
初心者~上級者問わず大人気のエメラルダスMXイカメタルシリーズから、2025年追加で4機種が発表された。4ft台の超ショートレングスモデルからダイワ初のグラスソリッドティップ採用モデルまで、どれもこだわりが詰まった注目アイテムだ。今回は「イカメタルの伝道師」こと、ダイワフィールドテスターの岩城透(いわきとおる)さんとダイワ契約サポーターの久角真梨奈(ひさずみまりな)さんにイカメタルの‘‘釣り方について‘‘解説してもらった。
●文:ルアマガプラス編集部(山川)
実釣の舞台は日本海丹後エリア
今回の取材でお世話になった船宿は京丹後市網野町にあるSeaman(シーマン)さん。イカメタルをはじめ、タイラバやジギング等でも大人気の遊漁船である。60フィートの大型船で揺れも少なく、どの釣り座でも広々快適に釣りが楽しめる。船内はフラットで滑りにくく、ゆったりくつろげるキャビンやトイレも完備されているので、初心者や女性にも優しい。ポイントまでが非常に近いので、移動時間は少なく、釣り時間が長いところも嬉しいポイントだ。
日本海丹後の海で経験を積んだ船長が最高のポイントへ連れて行ってくれる
丹後のイカメタルクイーン登場
前回のタックル編に引き続き、釣り方編ではダイワフィールドテスターの岩城透さんに加えて、丹後エリアのイカメタルに精通するダイワ契約サポーターの久角真梨奈(ひさずみまりな)さんが登場。イカメタルはもちろん、近海ジギングや時にはマグロキャスティングまで、オフショアルアーゲームをこよなく愛する女性アングラーだ。今回はお二人がエメラルダスMXイカメタルシリーズをどう使いこなすのか。状況に合わせた釣り方のコツ等も取材してきたので紹介する。
釣り方解説~明るい時間~
夏場のイカメタルはポイントに到着してもまだ日が沈みきっておらず、明るい場合が多い。このような状況では一般的にイカの活性は低いとされているが、何か攻略法はあるのだろうか。
集魚灯が点く前の明るい時間帯、手持ち無沙汰になってしまうアングラーも多いかもしれない
明るい時間は広く探れ!
岩城さんが強く訴えていたのは、「明るい時間でもやれることはある」ということ。明るい時間はどうしてもイカの活性が低いし、イカの群れも固まっていない。となれば、足元ばかりを探り続けるのではなく、キャストして広範囲を探ることが大事なのだ。ここで重宝されるのがスピニングタックル。岩城さんはエメラルダスMXイカメタルのK60LS-S・W(スピニングモデル)にイカメタルスッテTG20号のひとつスッテスタイルからスタート。キャストしたらスッテをカーブフォールさせてイカを誘う。
やり方は簡単で、①まずはバーチカルで底まで落として少し浮かしたところのPEラインマーカーの色(例:緑色の黄色マーカー2つ目等)を覚えておく。ここを【A点】としよう。②キャストした先で【A点】まで糸が出たらベールを返してラインの放出を止める。③ロッドを立てたままラインを張ればスッテはカーブフォールしながら足元までやってきて【A点】で止まる。
これで中層からボトム付近までしっかり探ることができるのだ。カーブフォール中にアタリが出れば棚は浅く、ラインが真下に来て潮に馴染んでからアタリが出るようであれば棚はまだ深いということになる。あまりにも早くラインが真下に来てしまう場合は、スッテの号数を軽くすることでじっくりアピールできる。
なお、このやり方は10m毎に色分けかつ5m/1m毎にマーカーが入ったPEラインでないと実践できないので注意して欲しい。
明るい時間にキャストして広く探れるスピニングタックルを持っておくと良い
明るい時間は底を釣れ!
