【変〇集団⁉】自分で作ったルアーだけが使えるバス釣り大会に出場してみた

【変〇集団⁉】自分で作ったルアーだけが使えるバス釣り大会に出場してみた

日本で一番ハードルの高いバス釣りトーナメントはなんだろう?JBトップ50?H-1GPX?確かに、どちらもそれぞれ異なった点で参加するためのハードルが高いだろう。しかしある意味もっともっと参加するためのハードルが高い大会があるのをご存知だろうか?その名は『自作杯』。自分で作ったルアーだけしか使えない大会だ。この記事でその魅力の一端でも伝わり、来年以降、参戦したいと考える人の助けになれば幸いだ。

●文:ルアマガプラス編集部

エクストリームな大会に興味津々!

ルアマガの福ピンクことフクシゲです。

『自作杯』を皆様ご存知でしょうか?

自分はもともと聞いたことがあるなあ…という程度でしたが、ルアーマガジン2024年9月号に掲載された大会レポート記事をみて衝撃を受けました。

昨年の記事はこちら

まず、自分で作ったルアーしか使えないという縛り…痺れる!!

普段のバス釣りはほぼ無限ともいえる選択肢の中から選べるわけですし、ハードルアーオンリーのH-1GPXですらまだまだ選べます。

もちろん、作ったら作った分だけ使える幅は広がるわけですが…まあ現実的ではないですよね(ちなみにワームはNG)。

そして参加費として、自作ルアーを提供。その自作ルアーはランダムで大会に参加した誰かの手元に参加賞としてわたるというのです。

自分が作ったものを誰かが使うというのはちょっとこっぱずかしいですが、色々な人の意欲作を使えるというのはめちゃくちゃ面白くないですか?

フクシゲは基本的に大会に出ようと思わないタイプなのですが、大学時代にルアー作りにハマっていた身としてはこんなに面白い催し、参加しない手はない!とエントリーを心に決めたのでした。

それと同時に、当日自分で使うルアー、そして参加費として提出するルアーを作るべく、ルアー作りを再開することにしたのです。

塗装ブースを買ったりとか…

ボート予約も熾烈⁉ 注目度高し!!

2024年の夏ごろからルアー作りを再開。環境を整え、コツコツと作っていきました。

そして3月某日、ついにエントリースタート!

ああ!エントリーせな!

と、気づいたときには会場となる新利根川のレンタルボート店『水神屋』さんのボートはほぼ満艇。

自分はなんとか和船の予約を取ることができました。

正直な話、そんなに一瞬でボートが埋まるなんて思っていませんでした…。注目度高すぎますね。

とはいえ、エントリーは完了。

あとは大会までにせっせとルアーを作るだけ。

最初は会場が新利根川ですし、やっぱりクランクベイトかなあと思っていたのですが、いかんせんモチベーションがあがらず…結局は好きな形であり、大学のころから削りなれた「上反りミノー」を中心に作ることにしました。

大会前日にやらかす(ここがクライマックス)

時間は一気に進んで6月。

予約した船が和船であり、水神屋さんを利用するのも初めてだったので自作杯の前日お昼ごろから新利根川入りしました。

幸い、不安だったボートセッティングもすぐに完了。

プラクティス…というわけでもないのですが、慣れない和船と風に翻弄されながらも船を出します。

持ってきたルアーたちの最終的なスイムチェックを終えて、当日の戦略(なんてほど大層なものではありませんが…)を立てるべく、洲ノ野原を回ります。

そして狙っている地形で狙っている釣り方を試したところ…

やってしまいました。

8㎝のミノーがずっぽり丸のみ!メジャーには乗せていませんが、ゆうに40㎝はあったはずです。

バイトの瞬間まで丸見えだったので、うわっ出た!今かよ⁉今なのかよ⁉

と終始うろたえていたのをよく覚えております(笑)

2025年の初野良バスだったのでうれしさ半分やってしまった感半分でプラクティスを終了しました。

『第5回 自作杯 supported by イヨシコーラ』スタート

そして当日を迎えました。

4時半受付開始とのことでしたが、早めの4時頃に水神屋さんに伺ってみるとすでにスタートしている様子。

早速自分も受付を済ませます。

水神屋さんに入ってまずはエントリー。

事前に申請した名前を伝えて、協賛品となる自作ルアーを提出します。自分はルアマガのボックスに入れて提出しましたが、小さなビニール袋を用意してくれているので、裸で持って行っても大丈夫そうでした。

協賛品ルアーたちが紙袋に入れられて中身が見えなくなった状態で並んでいる様子は圧巻!!

また、この際に大会中に計測するときに一緒に撮影するステッカーもこのとき受け取ります。

そしてここでタックルボックスチェック!

