ルアーマガジン本誌で最長期連載を誇る「菊元俊文のQ&A 一刀両断」コーナーから、選り抜きの名回答をお届け。特に初心者にピッタリなクエスチョンを一刀両断!
Q.岸釣りとボート釣り、それぞれのメリット・デメリットを教えてください。
A.岸釣りは丁寧な釣りがしやすい。ボート釣りは起動力を活かせる(菊元俊文)
「岸釣りのメリットは、じっくり丁寧に細かく狙えることです。例えば岸を細かく撃つことはボートでは風で流されたり、操船気を取られたりで、実際に実行するのは難しい。でも大地に足をしっかりつけた岸釣りなら、刻んでいくことも容易」
「また、釣りができる範囲が限られる場所では、バスにかけるプレッシャーを軽減し、動けないからこそ休ませたりすることができます。
例えば流れが強いバックウォーター。ボートなら上がって行くだけでバスは逃げて行きます。操船もステイするだけで困難です。ボートの存在感のデカさをバスに感じさせないこと自体が困難です。でも、岸釣りなら、高い場所から観察して、バスのポジションを知り、岩陰や壁などに同化してバスに気付かれないプレゼンテーションが容易になります。
例えば足元がカバーだらけの池や川。ボートからだとスキッピングなどのテクが必要ですが、岸からなら真下の隙間に落とすだけで簡単に釣れたりします」
ボートが入れないスポットや状況こそ、岸釣りの利点が最大限に活きる
「ただ、デメリットとして岸釣りは物理的に行けない場所があったり、ビッグレイクなどではバスがルアーが届かない沖や深場に多くいる季節などは、釣れる確率が極端に下がります。なので、岸釣りの利点を生かすなら、ボートが入れない浅場、入っても操船が極めて難しいエリア、風が強くて打ち寄せられてしまうウィンディーサイドなどを攻めることです。
例えば夏場の霞水系の流入河川上流などの浅く涼しいエリア、春の護岸ドバドバワカサギ打ち寄せられエリアなどは岸釣りの独断場です」
【岸釣りのメリット】
・安定した足場でキャストやルアーアクションに集中できる
・ボートに比べるとバスに対するプレッシャーが抑えられる
・ボートが入ってこれないスポットで釣りができる
【岸釣りのデメリット】
・釣り場での移動に時間がかかる
・狙えるスポットが岸からキャストして届く範囲に限られる
・釣り場で持ち運べるタックルやルアーの量に制限がある
圧倒的な機動力がボートの魅力。バス釣りへの理解がより深まるのがメリット
「逆にボートは極端に荒れていない場合は、自分が行きたいエリアに機動力を生かして、移動できます。パターンフィッシングの再現性が上がります。岸からだとアプローチ出来る場所が限られるからね」
「ボートからだと例えば、プリスポーン時期ならデルタ上の扇状地両サイドの岩盤岬や岬から回り込んだセカンダリーポイントを次々に狙って行ったりできます。パターンの再現が容易になります。岸から絶対に届かない沖のディープを魚探で見ながら攻められるなど、岸からでは不可能なことができるのがボートフィッシングの最大のメリットです。
ルアマガ読者は岸釣りの方が多いと思うけど、菊元的にはいずれはボートフィッシングにチャレンジして、ステップアップしてほしいと思っています。例えエレキだけでも、使えるルアーの幅が大幅に広がります。ルアーが根掛かりしたり枝に絡んでも回収しやすいのもメリットです。
シーズナルパターンを身につけるうえでボートが果たす役割は大きい
また、場所をパターン化して回ることでシーズナルなバスの動きや気象変化による活性の高低、そしてバスの習性がより理解できるようになります。魚探の反応で地形変化やベイトフィッシュの映り方で、釣れる釣れないが分かるようになります。
岸釣りよりルアーを丁寧に刻んで行くのは、難しくなりますが、その分、効率的に広い範囲をカバーできます。なによりめくるめく巡る風景の変化を感じられるのが、ボートフィッシングの醍醐味。初めて手漕ぎボートで出た東条湖の景色が僕のバスフィッシングの原風景になっています。
【ボート釣りのメリット】
・高い機動力を活かして、釣り場での移動が容易
・岸釣りでは届かない沖のスポットを狙える
・ボートに詰める範囲で多くのタックルやルアーを使用できる
【ボート釣りのデメリット】
・操船技術がないと釣りの動作に集中することが難しい
・ボートの存在自体がバスに対してプレッシャーとなることがある
・ボートや装備品の購入費や維持費などコストが大きい
ライフジャケットは安全に釣りを楽しむために必要なアイテム
「岸釣り、ボート釣りお互いのメリットを最大に生かして釣ることが、バスと出会う近道です。どちらもライフジャケット着用お願いします。死んだら全てが終わりです」
◆この記事はルアーマガジン2016年5月号に掲載された内容をもとに再編集しています
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