バスボートのエレキモーターを改造してみた(5)ひとまず完成!?編【エレキのシャフトをカットして短くしちゃうぜ|釣り人的DIY】



〈前回(その4)はこちら ↓〉

えー、長々と綴って参りました本企画。今回で一応の完結です。

今回の流れは…

1.モーター組み立て(消耗品交換も合わせて)
2.シャフト組み立て
3.ヘッド組み立て(ペダルを添えて)
4.動作テスト

の4本立てとなっております…。

1.塗装も完成したので、モーターハウジングを組みましょう

前回、モーターハウジング部の塗装を終えました。一応アレから2日間くらい乾かしておいたと思って下さい。

いよいよモーター部を組んで行きますが…、今回、アーマチュアは前回のアレをそのまま使います。

この写真でみると、スゴイダメなように見えますね。錆をある程度落とし、コミュは#2000のペーパーなどで出来る限り磨きました。最初に比べれば大分マシな感じだと思いたい。焼け石に水のような…

見てくれは焼損寸前です。これでもまあ動くのです。動くだけとも言いますが…。

いまさらだけど、781(36V)と82(24V)ってもしかして、ハウジングもアーマチュアも同じなのでしょうか…??

普通、修理屋さんだったら交換しないとダメですよって言われるレベルです。が、この企画、ルアマガ編集部、ルアマガソルト編集部、釣りPLUS編集部の全てが、内容以外の実作業及び経費などには関知しておりません。
つまり完全自腹!(涙)
そのため、予算には限りがあるんじゃよ…。その分好き勝手出来るんで良いんですけど。

えー、前回のアーマチュアの惨状をご覧のエレキ業界関係者の皆様。
失笑は承知の上ですが、予算の都合上、今回はこのまま使いますのでご了承願います。
→なお、手順に致命的な間違いがあれば、釣りPLUS編集部までご一報ください。
ネコ人間のエレキが延命されると思われますので、よろしくお願い致します…。

今シーズン終ったら、アーマチュアは交換かな……。

さて、気を取り直しましょう…。

今回、全パーツをほぼバラしていますので、合わせて各部の消耗品を交換します。
交換するのは、まずハウジングのシール。前後2個。

左が使用済み。右が新品。

次に、ボルトのシール×4。スルーボルト2本分と、モジュール固定ボルトの2本分ですね。

アメリカ人ってホントにゴム好きだよね。

ブラシとSEモジュールをコムキャップにドッキング

バラしたときとは逆の手順です。
まずはクリーナーとウエスを駆使してクリーニングしたブラシASSYとSEモジュールをドッキング。

今回はSEモジュールの交換はしません。付いてきたモノをそのまま組みこみます。

ブラシのコミュテータとの接触面が荒れていたので、こちらも♯2000のペーパーで整えておきました。それがどれだけ効果的なのかは分かりませんが。

このSEモジュールですが、PCのCPUみたいなものなので、使うと発熱します。

SEモジュールの裏はヒートシンクになっています。
SEモジュールのヒートシンクと同形状の受けが見えます。ココに密着させることで、ハウジング全体でモーター部の冷却が出来るようにしてあるワケです。

その熱は、SEモジュールとコムキャップとくっつけて、ハウジング全体で熱を逃がす設計になっています。

つまりエレキは水冷!なワケです。

ここの放熱性を高めるためには、必ず放熱用シリコングリスを塗ります。一応、純正品もあるようですが、今回は入手しやすい自作PC用の放熱シリコングリスを使います。

調べたところ、もっと冷却効果の高いシルバーグリスなどは硬めで塗りにくかったりするようなので、伸ばしやすそうな中グレードのシリコングリスをチョイス。

買ってきたのはこちら。エバークール製のグリス。熱伝導率は3.8W / mKとなっていて、陳列されていた中では一般的な性能のモノ。

こちらを薄ーく伸ばしまして…。

つけすぎてもダメらしいので、ほどほどにしました。もうチョイ塗っとく?