大会ルールでもある「自作ルアーしか使えない」の部分をクリアしているかをチェックするのですが、確認するスタッフさん(Tさん、みかんさん)も力作を見るのが楽しみなようで、一人一人とじっくりと会話をしていました。それがなんだかホッコリ(笑)。いや、脇で見ていて自分も興味津々でしたけども(笑)。

そうそう。忘れちゃいけないのが、今回の大会にはバスプロ・川村光大郎さんが参戦!

恐れ多くも自分と同じく昨年のルアマガを読んで興味を持ったのだとか。ちなみに協賛品はブレードがアワビ張りで、スカートを川村さん自らが巻きなおした超スペシャルなビーブル!!

話は戻って、タックボックスのチェック後は水神屋さんにボート代の支払いを行い、準備完了!

気が付くとたくさんの選手で水際は賑わっていました。今回で5回目の開催ですが、39名がエントリー、35人が参加していたそうです。

ボートセッティングが終わるころには代表の挨拶やルール説明がはじまり、5時半ごろに試合スタート!

自分は一目散に洲ノ野原へ向かいます。

川村さんやTomato Luresさんも同方向に向かっており、川村さんは水門を抜けて右奥へ、Tomato Luresさんは出てすぐ左のバンク沿いに船を向けていました。

どちらもやりたかった(前日触っていた)場所ではありましたが、逆に前日は風が強くて触れなかった入りたかった場所(水門を出て正面のアシのストレッチ)から釣りを始めることができました。

自分が狙っていたのはボトムが見えるか見えないかくらいに水深が浅いなだらかな岸際。前日に釣れたのもまさにそんなシチュエーションで、ジャーク&ポーズ的な、いわゆるウキウキメソッドで釣れていたのです。

ファーストポイントは狙い通りの地形。風もほとんどなく釣りやすい条件だったのでこれはチャンスだなとミノーでダートさせてポーズ…を繰り返していると、数分でバスが急接近する姿を確認!いける!いける!

そしてさらに数分後、2回のダート後に浮上しようとするルアーに猛然とバイト…!

渾身のフッキング!

も、すっぽ抜け…!

試合開始から1時間ほどの出来事。まだまだ時間はある!チャンスはある!と、思っておりましたがその後は徐々に風も強まり、狙いの釣りが機能せず?でチャンスもなくゲスト3匹キャッチで終了。

無念の帰着となりました。

トホホ…

風が吹き始めたくらいのタイミングで川村さんがとんでもない魚を釣っておりました。

みんなクランクで釣ってたのかぁ

そんなわけで意気消沈しつつ帰着。

でも自作杯のお楽しみはここからでもあります。

そう。参加賞のルアー!

船を降りたら水神屋さんで帰着申請をして、サポートしているイヨシコーラさんの「イヨシコーラ」を受け取り、紙袋に入った力作をひとつ選びます。

福ピンクが選んだ袋に入っていたのは…

自作杯代表のTさんが作っているミノー!

同じリアルミノーを作るものとして、とても気になっていたビルダーさんのアイテムがアタリました。ヤッフー!

どうです。きれいでしょう。

ハンドメイドルアーの神様・泉和磨さんリスペクトのアルミ張りは目を見張るものがありますね。

そんなわけでいただいたルアーをニヤニヤ眺めていると、閉会式がスタート!

第5回 自作杯 supported by イヨシコーラ

優勝は…

川村光大郎さん!47.5㎝!デカっ!

写真を撮ったあの魚です。真珠棚で、手曲げのビーブルフルサイズを使っての釣果だったそうです。

とまぁ川村さんの釣果は参考記録ということにして(なって)、上位3名は…

優勝は持田さんの41㎝!

新利根川の赤い橋(松屋ボートからみて最初の上流側にある橋?)のあたりで、水深1mくらい潜るフラットサイドクランクでキャッチしたとのこと!

2位は大会主催者であるTさん。

この日のために作った?というクランクベイト「圏央道」を駆使して、圏央道の先にて38.5㎝をキャッチ!

続いて3位はジャントマ(Tomato Lures)さん。

洲ノ野原のタイフーン駐艇場の先にて、クランクベイトをロッドワークで操作する水面使いで38㎝をキャッチ!実はタックルボックスを忘れてしまっていて、1つだけ持っていたクランクベイト「トマト」を使っての3位入賞…すごすぎ…!

といった感じで、川村さんを除く上位3名はクランクベイト…!

ほかの人の釣果をみても、結構クランクベイトで釣っている模様。クランクベイト…頑張って作るかあ…

そして表彰式後はじゃんけん大会で大盛り上がり!

福ピンクも幸運なことにクランクベイトをゲット!!

