重心移動システムって???
はい。HFEのフカポンです。もふもふ釣り場ネコの原稿でも書こうと思ったのですが、また飛び道具か?と訝しげな顔をされたので、一転、こんなマジメなお話を…。
ルアーには様々な叡智が詰め込まれていることは、釣り人なら誰もが認めるところですよネ。現在発売されているルアーに求められている性能はいろいろとありますが、飛距離を出して、遠くの魚を狙う性能というのは、ルアーに内包すべきギミックとしては優先度の高いモノ。
そんなスキルをルアーに持たせちゃったのが、これからお話する重心移動システムなのであります。おそらく、そんなこたぁわかってるし、ギミックも知ってるし、効果も知ってるよ!って諸兄も多いかとは思いますが、そのギミックのおさらいと、実際のデータを持ってその効果を裏付けてみたいと思います。
なんと、この定番システムを考えたのは日本人! すごくね?
今や、数多くのルアーに採用されている重心移動システム。飛距離を伸ばし、着水後はルアーにしっかりとアクションさせるという画期的なシステムですが、なんと原案を考えたのは日本の方なんですよね。その方は現在、タックルハウス社でルアーをデザインされている二宮正樹さんというアングラーなんです。ソルト界隈では多くの方がご存じのレジェンドです。そのあたりの詳しいネタはルアーマガジンソルト2016年1月、2月号の「タックル進化論」という連載をご覧いただくとして…。
とにもかくにも、重心移動システムというのは革命的ギミックだったワケです。それまでのルアーはアクションを出すため、ルアーに重量を持たせ、魚のアクションを演出する機能を持つウエイト類は固定されていました。
現在も固定ウエイトモデルは、最新のルアーにも採用されていますし、重心移動システム内に固定ウエイトが採用されているモデルもあります。適材適所ですね。固定ウエイトのモデルがルアーとして劣るというワケじゃ当然ありません。
そのウエイトを球状にしてルアーの中で移動させて、キャスト時はキャストに有利なルアー後方へ、着水後はアクションに有利なルアー前方に移動させるという、 30年以上前に考案されたこの二宮さんのアイデアなのです(ルンゼというウッドルアーに1984年ごろに採用されています)。本質的な部分は変わらぬまま、現在は各社が独自のオリジナリティを加えつつ、この重心移動機構は定番化しています。
ま、パクリパクられ、特許を抜けて、あれやこれや。生き馬の目を抜く…。みたいな話はこの重心移動界隈にもあるかもしれませんが、そういう業界泥沼劇みたいなのは一般ユーザーにはあまり関係ないので…。でも、これだけは言えます。最初に考えた人は凄い!そこはリスペクトしつつ、良いシステムが今後も生まれてくることを願います。
重心移動タイプのルアーって、固定重心に比べて、どれくらい飛距離に関するアドバンテージがあるの??
はい。ということでルアーマガジンソルト2016年1月号に掲載した、実験結果表をドン! タックルハウス社にお願いして、K-TENのK2F142&K2R112の重心移動採用モデルと、特別に作って頂いた固定重心採用モデル(非売品)で、キャスト比較〜。キャスターは釣りPLUSのウンチク王で、釣りヲタクのネコ人間を招聘。なるべく同じフォームで、無理な力を入れずにキャストしてねとお願いし、飛距離実験しました。
結果! 1.5倍から1.6倍の飛距離が!
結論からいくと、1.5倍〜1.6倍の飛距離を重心移動システム搭載のルアーは同型の固定重心モデルより叩き出したことになります。
もちろん、本実験はもともと重心移動システムを搭載することを意識して設計されたルアーたちをタックルハウス社の協力を得て、特別に固定重心化していますので、飛距離ポテンシャルは専用設計されたルアーたちにくらべれば劣る可能性があることを加味して飲み込んで頂けると公正かと思います。
結果を見ると、重心移動システムの恩恵は思っているよりも大きいことが数値で実証されたかと思います。わかっちゃいたけど、そんなに変わるのね?と思われた方も多いかと!
ということで、また機会がありましたら、この重心移動のアイデアを受けて生まれた、重心移動システムをご紹介したいと思います。これまた、各社のアイデアがおもしろいのですよねぇ。だからルアーは、ほんとすこ!!です。
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