鮮魚のメッカ・築地で学ぶ、魚のさばき方と美味い料理【釣り人にドンピシャの料理教室「魚魚会(ととかい)」】



釣りは好きだけど、魚を食べるのは好きだけど、自分で捌けない……

釣りに行ってばかりで奥様がおかんむりというアナタ、そろそろ美味しい料理でご機嫌をとった方がいいんじゃないですか?

そこで今回ご紹介するのが「魚魚会(ととかい)」という築地で行われている料理教室。

鮮魚の聖地・築地で、フレンチ・イタリアン・和食のプロフェッショナルが、捌いて料理するところまでわかりやすくレクチャーしてくれて、しかもリーズナブルという、素敵な料理教室をご紹介します。

仕入れ・料理・司会のプロが結集した豪華メンバー

魚魚会創設メンバーは、築地「鳩屋海苔店」の店主・鵜飼友義さん。元日本テレビアナウンサーの藪本雅子さん。料理家・フードコーディネーターの上島亜紀さん。「美衣登瑠寿司 (ビートルずし)」の中川弘之店長。築地の仲卸「築地太田」の齊藤珠美さん。「魚の美味しさ、自分で魚を捌いて食べることの楽しさをもっと多くの人に知ってほしい」と意気投合。

出会いは築地場外の行きつけの飲み屋さんでした。

築地の仕入れのプロ、料理のプロ、司会のプロが結集した豪華メンバーです。

これまで講師を務めてきたのは

(1)旬肴処「神田だくだく」柴公さん
(2)ぼうずコンニャクの愛称で知られる、藤原昌高さん(水産アドバイザー)
(3)「美衣登瑠寿司」 中川弘之さん
(4)「水道橋ラ・クッチーナ・ビバーチェ」中川浩行さん

今後はフレンチの先生にもお願いするかもしれないとのこと。和洋バラエティに富んだ充実の講師陣です。

左が今回の講師・イタリアン「ラ・クッチーナ・ビバーチェ」の中川浩行シェフ、右が和食の「美衣登瑠寿司 (ビートルずし)」の中川弘之店長、今回はサポート担当。
左から料理家・フードコーディネーターの上島亜紀さん、元日本テレビアナウンサーの藪本雅子さん、築地の仲卸「築地太田」の齊藤珠美さん

一回の授業でたくさんの料理が学べる!!

料理教室は旬の魚をテーマに、月に一回(平日のお昼)のペースで、料理築地場外にある「Tsukiji食まちスタジオ」で開催されています。今後は土曜日開催も検討中とのこと。

調理器具は用意してもらえるので、持参するのはエプロン、三角巾、ふきん(タオル)。余った食材の持ち帰り用クーラーバッグ、保冷剤。

この日の素材は真鯛と天使の海老。もちろん築地で仕入れ。会費は5,000円でした。

鯛がこれだけ並ぶと壮観ですね。時間の都合で、ワタとウロコの下処理はスタッフが行ってます。
こちらは天使の海老。ニューカレドニアで養殖されているブランド海老です。

料理はクリスマス・ホームパーティーで見栄えのする料理ということで

真鯛は(1)タルタル(洋風のタタキ)、(2)ラグー(煮込み)……アーリーオオーリーオ(オリーブオイルとニンニクのソース)&トマトソースの2種類、(3)ソテー……ブロッコリーソース&あさりとパプリカのオイル仕立ての2種類。

天使の海老はソテー……ブランデー風味のマッシュルームクリームソース&オレンジソースの2種類。

いやはや品数豊富。

真鯛のタルタル。切りにした野菜・ハーブ・オリーブオイル・バルサミコ酢などとともに鯛の身を叩いてます
こちらは天使の海老のソテー、オレンジソース
こちらはマッシュルームと生クリームのソース


「わかりやすさ」と「楽しい雰囲気」でみるみる上達

まずは先生が実演しながら講義。

この日の講師はイタリアン「水道橋ラ・クッチーナ・ビバーチェ」の中川浩行先生。そして「美衣登瑠寿司」の中川弘之先生がサポート担当。奇しくも同姓同名のこのお二方、会話の呼吸もバッチリで、「あれ? 林家がいないぞ」とイタリアンの中川先生が何やら探していたら、すかさず和食の中川先生が「ペーとパーでペーパーですね」と突っ込むという(笑)

アシスタント役の藪本さんが、折に触れて「この時のポイントは?」と話を振って、先生から料理のコツをどんどん引き出してくれます。さすが元アナウンサー。料理番組を見ているようです。