ほかにも参加した方、今回は出ていない人など、様々な人からの協賛が集まって景品は超豪華!

ちなみにセルロースセメントが争奪戦になっているのがさすがだなと思いました(笑)。

閉会後も、自分は話の輪に加わることはできませんでした(次見かけたら声かけてください笑)が、皆さんがハンドメイド談議に花を咲かせているのが本当に素敵だなと感じた次第です。

そもそもなぜ誕生したのかを聞いてみた

最後になりますが、主催のTさんに少しお話を聞いてみました。

まず、なぜ自作杯をやろうと思ったのですか?

「ハンドメイドルアーって造詣の美しさやアイデアの凄さとかで語られることが多いと思いますが、そもそもルアーですからね。いかに釣れるのかを競うのはどうかな?と思ったんです。最初こそ7人しか参加者は集まらなかったのですが、25人、34人…と回を追うごとに増えていって、今回は40人近い方にエントリーしていただけました。ルアーを作って、その成果を発揮できる場所。やりこんできたことを披露できる場所として、認知していただけているのだと思います」。

せっかく作ったルアーなのだから、しっかりと釣れるところを見せたい!というビルダーさんがたくさんいたということですね。

個人的には参加費・参加賞がハンドメイドルアーというのもすごく面白い試みだなと思いました。

「売るのはちょっと…という人でも、人に使ってもらいたいという思いがあると思うんですよ。こういう場がなくても身内に使ってもらうということはあるかもしれませんが、ここなら仲間内以外にも使ってもらえるきっかけになりますからね」

作るモチベーションであったり、もっともっといいものを作ろうとするきっかけにもなりますよね。

「参加賞として獲得した誰かのルアーをいい時期に投げてみてほしい。そう思って自作杯は例年この時期(6月頭)に開催しているんですよ」。

本当に素敵な大会だなと、参加してみて実感しました。

課題や今後、どういったルアーを自分は作りたいのか…そういったこともわかってきたので、来年も絶対に出場しようと思いますのでよろしくお願いします!

スペシャルサンクス!参加した皆様のルアーを紹介!

今回参加した方のうち、掲載OKの皆様のルアーをご紹介!(撮影順にて掲載です)

SNSのリンクも貼っておきましたので、気になるビルダーさんの動向にも注目してみてください!

Stumpmasterさん
ヘドンのイエローバードというカラーのオマージュカラーを塗装したクランクベイト「ヴィンセント」。Stumpmasterさんはトップウォータープラグもよく作っており、こちらは最初に作ったクランクベイトとのこと。くっきりとした蝶の柄が美しい。

すずきたくみさん
いわゆるバド系プラグを目指したルアー。が、沈んでしまうとのこと。そのおかげもあってか、OSPのダックビルのようにブリンブリン泳いでくれるそうなので、ぜひともアクションを見てみたい。昨年はこのルアーで2位になっている。

jimiさん
ジョイントボディのギル型フラットサイドプラグ。首振りメインで使用するが、ジュボっと潜らせることも可能な多芸ルアー。試合中は惜しくもキャットフィッシュをキャッチ。ラインアイの位置にこだわりを感じる…!

sidekickさん
シャロ―エリアを狙うために作ったスピンテールミノーで水深20~40㎝程度が主戦場。ブレードの抵抗によってアクションが転ぶこともあるとか。シャロ―ラビットを彷彿とさせるメリハリボディにスイベル埋め込み型のテールブレードが組み合わさっており、アクションが気になる。

turboRさん
3Dプリンターを駆使したルアーというだけでもすごいのに、出目金をモチーフにしているというから驚き。ルアーとしてはいわゆるクローラーベイト系で、もともとはナマズ狙いで作っているとか。そのため、ケミホタルを刺すことができる。

Noirさん
超綺麗なリアル系ミノーにプロペラがついたゴージャスなスピンテールミノー。バグリーのスピンテールバングオーが好きだけどペラの回転に不満があったとか。だからといってステンレスでプロペラまで自作してしまうのはすごすぎる…

スイングベイトさん
津久井湖でワカサギシーズンに使うことを意識したミノー。基本的には潜りすぎない設定だが、今回のモデルは津久井湖よりも濁っている新利根川を想定し、リップを大きくした特別バージョン。丸みのあるボディラインにこだわりを感じる。

モツ坂本さん
シンプルかつ間違いのないデザインのバルサクランクでハイピッチアクションが身上。何個か作った内のアタリルアーがこの子だとか。基盤リップのハンドメイドクランクベイトが多い中、ポリカーボネート(?)のリップを採用しているのがカッコいい。

melloさん
ウッド素材で作られたクランクベイト。リップはメタルリップで、半固定。そのおかげでストレートリトリーブで千鳥アクションを発生して、前に行ったり後ろにいったりするとか。異次元のルアー⁉泳ぎを見てみたい。

fujikatsu1224さん
一見するとフラットサイドクランクだが、ジャークさせるのが狙いだとか。もちろんクランクベイトとしても使用可能。いわくまだまだ煮詰め切れていないプロト。鱗模様が緻密で非常に美しい。

