ジャンプライズ新事務所訪問レポート後編をお届けします。
前編はコチラ↓
井上友樹さんが代表を務める、ジャンプライズが現在新事務所を建設中。20メートル級のスイムテスト用プールが併設された新事務所は、今まさに完成目前。
太陽光が降り注ぐ窓が大きい作業部屋には現在、掘削マシンが3台設置されている。井上さんはこのマシンを5台にする予定。そのためのスペースも十分に確保されている。
完成目前のジャンプライズ新事務所の掘削作業部屋。掘削作業部屋の他にさまざまな用途の部屋が多数存在する。
井上友樹 いのうえ・ゆうき ジ…
海まで約10分なのに…スイムテスト用プールが必要な理由
ジャンプライズから一番近い海まで車で約10分。完成したプロトモデルのスイムテストは現状、近くの海で行われている。
「ですけど、プロトが完成した一回目のスイムテストは、本当は海でやる必要はないんです。この段階ではあくまでもイメージ通りに水を噛むのか…、とか、イメージ通りに動くのか…、とか、実際の動きに応じて微調整をくわえることが主目的です。
そのため、ブレのない精密なスイムデータが必要。海ですと、荒れていたり、濁りによってルアーアクションが見えにくいこともあります。結果的にテスト日が限定されてしまい、その上、データに多少のブレが生じることもあります。
また、作業的にも泳がせて微調整…、さらに泳がせて微調整…という終わりが見えない繰り返しなので、海まで10分…という距離も結構なタイムロスになってしまいます。
その点、事務所横のスイムテストプールだと、すぐに泳ぎを検証できるので、クオリティの高いルアーを作る上ですごく大切です」
本当の意味でのルアーアクションは魚目線で見ないと分からない!
そして、井上さんにとってスイムテスト用プールが必要な理由がもうひとつある。
それは井上さんのライフワークと密接に関係している。
井上さんのメインターゲットであるヒラスズキもヒラメも、ルアーを下から見上げるカタチで、目線よりも上方を泳ぐルアーに対して食い上げ気味でバイトすることが多い。
井上さんにとって自ら開発したルアーが、魚目線でどのように見えているのか? を知るために実際に海に潜って、仲間にリトリーブしてもらったプロトルアーの動きを確認することは当たり前すぎる日常。すでに、ライフワークとして定着している。
つまり井上さんにとってのスイムテストは、海に潜る…という行為がワンセットになっている。事務所横のプールで潜って確認した方が容易なのは頷ける。
ルアーカラーが変わればルアーアクションも変わる!!
井上さんが潜って確認するのはルアーアクションに限った話ではない。実はジャンプライズ製のルアーカラーのほとんどは井上さんが実際に水中に潜り、上方を通過する塗装されたルアーを眺めて最終判断を下している。
ルアーカラーは机上に置かれたルアーを見ても何もわからない。ましてや、陸上からリトリーブさせてブリブリと動くルアーを見ても真実には近づけない。
実際に海に潜って、海面越しの太陽光線を感じながら、魚目線でルアーを眺めることによって、初めて真実に近づけると井上さんは考えている。
「海に潜って上を通過するルアーを眺めていると、ベリーを軸にしてサイドカラーが3点の点滅信号のようにアピールします。ルアーボックスの中で眺めていると、ついついサイドカラーばかりに視線が行きがちですが、魚から見たらベリーカラーは非常に重要です。
さらに言うと、ベリーカラーとサイドカラーの組み合わせが重要です。また、海の中で10~15メートルくらい離れて、ルアーアクションを眺めていると、カラーが変わるだけで、例えばロウディ130Fを同じように泳がせても、まったく違うルアーに感じることが多々あります。
つまりは、ルアーカラーが変わればルアーアクションも変化したように見える! ということです。現実的にカラーにはそれだけの影響力があるということです」
「魚に色を見分ける能力があるのか? という学術的な論争もありますが、実際に海の中からルアーを眺めると、ルアーカラーが変わるだけで、ルアーアクションの印象もまるで変わる、という現実を誰にでも体験できると思います。
ルアーカラーは単なる色ではなくてアクションなんだ…と考えるとカラー理論も少し面白くなりますよね」。
そんな個性的な理論を持つ井上友樹さんが代表を務める”ジャンプライズ”の活動に今後も要注目だ!
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