【なるほど!こういう仕組みか!】アナログ構造なのに自動でサミングしてくれる「ベイトリール」が凄い!『MAX X EZ CAST(アブガルシア)』

2025年もいよいよ本格的な釣りシーズンが近づいてきた。例年、多くのアングラーが年末年始に発表される新製品を見知って購入し、これからのシーズンに備えていくだろう。そんな最新アイテムのなかでもリールは注目を集めやすいが、一部で大きな話題を呼んでいるリールがあることをご存知だろうか? それはアブガルシアから発売されるベイトリール。なんと、バックラッシュを抑制する独自機構を搭載しているのだ。

●文:ルアマガプラス編集部

MAX X EZキャスト(アブガルシア)

アブガルシアのベイトリールシリーズのうち、ビギナー層をターゲットにしているのが「MAX」シリーズだ。

世界中で販売されるが故の高いコストパフォーマンスを誇るだけでなく、国産リールにはない高いデザイン性をも武器とするそのシリーズに、2025年、驚きの新製品が登場する。

その名も『MAX X EZキャスト(マックスエックスイージーキャスト)』。

●重さ:233g●ギア比:6.1:1●最大ライン巻取:65㎝●最大ドラグ力:7kg●ラインキャパシティ:モノフィラ12lb125m/PE1.5号200m●ベアリング:3+1●価格:8500円(税抜)

ベイトリールが持つ唯一とも呼べる欠点「バックラッシュ」に対抗するために、独自の機構『アンチバックラッシュシステム』を組み込んだリール。

そのほかの主な特徴は

・グラファイトフレーム、サイドプレート
・マグネットブレーキシステム(クランク側)
・ナイロン3号110m付き
・淡水海水対応

果たしてその実力とは…

構造はアナログ⁉ フラップと連動してブレーキがかかる

パッと見の印象は、一般的なベイトリールと大きな差はない。

ところがスプール上部、一般的にはサムレストとなる部分が開閉するフラップになっているのだ。

スプールから伸びるラインはこのフラップを経由し、レベルワインダーへと続いていく。

この構造により、キャスティング時のスプールからラインが浮き上がるとフラップが持ち上がるようになっている。

それでは中身を見てみよう。

EZキャストは入門者を対象としているだけあってそこまでメンテナンス性が高いわけではない。そのため、サイドプレートの開閉はコイン等を使って行う必要がある。

アブガルシアといえばマグトラックスに代表されるマグネットブレーキ機構だが、このリールには見受けられない。

代わりに、スプールに直接干渉する部品が設けられている。

実はこれ、フラップと連動して直接スプールに作用するブレーキであり、フラップが起き上がることでこのブレーキがスプールの軸を抑えつける方向に稼働し、ブレーキがかかる仕組み。『アンチバックラッシュシステム』と名付けられている。

フラップの位置とブレーキに注目

すでに電子制御によるベイトリールのバックラッシュ抑制機構は存在しているが、MAX X EZキャストはいわばアナログ構造。それがゆえのシンプルな構造で価格も抑えられているのが素晴らしい点ではないだろうか?

使ってみてわかる、リニアなブレーキ感

それでは実際の使用感をお伝えしよう。

マックスX EZキャストは標準でナイロン3号ラインが110m巻かれているので、ロッドさえ準備すればOKなのがありたがい。

メーカー推奨のルアーウエイトが7g以上とのことだったので今回はミディアムパワーの6フィート10インチロッドをチョイスしている。

使用する際にはフラップとその内側にある金属バー(センサーバー)の間にラインを通してからレベルワインダーにラインを通す必要がある点には注意していただきたい。

それでは3/8ozクラス(役10g)のルアーをつけてテスト開始。

フルスイングの遠投から左右のサイドキャスト、ピッチング、フリップキャストなどを試してみたが、確かにバックラッシュをしない。

慣れている人が投げれば、サミングしなくてもほぼ問題なくキャストできる感覚だ。

というかなまじ慣れているせいか、バックラッシュさせようとしてもなかなかさせられないレベルだった。(サミングなしで足元に向かってドボンと投げるとさすがにバックラッシュしたが…)

気になるブレーキのかかり方だが、簡単に言うなら「フラップがサミングをしてくれる」。この一言に尽きるだろう。

通常、ベイトリールに慣れたアングラーがキャストする場合、竿を振りぬいてスプールが回転している間、かすかに親指でスプールに触れるか触れないかの微調整を行っていると思われる。

