
初心者~上級者問わず大人気のエメラルダスMXイカメタルシリーズから、2025年追加で4機種が発表された。4ft台の超ショートレングスモデルからダイワ初のグラスソリッドティップ採用モデルまで、どれもこだわりが詰まった注目アイテムだ。今回は「イカメタルの伝道師」こと、ダイワフィールドテスターの岩城透(いわきとおる)さんに‘‘タックルについて‘‘解説してもらった。
●文:ルアマガプラス編集部(山川)
独自の理論で多くの釣り人にイカメタルの魅力を広めている岩城さん
エメラルダスMXイカメタルシリーズとは
高い実釣性能を誇るイカメタル・オモリグのベーシックロッドである。N(乗せ)、K(掛け)、OR(オモリグ)3つのコンセプトで展開しており、レスポンスの向上を図る X45、軽快な操作性が売りのメガトップ穂先(見やすいオレンジ塗装)を採用。
ベイトモデルには軽量 ZERO₋SEATキャビティトリガー、スピニングモデルにはエアセンサーシートスリムフィット ダウンロックを搭載。まるでワンピースのような使い心地が味わえる V-JOINT、軽量性とパワーを融合した HVFも搭載したハイコストパフォーマンスロッドだ。
エメラルダスMXイカメタルシリーズはラインナップが豊富で、性能が尖った機種も多いので、使い手のレベルに関わらず「こんな誘い方をしてみたい!」「もっとアタリを取りたい!」といったステップアップにもしっかり応えてくれる。
エメラルダスMXイカメタル追加4機種の紹介
2025年、MXイカメタルシリーズへ新たに追加された4機種は①K410LB-S・②K56ULB-GS・③N65LB-GS・④K60LS-Sである。4フィート台の超ショートモデルから初のGS(グラスソリッド)トップ搭載モデルまで、それぞれの誕生秘話からどんな釣り方に適しているのか等、岩城さんへのインタビューをもとに紹介する。
2025年エメラルダスMXイカメタルシリーズに追加の4機種
①K410LB-S
昨年発売されたAIRモデルのMXバージョンK(掛け)モデル。ショートロッドが持つ軽さや操作性はそのままに、初心者~中級者にもお求めやすくなったロッドだ。
イカメタルシーズン盛期となる初夏~秋にかけて、特に日本海エリアは穏やかでベタ凪の状況が多い。そんな時に一番面白いロッドを作ろう!という思いから製作が始まったそうだ。「一番面白いロッドを…」という部分が、なんともイカメタルを愛する岩城さんらしい。
ショートロッドの構想としてはなんと2012年からスタートしていた。では何故、十数年経った今発売になったのか?そこにはお客様の習熟度を現場で感じてきた岩城さんの考えがあった。当時、イカ釣りというのはスローテーパーで長い竿でないとバレてしまうのではと考える人が非常に多かったのだ。
イカメタルをやり始めた人にいきなりショートロッドをおすすめするのは難しかったが、スッテを操作する重要性が分かってきた人、イカメタルのゲーム性の高さを嗜む人が増えてきたこのタイミングで発売するのがベストだと考えたそうだ。
一番のメリットとしては、軽くてシャープなショートロッドならではの非常に細かなスッテの操作が可能になっていること。細かい操作ができることで、イカにスイッチを入れて釣ることができる。やる気のあるイカだけを狙うのではなく、こちらから積極的に誘いをかけてやる気のないイカにも触らせることができるのだ。車で言うと、マニュアル車を運転するのと同じような面白さがここにあると岩城さんは言う。
ロッドが短いことでストロークが取れない=スッテを大きく動かせないと思われがちだが、バットパワーを強靭にしているおかげで深場でもしっかりスッテを飛ばすことができ、ショートロッドのデメリットをカバーできている。
また、強靭なバットパワーかつ穂先は繊細にすることで、軽いスッテから重たいスッテまで幅広く使える点も凄い。大きなスルメイカのダブル掛けでも難なく釣りあげることが可能。キャンパスの少ないショートロッドでこれだけのギャップを持たせられるところにダイワの技術力の高さが伺える。
