バスアングラーにも奨めたい、自称キワモノ系ベイトシーバスロッド”nada.”のお話【ウラ・タックルハンター】



ルアーマガジンソルトの人気インプレ企画「タックルハンター」。その担当であるネコ人間が「誌面では語れない裏話」を[釣りPLUS]で明かすのが”ウラ“タックルハンターなのである…。

そもそもベイトシーバスロッドてどうよ?

“ウラ”タックルハンターの第3弾はコアなシーバスファン向けのベイトシーバスロッドのお話。

ベイトロッドって飛ばないじゃん。使えねーよ

って思ってたヒトにこそ使ってほしい理由もあったりします。

What’s [nada.]??

「nada.」ってどこのメーカーなの?」っていう読者の方もいると思うので、まずはこちらから。

nada.はソルトウォーター専門のメーカーで、とても簡単に言えばあのメガバスのブランドです。

メガバス nada japan事業部、なんです。

代表の黒田健史さんは、バストーナメントで活躍しているアングラー。浜名湖オープンなどのソルト大会にも参戦。

以前、村岡昌憲さんと伊東由樹社長とで浜名湖ロケを行ったときには、ボートでガイドして頂いたこともありますね。

自分の作った道具でターゲットを釣って、他のアングラーと競い合って、それでお金を稼いでいたワケです。そんな人間が作りだす道具。マジモンに決まってるじゃないですか。

そんな黒田さんが作り出したロッドを、ルアマガソルト本誌のタックルハンターで紹介しました。
が、このロッドにも当然の様にまだまだ語りたいネタがありましてですね…。

まあまずは軽いジャブから。

えっと、ロッドのシリーズ名は?

これがですね。実は特別なシリーズ名はありません。

普通ならパ○○○とかデス○○○○○とか色々あると思いますが、潔くナダベイトシーバスロッドシリーズと呼んでます。

nada.のベイトロッド2モデル

紹介するラインナップは2モデル。

短めの76とちょっと長目の83です。

ガイドはステンSiCではなく、ステンフレームKガイドにアルコナイトです。

コイツで必要十分です。もともとは輸入メインで扱われていたアイテム。海外モノのフジガイドのリングはこれが多いです。つまり、性能は問題無し。いまだにチタンSiC搭載っていうのがステータスな今、ミドル価格帯のロッド用に、コイツでチタンフレームとかあってもいいんじゃないでしょうか。

リールシートはECSで、セパレートタイプ。ザ・スタンダードって感じで好きです。ロープロ系のリールとの相性が抜群。フロントナット部分にはナダのロゴ入りリングがインサートされています。

グリップ内にはメッシュカーボンのパイプを継いだタイプ。これの有る無しだと、大分剛性感と見た目の印象が変わるんですよね。


自称キワモノ系な理由。その1

黒田さんは、この2本のロッドを(特に762MC)、“キワモノ系ベイトロッド”と称しています。その辺の詳しい話はタックルハンター本編でしてますので、そっちを見て欲しいのですが、ネコ人間的に言えば、このロッドは長尺バスロッドっていうことなんです。

百聞は一見に如かずってことで、762MCの曲がりを雑誌誌面よりもでっかい写真でどうぞ。

まあこんな感じ。見て分かるように、カーブのピークがブランクス中央周辺にある、いわゆるレギュラーアクションです。

この曲がりの特性は、ブランク全体で荷重を受け止めてくれるところにあります。ミノーなどを多投するシーバスロッドは、これよりももっと胴に入りやすい曲がりのロッドが多く、シーバス用のベイトロッドの多くもそういった投げ重視のアクションが多いんですが、コイツは違います。

バスアングラーならば特に分かりやすいと思うんですが、巻く釣りにもボトムの釣りにも対応しやすい、いわゆるバーサタイルロッド系の曲がりです。当然キャスト性能も低くはない。ロングキャストというよりはピンスポットへ正確なキャスト! なんてときに使いやすいんです。

自分「あー、これでDEEP-X300とかファッペとか巻きたい」
黒田「バイブとかスピナーベイトを巻く釣りにもいいですよ」
自分「テキサス使うのにも良さそう。うーん、フットボールもできちゃいますねこれ」
黒田「ボトム系の釣りにも十分使えるアクションにはなってますよ」
自分「これまでのシーバス用ベイトロッドって、誤解を恐れずに言うなら、スピニングロッドの焼き直し感が強かった。これは新しい方向性ですね」

