今から約15年前…。市場にはまだブルーギルをイミテートしたルアーは、ほぼ存在していなかった。そんな中、フロッグプダクツ代表の荒井謙太さんが開発したウッド製の「ギルレイカー」は、あらゆる意味で斬新にして奇抜だった。
そんなギルレイカーが2017年、春…約15年のときを経て、ABS樹脂素材で生まれ変わる。
時代を先取りしたルアー「ギルレイカー」
発売から15年経った今でも熱狂的な愛好者に支持されている「ギルレイカー」は、発売当初は「早すぎるルアー」と噂されていた。
早すぎる…とは時代に対して早すぎる…という意味。つまり、時代を先取りしすぎたルアーとして認知されていた。
荒井さんが開発したギルレイカーは確かに奇抜だった。扁平ボディにして、垂直の浮き姿勢。デザインは奇抜だが、釣果は他のフロッグプロダクツ製ルアー同様に、圧倒的に優れていた。
そんなギルレイカーが2017年、春…約15年のときを経て、ABS樹脂素材で生まれ変わる。
キモは「弱ったブルーギル」の動き
今から約15年前…。荒井謙太さんは、釣れる確信を持って時代を先取りしたルアー「ギルレイカー」の開発に着手していた。
きっかけは千葉県の某リザーバー。
荒井さんのキャストしたトップウォータープラグに、ブルーギルがヒットした。そのファイト中に、巨大なブラックバスたちが続々と出現して奪い合うように、ファイト中のブルーギルにバイトを繰り返した。
その後、同様の光景に何度も遭遇した荒井さんは、弱ったブルーギルの動きは、ブラックバスにスイッチ入れる効果がある…という確信に至った。
荒井謙太さん(以下荒井)「キモは弱ったブルーギルの動きです。元気なブルーギルの動きでは、バスにスイッチを入れることは難しいと思います」。
この段階での選択肢は、いくつかあった。
荒井「15年前の当時でも、リアル系のブルーギルのトップウォータープラグを制作することは、さほど難しいことではありませんでした。ですけど、今も昔もフロッグプロダクツの精神は、抽象ザデインです。よ~く見ると、確かにギルだよね…(笑)。そんなデザインこそがフロッグプロダクツ製ルアーの特徴ですから(笑)」。
実際の開発に入ると、厚さ1センチ程度のボディを垂直に浮かせるのは容易ではなかった。
ウエイト位置をミリ単位で調整して、理想の浮上姿勢を保持。浮上姿勢を前傾させ過ぎるとリトリーブと同時に潜行してしまい、水平にしすぎると理想のアクションが出ない。
荒井「理想は、やや前傾の浮き姿勢でした。そして、ボディのエラ部分には最初からギミックを入れる予定でした。穴を空けることによって、ヒラを打たせたときに、効果的なスプラッシュを出すことを目指しました」。
結果的にボディ内にオリジナルのステンレスワイヤーを通して、エラ部分に空けた穴にはバズベラを装着した。
その結果、ボディに空いた穴によるスプラッシュ効果、さらにはバズペラのフラッシング効果、そしてペラの回転によるアピールの相乗効果によって、サウンド&飛沫の両方向からの演出に成功。
荒井「ルアー形状が与えるイメージからすると、奇抜で派手なアクションを連想すると思いますが、実際に水面でアクションさせると、すごくナチュラルなんです。そのナチュラルさも釣れる要因のひとつだと思います」。
アクションはタダ巻き時にはウォブンロールが基本。高速リトリーブからデッドスローリトリーブまでに対応している。
巻きで、ウォブンロールアクションを繰り出しながら「線」を攻略する。そして、ここぞというピンポイントではテーブルターンを駆使して「点」で攻める。
荒井「開発当時から、線と点の両方向から攻めることが可能なルアーを前提に設計を進めていました。リップはないですが、バイブレーションのように、ボディ自体がリップの役割を兼ねているので、リップ付きのルアー並みのアクションが出ます」。
現在の最先端技術で15年前のウッドアクションを完全再現!
2017年、春、ABS樹脂素材でギルレイカーが復活しようとしている。
荒井「ABSだと品質ムラもないので、より多くのアングラーの方々に楽しんで頂けると思います。15年前にウッド製を開発したときから、いつかはABSを作りたい…と思っていました。長年の夢がようやく叶いました」。
もちろん抜群の釣果を誇っていた15年前のウッド製のギルレイカーに、徹底的にアクションを寄せてABS製を開発。結果的に当時のウッドバージョンのアクションが見事なくらい再現されている。
荒井「現代の最先端技術があってこその、アクションの継承だと思います」。
ABS製ギルレイカー(フロッグプロダクツ)は、全長77ミリ。ウエイト20グラム。価格は3200円(税別)を予定。
15年という年月を経ても、全く色あせない本物のルアーが今、再誕する…。
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