トラウト・エリア(管理釣り場)ゲーム、スプーンルアーのウエイト差0.3gがもたらす釣果の違い!



「エリアゲーム」は同じ立ち位置からスレた魚と遊ぶ独特の文化!

フレッシュな個体を求めて、ラン&ガンを繰り返すことが可能なバスやソルトゲームと異なり、エリア(管理釣り場)ゲームは同じ立ち位置から、スレたトラウトをいかにしてキャッチするか? という独自の視点から発展した歴史を持つ。

ラン&ガンではなく、同じ場所で釣り続けるからこそ、独自の発展を遂げられたエリアゲーム。

特に土日・祝日ともなれば、人気エリアでは簡単に場所移動ができないこともある。

もっとも、隣のアングラーとの距離が近い! という特徴がエリア文化の礎となり、徹底したマナーの昇華と、隣の人と気軽に友達になれる「気持ちのいい風習」を育んだのかもしれない。

エリアスプーンの緻密なウエイト展開

エリアゲームにおいてメインルアーとなることが多いスプーン。

エリアに特化したスプーンには、当然のように同じ場所でトラウトと勝負することが前提の武器が搭載されている。

カラー数が豊富なのはもちろん、同一タイプのスプーンにおけるウエイト展開も緻密だ。

例えば、エリアで高い支持を受けているアイビーラインのペンタというスプーンは、0.7グラム、1.0グラム、1.3グラムの3種類のウエイトが用意されている。だが、3タイプのシルエット(全長)は同じで、板厚の違いでウエイト差を出している。

アイビーラインの人気スプーン『ペンタ』。写真左から1.0g、1.3g。0.7g。ウエイトは違うがシルエットは同一。www.ivyline.jp
アイビーライン『ペンタ』は板厚の違いでウエイト差を出している。写真上から0.7g、1.0g、1.3g。www.ivyline.jp

それにはもちろん理由がある。



スプーンとリトリーブ速度の基本的な関係性!

ウエイトの違いは当然、攻略レンジとも密接に関係しているが、エリアスプーンのウエイトは、むしろ「巻きスピードとの関係性」の方が重要度は上だと、アイビーラインフィールドテスターの山村昌輝さんは言う。

山村昌輝やまむら・まさき。アイビーラインフィールドテスター。スプーンをはじめ、ミノー、クランクベイト、トップウォーターと全スタイルで高次元のテクニックを実践しているエリアエキスパート。3000m級の山を登り源流も攻める、ハードスタイルの外遊び人間でもある。

「基本的にはどのウエイトでも、スプーンであれば表層からボトムまで引くことは可能です。0.7グラムでもボトムは引けます。1.3グラムでも表層は引けます。ですが、スプーンの本質は止めれば沈む金属片。スプーンは巻くことによって始めて浮上を開始します。

どのくらいの速度で巻けば、どれくらい浮上するのか? は、スプーン形状によって異なります。また、浮上も沈下もしないレンジキ―プできる速度も、各スプーンに存在します。

レンジキープできる速度がそのスプーンの適正速度だとすると、それよりも速度を落とすと巻き下がって、速度を上げると巻き上がるのが、スプーンと速度の基本的な関係性です」

ウエイト差、わずか0.3グラムが生み出す「巻きスピードの変化」が握るカギ!

では、なぜアイビーラインのペンタは同一シルエットを保持させたまま、板厚違いでウエイト差を出しているのか?

「例えばペンタ1.3グラムを使って、カウント5のレンジでヒットが続いていたとします。やがてスレてきて、アタリの出方も甘くなってきます。その場合、何に対してスレたのか? 

考えられるケースは多岐に渡ります。カラー、ルアーの動き、レンジ、シルエットなどいろいろありますが、候補の中にスピードもかなりの重要度で含まれます。

ルアーのシルエットは同じで、レンジも同じでスピードだけを遅くしたい。そんなときにペンタ1.3グラムからペンタ1.0グラムにウエイトを落とすと、巻きスピードを0.3グラム分遅くすることが可能です。

たったこれだけの修正で再び、活気のあるアタリに戻ることも珍しくないのがエリアの世界です。もちろんしばらくしたらまた、アタリは甘くなるんですけどね…(笑)。その時は、甘くなりそうな気配を感じた時点で、次の手を打てばいいんです(笑)」

アタリにはタイプがある。常にいいアタリが出るように、戦略を模索するところにエリアゲームの楽しさがある。

ペンタ0.7グラム、1.0グラム、1.3グラムのウエイトの差異はそれぞれ0.3グラム。すなわち、そこには「0.3グラム分の巻きスピードの違い」が欲しい現実があることになる。

さらに言うと、0.3グラム分のウエイト差がもたらす巻き速度の変化を付けられてこそ、スプーンを使いこなせることになる。

だからこそ、エリアエキスパートたちは、リトリーブに強いこだわりを持っているのかもしれない。


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