夏マサまでに覚えて起きたい! ヒラマサ船の船長が教える“フックセッティング”、基本から応用まで釣れるセッティングを伝授。

九州は玄界灘で遊漁船『将栄丸』を営む金丸将太さん。ヒラマサキャスティングのルアービルディング経験もある金丸さんが夏マサシーズンまでに知っておくべきフックセッティングを伝授してくれた。

●文/写真:金丸将太

ヒラマサキャスティングを営む金丸船長

はじめまして。佐賀県は唐津市呼子町で漁業の傍らヒラマサキャスティング等の案内をする遊漁船を営業している将栄丸の金丸将太と申します。

金丸さん

私は当時サラリーマンでガソリンスタンド勤務をしていたのですが、仕事前に父の船で出船し、ヒラマサを釣り、ルアービルドで制作したものを少量ですが販売をしたり宣伝になればと思い釣果や制作したルアーの写真をインスタグラムに投稿しておりました。

金丸さんの手掛けたルアー

すると「船に乗りたい」とルアー以外でのお問合せが増え、流石に許可が必要だろうと思い遊漁船業の許可を取ることにしました。

最初は仕事の合間に遊漁船をしておりましたが二年が経過しようかとする頃、私が鬱を発症してしまい仕事を休業することとなりしばらくは動けない日々を過ごしておりましたが、気晴らしに漁業に出ると、釣れる釣れる!そうなるとどんどんやる気も戻り、遊漁もその流れで再開し、結局仕事を辞め、漁業と遊漁船を本格的に始めることとなりました。

将栄丸

ヒラマサキャスティングのセッティングを伝授

さて、今回私が記事にさせていただくのが、ヒラマサキャスティングでのフックセッティングについてです。

ルアーのフックセッティング、皆さんいろいろな考えで色んな付け方をしていると思います。ルアーの形状や潮流、塩分濃度、高気圧か低気圧か、ルアー姿勢など、様々な場面でこの変化に対応する必要がありますよね。私の持論にはなってしまうのですが現場で私がよくやるセッティングやチューニングを書かせてもらえればと思います。

基本のセッティングは?

まず、ルアーはフロントとリアにフックが付くことが基本です。フロントとリアが同じシンメトリー、対称であるセッティング。このセッティングは購入時のパッケージや説明書で見るオーソドックスなセッティングです。

フロントとリアに同じフックを装着するオーソドックスなセッティング

これは扱いが難しくないプラルアーや潜りに特化したウッドルアーに最適なセッティングです。トレブルフックでは水嚙みが大きくなるので幅の出やすい大きいアクションのスイムになりやすいのが特徴です。

これから来る夏マサは、産卵明けで非常に貪欲になっています。真横から飛び出して来たり尻尾でルアーを弾き飛ばすようなバイトの仕方をします。

とても興奮はしますがそれと同時に確実にルアーに嚙みつくこともあれば、勢い余って針に掛からないことも多々あります。その際、魚を絡めとる必要がある際にトレブルフックが必要になってきます。

一方シングルフックやシングルツインではトレブルフックほど水嚙みが無く、抵抗が減るので泳ぎが滑らかになったり、ストレート寄りの動きになるルアーもあります。幅が出ない泳ぎの利点は、ダツやカマスなどうねうねとは泳がず直進するような泳ぎをするベイトの際に効果を出すことが多いです。

ダツやカマスなどのベイトにはシングルフックセッティングの直進的な動きが有効なことも。

最初、強めの泡を出すイメージでルアーを入力し、その後頭を出さないよう、ショートピッチで誘うと水中で食ってきたりルアーが浮き上がるタイミングで水柱が起こったりします。動きの緩急とちょっとした止めの動きのアンバランスさに魚はそそられるようです。

ちなみにシングルフックやシングルツインはとにかく掛かればバレにくいのが特徴です。トレブルを使っていてファイトスタイルによっては身切れを起こす方もいらっしゃると思います。そんな時はシングルフックやシングルツイン、試されるのもいいかもしれません。

船長が多用する応用セッティング

そして、私が一番よくやるセッティングがフロントとリアが重さも形も違うセッティングです。例えば、フロントがトレブルフックでリアがシングルツインの設定であったり、フロントがシングルツインからのリアがシングルなどです。

フロントとリアでフックが異なる応用セッティング。

このやり方はルアーによって泳ぎが変わるので現場や出船前の港、休みの日に港に行ってフック調整をして好みのセッティングを見つけてみるといいと思います。    

そして、このセッティングだとどうしてもフックのサイズでのバランスはいいけど泳ぎが荒くなりミスダイブが増える、といった状態になるときは、私の仲良くさせて頂いている福岡のルアービルダーさんから教えてもらった調整を行います。

バリバスさんのTGグレネードの2.5g・3.5g・5gのうち、どれかをフロントアイに付けて調整します。これにより現場でもフックを変えるのではなくウエイト交換のみで好みの泳ぎに変えることができてとても効率的でした。

TGグレネードを装着することで素早いアクション調整が可能に。

短い時合をいかに素早く調整し、魚に違和感なく食わせるかが大事になります。バスルアー用品ではありますが是非、ルアーケースに忍ばせておくのも良いかと思います。

これから夏マサシーズンが始まります。適切なフックセッティングでシーズンに備えましょう。フックセッティング次第で隣の方とのバイトの数に大きく差が出ることも少なくはありません。状況に合った調整をして夏マサの暴力的な引きを味わいましょう!

将栄丸のレコードサイズの141センチ21キロ。

金丸将太(かなまる・しょうた)

玄界灘エリアでヒラマサを中心に狙う遊漁船『将栄丸』を営む。ルアービルディングも得意で、フックセッティングなどに精通する理論派船長。

※本記事は”ルアーマガジンソルト”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。

※本記事は”ルアーマガジンソルト”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。