木枯らしさん
オイカワカラーが美しいフラットサイドクランク。潜行レンジは極々浅く、ロールアクションに極振りした設計。岸際狙いの釣りを想定しているとのこと。新利根川はまさしく活躍してくれそうだ。

時雨工房さん
クランクベイトをシェイクさせる「シェイキー」に対応させたクランクベイト。その草分け的存在のひとつ「ワギ―(グラベル)」よりも弱めのアクションで、食わせ能力が高い。ちなみにやはりシェイキー対応のクランクはバランスが難しいらしい…。

オーノ/swamp man luresさん
牛久沼がホームで、西谷田川にてテストを繰り返してできたのがこのクランクベイト「ニシヤタクランク」。潜行レンジは浅め。飛ばし塗装の美しさが目を惹く。

shin46さん
バルサ製フラッドサイドクランク。スローリトリーブなら強いロールアクションだが、リトリーブ速度を上げるにつれて対とアクションに変わる可変アクションが武器。

GAMBLER96-07さん
スピンテールミノーだが、全長130ミリというインディーズトップ的サイズ感。リップの取り付け位置やシルエットに強いオリジナリティとこだわりを感じる。大会にはハンドコンで参戦!

赤池太郎さん
今回の自作杯では唯一のシャッドタイプのハンドメイドルアー。シンキング仕様ながらもブリブリとしたアクションとダートが得意。操作性も高く、サイズ問わず釣れるとのこと。

ケイジュさん
ブリブリとした派手な動きを見せるハイアピールタイプのクランクベイト。そのままだとあまりにも動きすぎるのでベリーアイにはシンカーをぶら下げて使用するほど。

サダキチさん
強めのアクションが出るように設計されたフラッドサイドクランクで、新利根川のようなマッディウォーターで使うことを想定。いわゆるフィネスカバークランクに対応する。

塗料屋。ちっちさん
巨大なリップが目を惹くクランクベイト。塗装が非常に美しい。深い場所を狙うのかと思いきや、フローター釣行時に岸際で急潜行させたり、倒木を避けさせるのが狙いなのだとか。

gomaさん
大き目リップに前後ダブルフックと、見るからにスナッグレス性能の高そうなクランクベイト。ナガエツルノゲイトウの脇に入れてシェイクして使用したとのこと。ハンドメイドルアー歴4か月でここまでコンセプトを突き詰めているのはすごい…。

としぞうさん
ロールアクション主体のフラットサイドクランク。自身が好む、ぴらぴらとした細かい動きにこだわった。非常に丁寧な仕上げで美しい。

Zicoさん
ブルーギルシルエットのシンキングフロントペラスイッシャー。芦ノ湖のギル食いバスを狙って制作。フラットボディによる水押しと、ぺらぺらとした動きが特徴的とのこと。動きを見てみたい。

m.m_springtideさん
夫婦で参戦。クランクベイトは旦那さんが作成し、奥様が色を決定。スピナーベイトはヘッド型から作成。シングルコロラドによる強い振動により、スカートがイイ感じに動いてくれる。

京山侑澄さん
六度九分 のバズボンリスペクトのプラグ型バズベイト。設計難易度が高く、ペラの角度をここまで起こさないと潜ってしまうという。試合中は凪いだタイミングで食わせることに成功。

Last Castさん
ただ巻きもドッグウォークも得意なノイジー系ルアーと新しい食わせ方を追求中のビッグベイト。どちらも最大の特徴はボディ構造にあり、ウレタン樹脂を使用。しかもコアと外殻の二重構造になっており、浮力と強度を両立させている。

みかんさん
ファットボディ+コロラドブレードのノイジークランクで、水面直下を引くことができる。水性ペンによる手書きで表現されたフロッグカラーが非常に美しい。

Tさん
自作杯主催のTさんのルアー。過去に新利根川の圏央道上流側でいい思いをしたことがあり、そこからヒントを得て制作している。岸際でも沖側でも活躍してくれる

Tomato Luresさん
最初に作って、最初に発売したクランクベイト。ハイピッチアクションのバルサクランクで、中層はもちろん、水面で使ったり、移動距離を抑えた誘いも得意。

参加選手の詳細はバサーを読んでみてください(笑)よりアツくまとまっています!!

※今回はルアマガの掲載はほんのちょっとです。ゴメンナサイ!

※本記事は”ルアーマガジン”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。