持つだけでわかる軽さと扱いやすさ!このショートロッドには岩城さんのこだわりが詰まっている
GS(グラスソリッド)トップ搭載モデル
ダイワ初のグラスソリッドトップ(以下GSトップ)搭載モデルが発売になる。こちらも十数年前から構想はあったものの、2025年満を持してラインナップされるのは何故か。そこにもストーリーがあった。
イカメタル創成期には「イカメタルとはなんぞや?」といったお客様が多かったため、シャープで扱いやすくトラブルレスのカーボントップや、穂先折れが非常に少ないメタルトップを打ち出していた。
しかしここ数年でお客様の習熟度も上がってきており、今こそ目感度でアタリを取るのが好きなアングラーにも選択肢を!ということで今回追加に至ったわけだ。
言葉では説明し難いが、細かいアタリが鋭く出るカーボントップに比べて、GSトップはアタリが大きく出る。もちろん一長一短あるだろうが、筆者を含めイカメタルが好きな方であれば、穂先がグゥーっとが抑え込まれたり、ブワッと浮き上がる瞬間はたまらないものである。
目で見て楽しむイカメタル。カーボン素材に比べてどうしてもブレてしまう(だるい)グラス素材を嫌厭していた方も、ここに新たな魅力や面白さを感じて欲しいという。
グラスソリッド部分は視認性の高いイエローカラー!釣具店で探す際も見つけやすい
②K56ULB-GS
GSトップ搭載のK(掛け)モデル。「掛ける釣りなのにしなやかなグラストップ?」そう思った方も多いと思うが、しっかりフッキングできるようティップにかけてのテーパーが専用設計されているので心配ご無用。
掛け調子は良くも悪くもロッドワークや船の動揺がスッテに伝わりやすいのだが、そのあたりをGSトップがうまいこと吸収してくれるので、スッテやドロッパーを安定させることができるという。
つまり、ひとつスッテ等で積極的に誘って掛けていくゲームを楽しみつつ、ドロッパーの釣り(じっくり潮に乗せる釣り)にも対応するという欲張り仕様のロッドなのだ。
N(乗せ)に近い特性も持っているので、K(掛け)モデルをはじめて使う方でも馴染みやすいロッドになっている
③N65LB-GS
レングス・調子ともにイカメタルのど真ん中「王道調子」のN(乗せ)モデル。地域によってはドロッパー二個付けの長い仕掛けを使うエリアもあるが、全国どこへ行っても使いやすい6.5フィートで設計されている。
そのしなやかさで水中のリグをしっかりと安定させ、イカが乗りやすい姿勢を作り出すことができる一本である。筆者も度々遭遇するが、バシバシ誘うよりもロングステイが有効な日。こういったタイミングで重宝されるロッドだろう。
レングス・調子ともに、全国津々浦々どこへ行ってもイカメタルゲームを楽しめる王道モデル
④K60LS-S
名竿ベイトロッドK60LBのスピニングバージョン。以前からお客様の要望が非常に多いモデルだったが、最近では東北の浅場でヤリイカを狙ったり、ライトオモリグのような釣りも流行っており、そこへ対応できるよう復活した。
バットは強靭にできており、20号程度のスッテ、オモリグは難なくキャスト可能。穂先はしなやかに作られているので、目感度も十分だ。
集魚灯が点灯する前のジアイではない時間帯でもキャストして広く探ることができる上、点灯後には少しキャストした先の明暗(明るい場所を暗い場所の境目)を狙うこともできる。キャスト後のカーブフォールで連発!なんてのもよく聞く話だ。イカメタルといえば縦の釣りになりがちだが、キャスト=横の釣りができることで釣果にも大きく差がつく可能性がある。
「スピニングを使える人と使えない人とではこの先のイカメタル人生変わってきますよ!」と岩城さんは言う。それほど横の釣りができるというメリットは大きいのだろう。スピニングロッドは未だに持っている人が少ない印象を受けるが、この機会に購入を検討してみてはいかがだろうか。
「縦の釣り」だけでなく「横の釣り」を意識することが釣果を伸ばすための重要なポイント!
