奥深きハンドメイド・トラウトルアーの世界〈前編〉【シンドラーハンドメイドルアースタジオ:美しいバルサミノーを生み出すビルダーの私的空間】



酒向智史さんの新工房

トラウトルアーというジャンルにおいて、ハンドメイド、つまりお手製のルアーの人気は高い。

中でも最もポピュラーで人気の高いアイテムがバルサ素材を採用したミノーであろう。設計に始まり、素材の切り出しや成形、サンディングやコーティングなど数多くの工程を経て世に送り出される作品には、やはり“手仕事ならではの”魅力がある。

そんなバルサミノーの魅力に迫るべく、今回はビルダーの工房に潜入してみることにした。

お邪魔したのは、岐阜県美濃加茂市に拠点を構えるハンドメイドルアーメーカー「シンドラー」。代表兼ビルダーを務めるのは、業界屈指のアイデアマンでもある酒向智史さんだ。

「これまで実家にある自分の部屋を改造して工房として使っていましたが、2015年に新工房が完成しました。間取りは2部屋で、ひとつが削り&デスクワーク用の8畳。もうひとつが乾燥ブース完備の6畳となっています。このほか、アルミにウロコ模様をプレスする機械なんかも新たに導入しました」

シンドラーハンドメイドルアースタジオの酒向智史さん。schindlerlure.com

代表作は50㎜の渓流用「ベンケイ」

酒向さんの代表作「ベンケイ(50㎜)」。中層攻略用のオリジナルモデル「ベンケイオリジ」と、ボトム攻略用の「ベンケイオモワザ」の2タイプがリリースされている。

ベンケイときたらやっぱり……表層攻略用の「ウシワカ」

中層とボトムの攻略を意識した「ベンケイ」。そうなればやはり表層もカバーしたい。ということで開発に着手したのが、この「ウシワカ」シリーズ。写真は50㎜の渓流用モデルだが、本流用の65㎜モデルも存在する。

プロとしてのこだわりが詰まる新工房

「極力、体に負担をかけないよう、シンナー系を扱う部屋と、その他の作業を行う部屋を分けるのが夢でした。プロとして長くものづくりをしていくためには、自分の体を守ることが心得のひとつだと感じています」。

酒向さんの工房には、10年以上ビルダーを続けてきた彼ならではの視点で、様々な工夫がなされていた。

シンナーも、削りの工程で出る粉塵にしても、決して体にいいものではない。単純に部屋を分けただけでなく、双方の部屋に業務用の有圧換気扇を設置したそうだ。これは家庭用の換気扇よりも、はるかに換気能力が高いものだという。



ウッド製の塗装ブース

業務用の有圧換気扇を設置した塗装ブース。家庭用のものに比べるとはるかに換気能力が高いそうだ。有毒な塗料も、嫌な匂いもガンガン吸い込んでくれる。
こちらも有圧換気扇。削りなどの作業を行うスペースにも設置。

カラーリングの想像力を高めるための「魚の写真」

パソコンデスクの周辺は仕事兼趣味のスペース。カメラや釣り具などが整理されている。パソコン上部の魚の写真は「カラーリングにおける想像力を高めるためのもの」とのこと。

専用の「治具」で作業を効率化

ミノーとルーターを固定してリップ角度の誤差を出さないための型を製作。ものづくり全般が好きな酒向さんは、ミノーだけでなく作業で使う治具まで自作してしまうのだ。こんなワザはなかなか披露してくれないものです。

後編では「ミノーができるまで」を紹介!

ウシワカのプロトタイプ。後編ではこのウシワカができあがるまでの工程を紹介していこう!

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