とにかく物作りが好き
木彫りで魚や鳥の彫刻を作ったり、壊れたバイクを購入して動くように組んでみたり……。ブリンクのビルダー・肥留間孝司さんはとにかく物作りが好き。
そんな彼が初めてミノーを自作したのは小学生の頃だった。当時は近所の野池でブラックバスを夢中で狙っていたそうだ。その後、エアブラシとの出会いがきっかけとなりミノー製作に没頭するようになる。
「夢中でミノーを作るようになった頃には、僕は芦ノ湖に通いつめていました。もちろん、当時作っていたのはグリグリメソッド用の10センチ前後のミノーです」
現在の主力は渓流用ヒラ打ちミノー
肥留間さんが作品を売るためにホームページを作成した頃に、ある渓流ルアーマンと出会った。
「彼がホームグラウンドとしているのが、秩父の渓流。深い溪を持つ独特の地形で知られています。そんなフィールドを攻略するために渓流用の小型ミノーを作ってほしいということでした。しかも、普通に長い距離を引っ張って誘うタイプではなく、ショートレンジでキャストをして、2〜3回トゥイッチをかけて誘えるもの、という注文でした」
秩父の渓流ルアーマンからの注文。それを形にしたもが現在のブリンクの主力アイテムとなっている小型渓流用ミノーである。
釣り人の思い通りに操作するための〝動かないミノー〟
ブリンクの代表作には「HERA(へら)」という名前がつく。これはヘラブナのボディやヘラジカの角など偏平なもののイメージと〝ヒラ打ち〟をかけたネーミングである。
ヒラ打ちミノーと言えば、現在では多くのメーカーからリリースされ人気を博しているタイプだが、肥留間さんは15年以上前から継続して製作してきたそうだ。そのため、発売当時は前述した秩父のルアーマンのようなコアなファンばかりだったという。
「例えば滝壺。こんな場所を攻めるためには、ショートレンジで移動する距離を抑えつつできるだけ長くトラウトにアピールしたい。そのためには扱いにもコツが必要で、常にトゥイッチによるロッド操作を加えてヒラを打たせることが重要なんです」
ブリンクのヒラ打ちミノーはただ巻きではほとんど動かないが、釣り人の思いのままに操ることができる。まさに、攻撃的な渓流用ミノーだ。
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