コムキャップ内の形状と合わせてIN。

※今回は新品を使用するので必要ありませんが、使用品を再利用する場合、コムキャップのベアリング部分やシール部分は新品に取り替えたほうが良いです。最低でもグリスアップは必須。マーキュリーの2-4-cやなど、耐水性の高いウレア系グリスをたっぷり詰め込んでおきましょう。

モジュール固定用のボルトできっちりと締めておきます。

トリセツによると、各部の締め付けトルクの規定値がありますので、心配な方はトルクレンチを使うと完璧なはず。あ、コムキャップの汚れはマスキングのミスです。どうせペラで見えないから気にしない。と油断した結果がこれだよ!

ちなみにこのボルト。トルクスネジ(T25)です。

さて、いよいよエレキ組み立ての最難関。
ハウジングとコムキャップ、そしてアーマチュアの組み上げです。

バラすときも問題になっていましたが、スプリングで押し出されるブラシをどのように組み込むのか? というのがエレキ組み立て最大の課題です。
コレ以外は誰でも組めるレベルの工作です。

ハウジング内へ先にアーマチュアを入れて、その後コムキャップを組むのが一般的ですし、正しい方法のようですが、このやり方の場合は、ブラシを固定する治具が必須です。

なので……。

今回は違う方法で組み上げます。

ポイントは、後ろを先に組み上げておく!

コレ実はシールを入れ忘れてますね。一度このまま組んでしまい、やり直すハメになりました…。

先にこのようにペラまで組んでおくのがポイントです。

コムキャップ内のシール部分が結構キツいので、シャフトにはグリスを塗っておくと多少入れるのが楽ですが、勢いに任せて押し込むとブラシに打ち付けて破損します。
涙目になってブラシのカケを成型しなおすことになる(しました)ので注意しましょう。
あと、グリスが押し出されて飛び散り大惨事になることも(なった)。

ブラシはタイラップ等で縮めておくとうまく組めます。

こうすることで難関のブラシカード組み上げをさくっとスルーできます。
とはいえ、ここまで組むのだけでもそれなりに苦労しますが、慣れればどうということはないかと。

配線の先端をシャフト通したら、磁力に逆らいつつゆっくりと、線を噛まないように気をつけつつアーマチュアをハウジングに挿入。
入れた分だけ余る配線をシャフトの上から引き出しつつ入れていくと良い感じでした。

グリスはたっぷりと…

フロントのノーズキャップ内のベアリング部分にもグリスをIN。

異音の原因となったであろうベアリングがここにも使われています。打ち替えることも出来るようですが、今回はノーズキャップごと交換!

忘れずにシールを入れて、ボルトの位置を合わせたら、5/16のボックスレンチで締め込んでいきます。できるだけ左右均等に。

ここも締め付けトルクの規定値がありますが、案外大きい数値なので、結構強めに締めておきました。水漏れするよりはマシということで。

各ボルト部の根元には、忘れずにシールを入れて組むこと。最終的な締め込み前に、シャフトとスケグが一直線になっているのを確認します。ズレていたらちょっと緩めて微調整。
これにて完成! 新品のノーズキャップがつや消しブラックだったので、ケースとコムキャップもつや消しで塗ったわけです。横から見れば結構悪くない仕上がりだと思うのですがどうでしょうか?

スケグの位置がシャフトに対して正しい位置になっていればモーター部の完成です。

2.さー、シャフトを組むぞー!