真梨奈さん的には明るい時間は底(ボトム)を丁寧に探ることを心掛けているそうだ。実際に、明るい時間はボトム付近を狙ってくださいとアナウンスする船長も多い。この時間帯、数は出ないが大きなサイズが一発出やすいとのこと。狙うべきはボトムと、棚が絞れているのを逆にチャンスと捉え、集中することが大事ですと教えてくれた。
真梨奈さんが選んだロッドはMXのOR63MLS-S・W。オモリグ専用モデルである。キャストした先でボトムに着いたら2回~3回程度シャクリを入れて、カーブフォールさせる。仕掛けが真下まで来たら回収してキャストし直す。これを繰り返して広範囲のボトムを探っていくのだ。
ドロッパージョイントSS2.5にオモリグシンカーTGの20号をセレクト。前述同様に、カーブフォールで誘う時間があまりにも短いようであれば、オモリ号数を軽くしていく。
岩城さんと同じく重要視しているのはやはり「広範囲に探る」ということ
派手なカラーを選ぶことも大事
明るい時間は海の中も光量が多いため、その中でも目立つようにと、赤白や赤黄等の割と明るめのカラーをセレクトすることも多いという。その後、日没前~日没後と明るさに合わせて暗めのカラーに切り替えていくのだ。もちろん様々な状況があるため一概には言えないが、カラーセレクトに迷った際の参考になればと思う。
筆者もポイントに到着して一発目のカラーは毎回迷ってしまう…(笑)
釣り方解説~暗い時間~
日没の時間がやってきた。辺りが暗くなってくれば船の集魚灯が点灯し、いよいよ大人の夜遊びが幕を開ける。はたして、暗い時間はどのようなことに意識を向けなければならないのか。お二人の考えや楽しみ方を紹介する。
暗くなってきたら・・・
辺りが暗くなり集魚灯の明かりが効いてこれば、つられてイカも徐々に浮き上がってくる。イカが浮いてきたかな、というタイミングでボトムから5m→10m→15mと反応を探る水深を上げていき、中層を意識し始めるのも良い。嬉しい船中一杯目を手にすることができるかもしれない。
集魚灯の明かりが効いてきているかどうか、目安になるのは小イカや小魚などのベイトだ。表層にベイトが見え出したら中層の釣りに切り替える良いタイミングかもしれないと岩城さんは言う。ベイト反応やヒットしている棚に関しては船長からアナウンスがあるかもしれないので、しっかり耳を傾けよう。
集魚灯の明かりとベイトにつられて少しずつイカの反応も浮き上がってくるタイミング
レンジの釣りを始めよう
明るい時間はどれだけ広範囲を探るかという点を重要視していたが、集魚灯が点いた後はレンジの釣りに切り替えていく。つまり、イカがボトムにいるのか、もしくは中層~表層まで浮いてきているのか、アタリ棚を探していく釣りになるということである。
肝心なのはボトムから表層までしっかり探って「自分の棚(自分がアタリを取りやすい棚)」を見つけること。同じ船の中でも前後左右でヒットする水深が変わることもある。周囲の情報に振り回され過ぎると棚迷子になってしまうので注意が必要だ。
ここで岩城さんはMXのN65LB-GS・Wをセレクト。イカメタルリグSSのスタンダード3号にドロッパージョイントSS2.5とイカメタルスッテ20号を取り付けた。グラスソリッドティップのしなやかさでリグを安定させることができるので、狙ったレンジでしっかり止めてイカを待ち受ける。
アタリが大きく出るグラスソリッドティップは目感度の釣りを楽しめる
重要なのは止めること
釣りをしながら、特に初心者であれば実践すべきコツを教えてくれた。ロッドを叩いたりシャクったり、スッテをどうやって動かすかではなく、動かした後にしっかり止めることを意識してみて欲しいとのこと。
スッテやエギが安定した時に抱いてくるパターンは全てのイカに共通していると思う。つまりは静と動のメリハリが大事ということだ。
イカメタルに慣れていない方はまず、N65LB-GS・Wのような柔らかめのロッドを選ぶと良い。船の揺れなどをロッド全体で吸収してくれるのでリグを安定させやすいという。また、誘う→止める→掛けるの基本動作がしっかり学べるオモリグからイカメタルデビューするのもありだと岩城さんは言う。
岩城さんはドロッパーの釣りで、真梨奈さんはオモリグで、自分の棚を見つけて見事ダブルヒット
イカのやる気スイッチを押せ!
何をやっても反応してくれない!そんな時間もあるだろう。岩城さんはここでMXのK410LB-S・Wを手に取った。MXシリーズの中で最も短いモデルだ。ショートロッドならではの非常に細かな誘いを入れることができる上、強靭なバットパワーを兼ね備えている為、強めの誘いも入れやすい。イカメタルシーズン盛期には比較的凪の日が多い日本海エリアでは、攻撃的なアクションがイカのやる気スイッチを刺激することも多々あるそうだ。
短いということは、限られた棚の中で数多くの誘いを入れることができるということ。同じ誘い方であってもロッドの長さを変更することでスッテやドロッパーのアクションが変わり、アタリを出せることもあるという。糸の先だけでなく、ロッドやリールまでしっかり釣果に関わってくるところにもイカメタルの奥の深さが伺える。
イカメタルスッテTG20号の「誘い下げ」アクション。①クラッチを切った状態でスプールを親指で押さえる。②ロッドを上に持ち上げると同時にサミングしながらラインを出す。③スプールを押さえ直してじわじわと竿先を下げていく。④しっかり止めてアタリを待つ。この①~④の動作を繰り返せば、徐々に深い棚を探っていく「誘い下げ」アクションになる。岩城さんはこの動作の中に細かな叩きや強めのシャクリを加えてアピール、見事良型のケンサキイカをキャッチした。
まるで自分の体の一部かのように扱えるスーパーショートロッドである
周囲の状況をよく見る
なかなか調子が上向かないような時間でも、何故か一人だけ釣れている人がいたりするものだ。そんな時、真梨奈さんは積極的に情報収集を行うようにしている。イカメタルはチーム戦。同船者がヒットした際は、釣れているスッテやカラー、棚を共有してもらうことも釣果を上げる大事な要素なのだ。
岩城さんがレンジの釣りでアタリを出しているのを見て、ロッドをMXのK56ULB-GS・Wに変更。イカメタルリグSSスタンダード3号にドロッパージョイントSS2.5とイカメタルスッテ15号をセットした。グラスソリッドティップで引き込まれるようなアタリを捉え、見事ケンサキイカを釣り上げた。
「隣で岩城さんが空振りしてたんで、同じ棚を狙ったんですよ~!」と真梨奈さん。周囲の状況を絶えずチェックしているからこそ手にできた一杯。丹後のイカメタルクイーンは伊達じゃない。
周りで調子が良い釣り方にアジャストさせていくことは釣果を上げる近道だ
教えて!岩城さんのワンポイントアドバイス
ここからはイカメタルゲームにおける様々なワンポイントアドバイスを岩城さんに聞いてみたので紹介する。一杯でも二杯でも釣果を上げるために、また、イカメタルゲームをより楽しむために是非参考にしてもらいたい。
教えて!岩城さん!