教えて!岩城さんのタックルセッティング
岩城さんは普段どんなタックルで釣りをしているのか?筆者を含め、気になっているアングラーも多いと思うので根掘り葉掘り聞いてみた。ここだけは譲れないといった岩城さんのこだわりも知ることができたので、是非参考にしてみて欲しい。
イカメタルの伝道師はタックルセッティングにおいて何を重要視しているのだろうか
ベイトリールについて
●メタル ティエラ AIR IC 100HL
岩城さんが主にリール選びにおいて重要視するのは、リールの重量・ギア比・トラブルレスかどうかの3点だという。
リールはラインスラック(糸フケ)を効率よく巻き取るためにハイギアモデルを愛用している。ただし、スッテを飛ばしすぎず棚を細かく丁寧に刻んでいきたい状況や、イカの多点掛け(追い乗り)が期待できる状況で、パワフルで安定した巻き上げを求めるのであればギア比を落とす。
一番のこだわりは浅溝スプールであるかどうか。極細のPEラインを使う釣りなので極力ライントラブルを減らしたいといった思いがある。
続いて、新型のティエラ AIR ICについて詳しく教えていただいた。近年、環境の変化によりイカが釣れやすい水深(棚)が深くなってきている場所が増えてきているそうで、岩城さんが足繫く通う福井県敦賀エリアでも同様の現象が起こっているのだとか。
それに比例して使用するスッテも徐々に重たくなってきているのが事実。重たいスッテを深場から巻き上げてくるパワーを重視したいという点で、新型のティエラ AIR ICは軽さに極振りせず、ギアボックスを大きくしているそうだ。
また、PE専用のベイトフィネス機種に採用されているスプール形状(糸巻き面両端の段差)を採用し、糸ガミの可能性を低減しているとのことで、「私のようにリールを横向きにしてロッドを捌く方でも、より安心して細糸PEラインを使用することができる」と教えてくれた。ライントラブルで頭を悩ませてきたアングラーにとって、かなり嬉しいポイントではないだろうか。
さらに、クラッチワークの連続であるイカメタルゲーム。以前よりクラッチが切れる位置が深い(低い)点が気になっていた岩城さんがクラッチポイントを変えて欲しいと声を上げた。開発チームはmm単位での細かい調整を繰り返し、最終的にはクラッチが切れる位置を1.5mm浅く(高く)することで、より軽快なクラッチワークが実現したのである。これは動画やカタログ等では語られていない情報で、ここまで聞くとティエラ AIR ICが欲しくなってきてしょうがない(笑)
岩城さんそしてダイワ開発チームのこだわりが詰まったティエラ AIR ICを是非使ってみて欲しい
スピニングリールについて
●メタル イグジストPCLT2500
●オモリグ セルテートLT4000‐C
キャスティングメタルやライトなオモリグには2500番のパワーカスタム(ローギア)がおすすめ。大きめのギアで巻き上げ力が高く、2500番の糸巻量がちょうど良い。
ちゃんとしたオモリグに使うのであれば、4000番のノーマルギアが岩城さんのファイナルアンサー。巻き取り長さと巻き上げ力のバランスが完璧にオモリグの釣りとマッチしているそうだ。
たとえオモリに40号や50号を使用するような海域でも、4000番のノーマルギアであれば力強く巻き上げて、しっかりとエギを動かすことができる。
この時筆者は「でも4000番って重くない?」と思ったが、自重235gのセルテート4000番持ってみて!と岩城さんに渡され、セルテートの4000番ってこんなに軽かったっけ…と自分の思い込みが恥ずかしくなった。
思い込みはNG!軽くて強い!現代のリールは恐ろしいほど高性能である
ラインについて
●メタル PEライン:0.5号 リーダー:フロロカーボン2号
●オモリグ PEライン:0.6号 リーダー:フロロカーボン3号
リーダーの長さについては、極細PEラインの感度を極限まで活かしたい人は短くするし、イカの身切れを防ぐ為にショックリーダーとして機能させたい人は長くする。人それぞれが思う長さで構わないと岩城さんは言う。
岩城さんは利便性を考えて、リールのスプールをサミングしている親指にPEラインとリーダーの結束部が当たるところで竿を持ち上げるとちょうどスッテが掴める長さにセッティングしているという。おおよそブランクスの2倍程度といったところだ。
あまりにも短すぎると仕掛け(イカメタルリグSS等)がPEに絡んでしまうこともあるので、仕掛けよりは長めに取ると良い。
エメラルダス イカメタルリグSS とは
高感度&トラブルレスを突き詰め、現代のイカメタルにアジャストしたイカメタルリグの新基準として発売となったイカメタルリグSS。その名の通り、スイベルには驚異の回転力SaqSasスイベルを使用し糸ヨレを軽減している。岩城さんの推しポイントはダイワのNEWラインスペクトロンセンサーが採用されていること。フロロカーボン並みの低比重と低伸度で、感度が抜群に良い。さらに糸グセは手で伸ばしてあげると簡単に取れる。吸水性も低く長寿命なので、コストパフォーマンスにも優れているという。
