“ウラ”の第2回はオクマ”インスパイラ”
ルアーマガジン・ソルトのタックルインプレ企画「タックルハンター」本編で語りきれなかったネタを書き綴ろうというこの企画)。第2回めも本編並みの情報量でお届け致します。今回は機械(リール)モノです。
“オクマ”というメーカー名、あまり聞き覚えの無い方もいると思います。僕もそうでした。アメリカのメーカーです。本国ではバス・サーモン・ウォールアイ・ソルトゲームまでのロッドとリールを扱っているようです。特にバス・サーモン・ソルトゲームには力が入ってますね。
スコット・マーティンと言えばFLW生涯獲得賞金200万ドル超、優勝回数7回を誇るトッププロです。OKUMAは彼をサポートしています。
このインスパイラ、実のところ海外モノってことで正直ナメてたんです……。
だって、海外モノだよ? 海外モノのコスパ機って結果的にコストダウンされてるんで、ひと昔前はホントにひっどいのもあったじゃないですか。
でもまあ、こういう機械モノは現場で使わないと分からないわけで、やっぱり使ってから評価しないとダメだなぁとあらためて思ったわけです(エアプダメ絶対)
糸を巻いて投げてみる@都内某所
リールの巻き心地は、とりあえず重さのあるバイブレーションあたりを投げておけば、巻き心地のノイズなんかが分かりやすいです。
投げてすぐに、気がつきます。あれ、コイツの巻き心地、めっちゃ良いぞ?
ノイズの少ない、シルキーさも感じる巻き心地
よーく観察しながらリーリングしてみると、ギヤとギヤの噛み合わせが良い感じで、ノイズはかなり少ない。スペックに「Precision machine cut brass pinion gear」とあるので、ピニオンギヤの素材にブラスを採用することで滑らかさを出しているわけです。
ギヤ部分の記述でもう1つ、「Precision Elliptical Gearing system」というのがあるんですが、こちらはオシレート機構のギヤを示します。精密楕円ギヤの採用でスプールへの巻き上げも非常に美しいのが特徴です。
セントリフューガルディスクベイルで、ローターの回転バランスも絶妙!
抵抗が大きめのルアーを巻いても、巻き重りを感じにくく、巻き上げ力の高さがうかがえて、非常に軽快。肉ヌキされた軽量ローターとも相まって、巻き出しも比較的軽く感じられます。
海外製のロープライス品ながらのこの巻き感。なにかあるなと思えば、ありました。
それがこの「セントリフューガルディスクベイル」。簡単に言うと、重量バランスを取るためのカウンターウエイトですね。これの効果で、ローターの挙動に慣性力が働きにくく、非常にリニアな回転も実現しています。
超高効率に水滴を振り払う、サイクロニックフローローター搭載!しかも軽くて強い!
肉ヌキされたローターは、強度を出す為に流麗なフォルムになっててカッコいいじゃん。それだけかと思っていたら、「サイクロニックフローローター」というこれまたステキな名前が。
オドロキの効果は一見に如かず。是非動画をご覧ください。
この、水を侵入させたくないなら、さっさと振り払っちゃえば良いんじゃね? っていう考え。キライじゃないです。
その発想は無かった! ギアボックスと高負荷なリールフットを分離した
TCA(トージョンコントロールアーマー)
快適な巻き心地を実現させる高い剛性を、インスパイラでは非常に独特なボディ構造で実現しています。
TCA(トージョンコントロールアーマー)と名付けられたその独特な構造は、簡単に言えば赤いギアボックスと、ダークチェリーレッドなリールフット部がそれぞれ独立しているというもの。
フット部が捻れるほどの高い負荷が掛かっても、ギアボックスの回転軸には影響を及ぼさず、回転性能を変えずに保持できるという超スゴい構造なんです。
カーボンコンポジット材を使ったスピニングリールのボディ構造と言えば、メタル製ギアハウジングと融合させたレボシリーズ(アブガルシア)のIM-C6ボディがありますが、真逆の発想で非常にオモシロいですよね。
1万円以下というグレードの括りなら今すぐ買ってソンのないリール
で、これだけそろって実売アンダー1万円。買い、じゃない理由はないんですよ?
あっ、一つだけ言い忘れてました。スプールのラインストッパーだけはちょっと…。なので、できればスプール用のストッパーとか代わりのゴムとかを持っておくといいですよ。
海外では別カラーが展開中。いいじゃん、メタリックブルー。
実はインスパイラの本国モデルは白と青の2色展開なのです。カラーを選べるとか、日本のメーカーでは無いパターンなので、ちょっとうらやましいな!
TCA搭載の新型もデビューした模様
こっちが上級モデル(多分)のヘリオスSX。
ざっとスペックを見比べると、8HPB + 1RB corrosion resistant stainless steel bearingsとなっていて、ベアリングが防錆仕様にグレードアップ。ラインナップも微妙に異なります。あと、ハンドルが鍛造からマシンカットになったようですが、見た目にはかわらないので、ハンドルシャフト辺りがそうなったとかいう話かも。
そのうち国内販売も始まるんでしょうかねー。