くレンジ攻略が釣果につながる。フルサイズクランクやスプーンで反応が鈍ってきたときの一手として頼りになるルアーだ。
「テールのスプリットリングは#0ですが、ベリーはフック交換のしにくさをカバーするために#1にサイズアップしています。そして、どうしてもフック間隔が狭くなるので、フック絡み防止のためベリーのアイを前方に傾けてあります。ガボッと食ってくる魚が多いときなど、テールを#7までサイズアップすることもありますが、それでもトラブル知らずです」
プレッソ・ワブクラスリム39F SR PRESSO WABCRA SLIM 39F SR
長いシルエットとウォブリングアクションで魚を呼び寄せる強波動クランク。ウエイトルーム内をウエイトが移動することでアクションが変化し、ルアーが勝手に誘いをかけてくれる。39mm/2.5g。


全長が長くアピールの強さでいうとワブクラ30MRよりも上で、一番強いポジションを狙ったハイアピールクランク。一番やる気のある魚を呼べる強波動なので、まずは表層中層にいる高活性の魚を釣るのに最適だ。
「1gくらいのスプーンで釣っていて反応が薄くなったときに、ハイアピールクランクという使い方も効果的です。スプーンに慣れてきたときに違う波動を登場させて、クランクへのローテーションにつなげるルアーにもなります」
ルアー内部には移動式ウエイトが入っていて、ウエイトが左右に移動することで動きがより大きくなったり、たまにチドってオートマチックな誘いをしてくれる。
「立ち気味のリップでブルブル感が秀逸です。これだけ立ったリップにすると普通は水面直下のルアーになるんですが、これはリップ形状で水を逃がすのでティップの位置次第で潜らせることも出来ます」
フッキング性能を高めるためにスプリットリング(#0)はダブル仕様だ。
プレッソ・ニョロクレイジー57S
PRESSO NYORO CLAZY 57S
ニョロらしい「へ」の字」型ボディを進化させて「ひ」の字になったDAIWAニョロ。重いので飛距離が出て、スプーンのようにカウントダウンすればあらゆる泳層を攻略できる。57mm/3.5g。


リップが大きめなので、スローリトリーブでもよく動くニョロ系ルアー。重量を利用して広範囲に探ることを得意とし、スプーンのようにカウントダウンであらゆる泳層を探れる。スプーンやクランクでも反応がない場合に効果的だ。
「トーナメントシーンでも有効ですし、投げて巻くだけの簡単操作なので初心者にも使いやすいと思います。サイズは大きく感じますが、細いので視覚的に弱く、抵抗を逃がす泳ぎなので波動も弱めです。ボトムでシェイクやズル引きもニョロ系の使い方のひとつです」
プレッソリミテッドAGS 61MLF PRESSO LTD AGS 61MLF
マイルドなMLで汎用性が高く、繊細なティップでバイトを弾かずに掛けていけるロッド。エステルやPEの低伸度ラインで使うML番手の決定版。
和田さんが理想とするMLのバットパワーとソフトティップの絶妙なバランスを突き詰めて、最新テクノロジーにより完璧なバランスに仕上げたMLのスペシャルロッド。
「エステルやPEライン用のロッドで、低伸度ラインにファストテーパーを合わせることでバイトを弾きにくく、バットパワーで掛ける設定です。とはいえ、極端なファストテーパーに合わせてバットはややマイルドな仕上がりになっています。だからワブクラジュニアも扱えるパワー幅があります」
トーナメントでは61MLFを2本用意して、それぞれエステルとPEをセットすることが多いという。
「エステルは1.5gから上のスプーンやクランク用に。PEはフルキャストで広範囲を探る時に使います。ルアーはフルサイズクランクやニョロクレイジーですね。さらに沖の放流魚をスプーンで狙うときにも有効です」
Tackle DATE
幅広いルアーを使えるセッティング。
今回はワブクラJR.を使用(右)
ロッド:PRESSO LTD AGS 61MLF(DAIWA)
リール:エアリティSTSF2000SS-P(DAIWA)
ハンドル:SLPWカーボンライトハンドル40mm(SLP WORKS)
ライン:プレッソ エリア TYPE-E 0.35号(DAIWA)
リーダー:トラウトフロロリーダー 2.5lb(DAIWA)
重め、引き抵抗の強めのセッティング。
今回はワブクラスリム&ニョロクレイジー用(左)
ロッド:PRESSO LTD AGS 61MLF(DAIWA)
リール:エアリティSTLT2000S-P(DAIWA)
ハンドル:SLPWカーボンライトハンドル40mm(SLP WORKS)
ライン:UVF プレッソ センサー+Si II 0.2号(DAIWA)
リーダー:トラウトフロロリーダー 2.5lb(DAIWA)
取材協力
足柄キャスティングエリア
神奈川県西部、箱根外輪山から流れる狩川水系に水脈を持つ管理釣り場。都心からのアクセスも抜群だ。
所在地:神奈川県南足柄市矢倉沢1682
電話:0465-73-2939