今回のロケでは黒田さんのおすすめに従い、ベイトリールにはナイロン20ポンドを巻いて使いました。が、このロッドにナイロン20ポンドを組み合わせると…

アタリマエですがたいして飛距離は出ません…………。

でもまあ、それで良いんです。その理由も解説します。

自称キワモノ系な理由。その2

さて、762MCというロッドが長尺バスロッドだと理解していただいたところで、7フィート6インチの長さってどんな釣りに使いやすかったっけ? ってところに話を移しましょう。

バスロッド、特に陸っぱりも含めて長尺ロッドが活躍するシチュエーションといえば……

カバー!

消波ブロック帯イメージ@遠賀川。

川のシーバスやブラックバスはこういう消波ブロックが大好きです。

あと、小河川に多い乱杭とかね。

杭エリアイメージ@カスミ水系。とはいえ、こういった風景が浜名湖周辺の河川や、各地の潟や汽水湖周りには無数にあるものです。黒田さんが想定してるのは、特に岸際の杭に潜むようなヤツ。ここから70オーバーをキャッチするなら、ドラグなんて1mmも出しちゃダメ。パワーファイト必須。

こういう場所を攻めるときに、長尺ベイトロッドはトレースコースも取りやすいし、ファイトのときにも余裕が出る。

そう言う意味では陸っぱりバスアングラーにもおすすめしちゃえる系です。これまで攻めにくかったスポットにも通しやすい。2ピースなので持ち運びにも便利だしね。

7フィート6インチならサイドキャストやピッチングなんていうショートキャストも自在。76Mっていうスペックは消波ブロックの穴撃ちライトフリップにも最適。

飛距離が欲しいヒトは回れ右。コイツはこれまでにない接近戦専用ベイトロッドなのだ

ここまで読んで頂ければ分かる様に、このロッドは従来のシーバスロッドとは全くコンセプトが違うワケです。だからこそのキワモノ発言。

黒田「そもそもデカイ河川とか想定してない。スピニングでは獲れない近距離カバーに潜むランカーサイズ。それをガチで引きを受け止めて獲れたらアツくないですか? だから、762MCで想定してるのは、太めナイロンもしくはフロロと組み合わせた近距離パワーファイトのみ! もう一本の832MLCは、アクションを柔らかく出すための繊細なティップを足したモデル。飛距離も出しやすいので、PEラインと組んでも使いやすくなってます。ただ、バットパワーは同じなのでガチファイトも存分に可能です。好きな調子と長さで選んでもらえれば」

っていうことらしいです。

自分「こういう場所を攻めるからナイロン20ポンド巻いてきて! ってなるわけですか。たしかに飛距離捨ててる時点で、シーバスロッドとしてはキワモノ扱いされそうですね」
黒田「しかも、ナイロン推奨(笑)っていう」
自分「至近距離でピン撃ちして、カバーから引きずり出しちゃいたいヒト向けですか」
黒田「ピッチングで、ピンに入れて、超狙い撃ちで70オーバーとか掛けたりすると、ヤバいですよ。アドレナリン出まくりますよ?」
自分「なにそれ、超楽しそう」

ってわけで、実際どうなのか? せっかくなので黒田さんの動画でじっくり見て下さい。

飛距離追求のシーバスロッドに飽きたヒトほど使って楽しいんじゃないかって思います。

少なくともネコ人間は楽しかったですよ!

で、今も編集部にはnada.のベイトロッドが置いてあります。ただし、編集部のある東京湾ではもうちょっとだけ飛距離が欲しい(橋脚とかちょっと遠い)んで762MCではなくPEと組み合わせやすい832MLCをチョイスしましたけどね!

足下につづく消波ブロック帯。オイシそうって思っても、でかいの掛けたって獲れないからやらねーよって思ってませんでした? つまり、手つかずだったりする可能性があるわけです。

ただ、もっと飛ばしたいとか思うと、基本的にベイトタックルではストレスがあります。

そういう方は素直にスピニング使って下さいね。

ちゃんとスピニングもあります。

注:現在(2017年8月時点)、ブランド名が「nadar」に改称されておりますが、本稿においては記事公開時の名称「nada.」としております。ご了承ください。

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