●スタンダードタイプ:理想的な枝間とキャストのしやすさのベストバランスとなる全長120cm。エダスは7cmで、Dビーズマーキングにて接続しているのでハリス交換も楽々。
●キャストタイプ:胴の間からのキャスト、ショートロッドでもストレスなくキャストすることができる全長90cm。エダスは7cmでDビーズマーキングにて接続しているのでハリス交換も楽々。
●直結タイプ:幹と枝を直結した軽量モデル。やりこんでるるイカメタリストほどsimple is bestを選択する。たたかれ続けてナーバスになった真夏のマイカやもともとセレクティブな状況になりやすい冬のヤリイカ釣りに最適。人数が多く乗った盛期のイカメタルではオマツリ時のほどきやすさもウリのひとつ。エダス7cm。
●ダブルタイプ:太平洋側のイカメタルで多用されるダブルドロッパーに対応。全長は長くなりすぎない150cmをチョイス。エダスは7cmでDビーズマーキングにて接続しているのでハリス交換も楽々。
※ドロッパーの数は船によって定められているケースがある。あらかじめ確認しルールに沿った使い方をすること。
高性能ライン「スペクトロンセンサー」是非実釣で使ってみたいものだ
エメラルダス イカメタルドロッパージョイント とは
イカメタルドロッパージョイントの性能に迫る
頭とボディがジョイント構造になっており、艶めかしいジョイントアクションがバーチカルの釣りにも効果を発揮するエギタイプのドロッパー。水中でボディがフワフワと安定(浮遊)するのでイカが抱きやすく、ジョイントがフレキシブルに可動してくれるので、掛かったイカがバレにくい特徴も持っているそうだ。
実際に釣りをする環境において、船の主機や発電機の音が響いていたり、ベイトが湧きまくっているような状態では、いかに自分のドロッパーに気づいてもらうかが重要となる。そこでキモとなってくるのがこのジョイント構造だ。陸上でドロッパーを振ってみるとヘッドとボディが連続的にぶつかり、カチカチと魅力的な音がする。実際にカメラを使って海中で観察したところ、ラトル音のような良い音色を発していたそうで、これが強力なアピールになっているのである。
これだけギミックが搭載されていると、ジョイント部分にリーダーが絡まってトラブルを起こすのでは?と思う方もいるかもしれないが、岩城さんが三日三晩テストを繰り返した結果、他のドロッパーと遜色なく、懸念されている糸絡みは起こらなかったそうだ。
ドロッパーサイズは2.5号で、フォールスピードが4.75(秒/m)のノーマルタイプと、8(秒/m)のスローシンキングタイプがある。岩城さん流の使い分けとしては、広い棚を素早く探っていくハイピッチの釣りでは素早く潮に馴染んで欲しいためノーマルタイプを使う。棚がある程度絞れた状態で、ドロッパーを潮に乗せ、じっくり見せたい時にはスローシンキングタイプを使う。
注意するポイントとしては、潮が速すぎたり、底潮が舞い上がるような状況ではドロッパーが浮いてしまうことがあると言う。特にオモリグではオモリの位置よりもドロッパーが上にある状態=枝スが張っていない状態だとイカが乗っても竿先にアタリが出づらくなる。
アワセを入れた際にワンテンポ遅れてイカの重みが乗る時や、アタリの出方がいつもと違う時にはドロッパーが潮流に持ち上げられている可能性があるので、こういった状況ではスローシンキングタイプではなく重さのあるノーマルタイプを使うと良い。
カラーは鉄板色ばかりで選びやすい。下地のテープには赤、夜光、ケイムラの他にシルエットで見せるマットな赤と黒もラインナップしている。
イカメタルゲームにおいて、ウェイトセレクトはもちろん、カラーセレクトも非常に重要になってくる。幅広いウェイト、カラーを準備して、このドロッパーで釣れているがこのドロッパーではどうか?といった具合に、試行錯誤する過程も楽しんでもらいたいと岩城さんは言う。
ウェイトとカラーを使い分けて能動的にゲーム性を高めよう!
-釣り方編-も見てね
釣りは自然相手の遊びなので、もちろん釣れない日だって絶対にある。であれば、性能の違うタックルを使いこなして一杯一杯のイカを釣る面白さを感じて欲しいと岩城さんは言う。
エメラルダスMXイカメタルシリーズに追加された4機種には「イカメタルを思う存分楽しんで欲しい」というお客様への思いが詰まっているので、この記事を読んで魅力を感じた方は是非、釣具店で手に取ってみて欲しい。
合わせて[DAIWA岩城透さん直伝]エメラルダスMXイカメタルシリーズ2025年追加機種を深堀り解説-釣り方編-を近日中にアップする。岩城さん、そしてダイワ契約サポーターの久角真梨奈(ひさずみまりな)さんがイカメタルのイロハについて語る内容になっているので、そちらも要チェックだ。
丹後の夜はアツかった!ダイワの2大イカメタラーが釣り方の‟コツ″を解説する
釣り方編はコチラ!
※本記事は”ルアーマガジンソルト”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。
- 1
- 2