マックスX EZキャストはまさにその親指の代わりをフラップが務めてくれるのだ。

詳細に説明すると、

1:キャストしスプールが回転
2:スプールがオーバーランし、ラインの浮き上がりが発生
3:浮き上がったラインはフラップを押し上げ、スプールを直接抑えるブレーキが稼働
4:スプールの回転が抑えられ、浮き上がりが解消
5:フラップが下がり、ブレーキが利いていない状態へ

といった具合だ。

正直、初めてこのリールの話を聞いたときは、バックラッシュしそうになったら事前にスプールが止まる、ぐらいの極端なブレーキを想像していた。

だが実際は人間の手によるサミングに近い、細やかなブレーキをかけてくれるリールだったのだ。

「ベイトリール」としての使い心地は?

バックラッシュしないアナログ構造を搭載したベイトリール、という時点で唯一無二の存在感を放つマックスX EZキャストだが、そもそもベイトリールとしての使用感にもなんら問題は感じられなかった。

まず、「アンチバックラッシュシステム」はOFFにすることができる。非常に素晴らしいシステムだが、キャストに慣れてくれば不要になってくるものだから、「アンチバックラッシュシステム」に頼る必要がなくなれば機能を止めて、普通に投げることが可能。

その際には内蔵するマグネットブレーキがキャストをサポートしアンチバックラッシュシステムON状態ではどうしても出しにくかった飛距離を稼げるようになるのだ。

また、MAXシリーズがハイコスパとはいえ、フレームやサイドプレートにはこだわりのグラファイト素材が採用されており、その剛性は価格帯からすれば必要十分。

使用したフィールドは管理釣り場としてはかなりバスの引きが強いといわれる「ドリームレイク」だったのだが、今回釣れたアベレージサイズのバスとのファイトにも何ら不安は感じなかった。

推奨ルアーウエイトが7g以上とのことではあったが、5g程度のルアーや3.5gシンカーを使ったフリーリグなら普通に投げることができた(使用していたロッド的にはきつかったが…)。また、2ozクラスのビッグベイトを投げてもブレーキはしっかりとかかり、バックラッシュを抑制してくれていた。

中距離ならメインでも使える⁉今後の発展にも期待!

驚きのバックラッシュ抑制システムを搭載した素晴らしい『マックスX EZキャスト』だが、唯一弱点があるとすれば、ルアーの飛びといえるかもしれない。

アンチバックラッシュシステムをONにしているときはもちろんだが、OFFにしてもマグネットブレーキは外から調整できないため、遠投したいアングラーは若干物足りなさを感じるかもしれない。

しかし逆に言えば、中~近距離におけるショートキャストを繰り返すようなシチュエーションであれば、アンチバックラッシュシステムON状態でもその飛びは全く気にならなかった。

むしろ、余計な神経を使わずともバックラッシュしないので、無心で投げ続けることができて、心地よさすら感じるレベル。

ムービング系ルアーで中距離キャストを延々と投げるような釣りをする際にはメイン機として使っても楽しそうだ。

今回は標準で巻かれているナイロン3号をそのまま使用したため、ほかの太さやフロロカーボンやPEラインを巻いた際の使い心地は調べることができなかったが、スペック上はPEラインには対応している。海水にも対応するので、様々な釣りに使えるのも高評価ポイントといえるだろう。

とにかくその機能に驚かされた『MAX X EZキャスト』。

ベイトリールに不慣れな人が最初に手にするリールとしては最適な回答といえるかもしれない。フラップ機構を有効にしていると、バックラッシュしそうになるとブレーキをかけてくれるのはもちろんだが、キャスティングの動作やサミングが適正に行えていればフラップは稼働しないので、適切なキャストを身に着けるのにも大いに役立つ。

もちろんすでにベイトリールに慣れているアングラーなら、必要はないかもしれないが、ガジェット好きアングラーならきっとハマるはず。

MAXシリーズだからこその安価にここまでの高機能が盛り込まれているのには感動だが、上位機種に搭載されても面白そうだ。ラインナップは1モデルのみなので、左巻きやギア比違いなど、横展開も含めて今後が楽しみなリールといえそうだ。

フラップの動きにも注目!動画で『MAX X EZキャスト』をチェック!

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