①アタリが無い時はどうしたらいい?
アタリが無い…。全然釣れない…。そんな時は一度回収して落とし直す、もしくはキャストし直す動作を入れてみてはどうだろうか。
岩城さんいわく、釣れない時ほど上下の動きが無くなり、同じ棚で粘り続けてしまう人が多いとのこと。全体的に見てイカメタルゲームはフォールが強い(フォールが効く)ことが多い釣りなので、アタリが無い時は、面倒でも一度回収して新しい棚に入れ直すことが次の貴重な一杯に繋がるかもしれない。
この動作を意識的に行う為にはスッテやドロッパーのカラーローテーションを時折挟むことが大切だという。今までとは違ったカラーを付けて釣りを再開することで気分も一新され、モチベーションを保つことにも繋がるだろう。
カラーローテーションはどんな釣りにおいても重要な攻略法の一つだ
②イカは色を認識しているのか?
イカという生き物は色を認識しているのか…?昔から諸説あるテーマについて岩城さんが語ってくれた。イカメタルでいえば普段白っぽい体色をしているケンサキイカだが、餌を見つけた時や釣り上げられた時には興奮して赤くなったり、自分の感情を体色で表している。つまり色の識別ができる生き物なのではないか、と。
現に丹後エリアでは赤白・赤黄・赤緑といった定番色の他にピンクが良く釣れるのだとか。釣れやすい色と釣れにくい色が存在するということは、その時々の海の状況はあるにしても、イカはある程度色を見分ける能力を持っているのだろう。
前述した話に被ってくるが、様々なカラーのスッテやドロッパーを用意して幅広い状況にアジャストさせることが釣果を上げる近道の一つである。
③なんで岩城さんはロッドを両手で構えるのか?
取材をしている中でふと疑問に思った。「なぜ岩城さんはロッドを両手で構えているのだろう?」それは不要にハンドルを巻かないようにするためだという。
例えばイカからの反応があった棚で追い誘いをかける時、その場でシェイクしたりシャクリを入れてみたりすると思うが、この際なんとなく(無意識に)ハンドルを巻いてしまうことはないだろうか。今回の釣行で使用したティエラ AIR IC 100HLはハンドルが1回転すれば約70cm棚がズレてしまう。そういったなんとなくから発生する棚のズレを排除するために両手で構えているのだ。
また、スッテやドロッパーの動きをしっかり止めれることにも繋がるという。誘いをかけた後、ロッドを支えている方の手で余分な動きを制御できるのだ。動かす時は動かす止める時は止めるといったメリハリを演出しやすくなるので是非実践してみて欲しい。
そういえば筆者も意味なくハンドル巻いてたかも…
④イカメタルの釣果に天気は関係する?
イカメタルの釣果と天気には因果関係があるのだろうか?十年以上イカメタルに携わってきた岩城さんは、「詳しいエビデンスがある訳では無いが、雨の日は比較的調子が良い」と言う。雨粒が水面を叩くことによって空気中の酸素が海の中へ溶け込みやすくなり、魚の活性が上がるというのは有名な話だが、イカにも同様の効果が表れているのだろうか。日中曇っている日はプランクトンの湧きが良く、夜の釣果が伸びやすいと語る遊漁船の船長も多いそうだ。いずれにせよ、スカッとした晴天よりも少し天気が崩れている状況の方がイカメタルには向いているのかもしれない。
雨が降ったら水潮になるからイカは釣れないよ~と落胆する必要はないかもしれない
-タックル編-も見てね
イカメタルは様々な釣りを経験してきた方でも楽しめる釣りだと、岩城さんそして真梨奈さんは胸を張って言う。時には目感度、時には手感度でイカの気配を感じ取り、誘って掛ける。このゲーム性の高さはこれからも多くの釣り人を魅了していくだろう。
合わせて[DAIWA岩城透さん直伝]エメラルダスMXイカメタルシリーズ2025年追加機種を深堀り解説-タックル編-をアップしている。エメラルダスMXイカメタルシリーズに追加となった2025年NEWモデル4機種、同じく新製品のイカメタルドロッパージョイントやイカメタルリグSSについて、こだわりのタックルセッティング等も岩城さんにたっぷり解説していただいたので、そちらも要チェックだ。
岩城さんの熱血イカメタル講座!これを読めばあなたもイカメタルに行きたくなる!
タックル編はコチラ!
※本記事は”ルアーマガジンソルト”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。
- 1
- 2