バラした逆の手順で、シャフトベアリング一式とアダプターカラーを、カットしたアウターにシャフトを組み込みます。

サクサク組んでいきましょう。ベアリングボールとワッシャーを入れる順番は間違えないように。

ヘッド内部のベアリングも組み込んだら、シャフトピニオンをネジ止めします。

上下のベアリングにはたっぷりとグリスを塗り込みます…。

特にこちらは水に濡れる場所なのでたっぷりと。今後は確認も頻繁にしないと…。

グリスを入れたら、アウターシャフト下部のベアリングカラーを上に押し上げて固定します。

上に持ち上げるようにしてネジを止めます。モーター部を何かに引っ掛けておくと便利! 止める位置と締め付けトルクは説明書の指示通りに。

これで、シャフト側は完成です。



4.ペダルとヘッド部をドッキングして組み上げます

ここからはもう組み上げるだけなので、イッキです。

ワイヤーの取り回しは最初と同様に。奥がロングで手前がショートです。ココのネジにホントはアースを落としたかったんですが、5.5sqのスリーブに割り込ませるスペースがなくて断念。

ペダル側からのワイヤーもきっちりと組み上げます。ここのギヤにはグリスをつけておきます。

写真見る限りグリスつけてないけど、あれ?? あとで見ておこう……。

説明書通りに、各配線を圧着端子と閉端子で接続します。圧着端子は収縮チューブでカバー。
基本的に同色で繋ぐだけですのでカンタン。

電球は、チェックしておいた通りに繋ぐことで極性が入れ替わってしまうことが防げます。

電球はLEDにしてみました。ここのソケットはBa9sです。

ヘッドカバーに追加の細工!

もともとのヘッドカバーはこちら。インジケーターが旧型です。

さて、あとはヘッドカバーを組み立てれば終わりなのですが…。
このヘッドカバー。旧型のインジケーターが付いています。
なので、コイツを…

右が旧。左が新。

インジケーターキットの交換で入れ替えます。

こんな感じ。インジケーターとモーターの向きは合わせて組みましょう。

交換したヘッドカバーを取り付けて……

遂に完成しました!

長さの比較はこちらです。
左が今回32インチくらいにカットしたTE781V(デジタル82V仕様)。
右がこれまでつかっていたEF-54V(アナログ12V)です。

頭2つ分くらいは短くなりました!

42引く32で、約10インチ(25センチ)ほど短くなっているはずです。

完成したら試運転も必要ですよね。

っていうことで、さっそくカメヤマに試運転へ行ってきました。

もうチョイ切りたい

いやー、短いシャフト快適です!
クルマへの積み込みも、持ち運びも楽だし!

チャレンジしてみてはどうでしょうか? とは言いませんが、やってみる価値はあると思いますよ。

そういや、抱えてたトラブルはどうなった?

もちろん、その辺りもチェックしてきました。
一日釣りしましたからね。

というわけで、まずは高回転時の異音とブレ、高速走行時の突然停止の件ですが……。
こちらは作業後、全く出ませんでした。

静かというか滑らかで、ごく普通のエレキの音ですね。
現在ブレーカーは入っていませんから、おそるおそる全開で走ってみましたが、当然フリーズは起きません。
ブレーカーで間違いありませんでしたが、次に全開走航で止まったらアーマチュアかブラシの焼損でしょうから、注意せねば…。

で、もう1つのスピードコントロールがゼロにならない件ですが………

こっちは全く解消されませんでした!

原因はSEモジュールDEATHね、こりゃ。 

スピードゼロにならないけど、ギリギリつかえる範囲だし
……アーマチュアと一緒に、年末には交換しましょうね。

以上、おつきあい頂いてありがとうございました!

最後に、今回のシャフトカット実行にあたってネット上のありとあらゆる記事を読んで情報を収集しました。
アクセス解析をされてる方であれば、とあるアクセスが増えていたことに気づいてらっしゃるはずですが、多分それ僕です。
みなさんのブログ記事が大変参考になりました。
ありがとうございました!

オマケ。

今回の記事用写真を整理してたときです。
…………………………………………
……は??
目を疑いました。
何だこの白い線。

確認したら、ゲーターフレックスのアッパーが割れてました。
反対側にも亀裂があったんで、もうダメっぽい。

終わり。

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