和食の中川先生にも同様に、和食の場合だとどういうテクを使うのか話を引き出して、この情報も役に立つのでメモメモ。

いいタイミングで藪本さんの合いの手が入り、料理番組を見ているみたい

皆さん、近くに寄ってきて、スマホで写真を撮ったり、動画を撮ったりとフリーダム。

先生も、「もっと近くに来て、ここ撮ってください」「レシピはあとで見せますから写真に撮っていってね」と働きかけます。

ポイントは動画に収めたり、写真に撮ったり自由に

で、完成まで手本を示したのち、今度はテーブルに戻って実習。両中川先生が各々のところをまわって手取り足取り教えてくれます。カブト割のようなちょっと難しいところでは、間近でやって見せてくれたり。

さすがに時間に限りがあるので全部の料理を作るところまではできず、実習は2品程度で、残りは実演講義のみ。でも、とてもわかりやすく楽しい講義です。

実習では各々のところをまわって丁寧にレクチャー

「家庭で食べる分にはこれで十分美味しい」
「どちらの材料が良い悪いということではなく、合ってるか合っていないか」
「先生によってやり方の違いはあるので自分に合ったやり方でいいです」
「味付けは自分の好みで。ラーメンにコショウを振る振らないと一緒」

中川先生の柔軟な姿勢が、いい感じに肩の力を抜けさせてくれます。魚を捌くこと、料理することを「楽しんでほしい」という気持ちが伝わってくるんです。よし、家に帰ってやってみようという気になります。

すぐに役立つノウハウがテンコ盛り

僕は実習には参加せず、見学という形でしたが、いやもうそれだけでも役に立つ知識をどんどん吸収できました。

「薄造りにする時は、皮を引かず、身の方をそぎ切りにすると楽」
「背骨に残った身もスプーンでこそげとっちゃいましょう」
「フランベしなくてもフライパンの熱だけでアルコールは飛ぶ」
「サラダは味をなじませてからオリーブオイルを加える」
「クリームが煮詰まりすぎたら霧吹きで水をかけるといい」
「エクストラヴァージンオイルとピュアオリーブオイルの違いと、使い分け」
「バルサミコ酢は軽く煮詰めると熟成されたものに似せられる」

参加者は女性が多いですが、男性も何名か。定年後でこれを機に料理を身につけたいという人や、中には水産関係の仕事をされている人も。

「捌くことはできるが料理法を知らない。これではお客さんへの説得力がないから」と勉強熱心。

みなさん見事に鯛を捌いていってました
こちらは海老の殻むきと背ワタとり

「楽しい」ということは上達の秘訣なんでしょうね。

齊藤さん曰く、「うちに帰ってからも料理をしているから、月一回でも皆さんどんどん上手になっていきますよ」

見てると小出刃で大きな鯛の頭を落とし、三枚におろし、腹骨のところも外して、あれあよあれよと言う間に解体していきます。料理に使わない分はジップロックに入れてクーラーバックでお持ち帰り。

「この部分は捨てないで、塩を振って焼いて食べると美味いですよ。頭はオーブンで10分くらい」
とまたまた中川先生からお役立ち情報。

魚の美味しさ、料理の楽しさを伝えたくて

ここで、この料理教室を紹介してくださった齊藤珠美さんのご紹介。

知人の紹介でお会いしたのですが、いやはや面白い方です。

もともとはIT関係の会社にお勤めでしたが、デジタルの世界で働くことに限界を感じ、今度は水産関係の専門出版社へ入社。業界紙の取材・編集だけでなく、水産年鑑や水産小六法なんてものまで。で、水産系の仕事の魅力にひかれて、5年前に募集広告を見て、現在の「築地太田」に帳場(経理)として入社。

この魚魚会だけでなく、「築地はしご酒」なんて素敵なイベントにも携わっています。メディアからの取材も多く、築地では「たまちゃん」の愛称で親しまれています。

釣りも好きで、日刊スポーツの釣行記事に取り上げられたことも。

「魚を捌いて食べることの楽しさ、魚の美味しさを伝えたい」という齊藤さん。築地の風景、魚の美味しい食べ方、また流通や、環境の変化による旬の変わり様など、僕たちの知らない魚の知識を、今後も[釣りPLUS]の中で教えていただければと思います。

釣りも好きな齊藤さん。

魚魚会は会場の広さや、講義の質の維持、各スタッフのスケジュールの兼ね合いで、今のところ月一回・15人定員。スタッフもしくは会員さん(Facebookページには200人ほど)の紹介のあった方にのみ開催のお知らせをしているとのこと。もし参加されたいという場合は齊藤さんまでお問合せください。

お問合せ先
tsukijitotokai@gmail.com


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