JBTOP50第2戦”弥栄湖”直前:編集部注目選手にインタビュー!【国内バストーナメント最高峰のエレキ戦を制するのは?】



嵐の前の静けさ…。明日から超絶エレキバトルが湖上で繰り広げられる!!

いよいよ明日に迫ったJBTOP50第2戦in弥栄湖(広島県・山口県)。国内バストーナメント最高峰50人の精鋭たちは、本戦2週間前までのプリプラクティスで得た情報を糧に、試合直前の2日間で現時点のフィールド状況を把握。今頃は明日のスタートダッシュに備え、その牙を磨いている頃だろう。

トップ画像は弥栄湖レンタルボートの桟橋沖から、同湖のシンボルとも言える弥栄大橋を臨んだ風景。優勝レースを牽引してチェッカーフラッグを最初に受けるのは、はたして誰か。なお、この橋の手前は山口県、奥は広島県と県境に立地する稀有のフィールド。

例年、TOP50シリーズは開幕戦から第2戦までの間に、長ければ2ヶ月の中断期間を置くことが多い。選手たちはこの間を試合に備えた存分なプリプラ期間に充ててコンディションを整えると共に、様々なターミナルタックルからボートの調整に至るまで余念がない。

特に今戦の場合はエレキ限定戦、続く第3戦も動力限定(60馬力まで)の七色ダム戦となるため、通常のバスボートとはまた別のセッティングが必要となり、諸々の課題は多い。選手によってはそれぞれ3艇を準備する場合も。栄光を掴むための準備を彼らが惜しむことはない。

直近の試合で「勝ちグセ」を持つ選手にインタビュー‼

弥栄湖は最高峰シリーズにおいて、わずかに3度目の開催地。初回が2003第3戦、前回が2007第5戦と、ベテラン選手は経験していたとしてあまりにも過去の話、また若手に至っては初舞台となる選手も多く、いわば未知数に近いフィールド。勝者を予想するにはあまりにも不確定要素が多過ぎる。

誤解を恐れずに言うならば、国内最高峰の50選手ともなれば、そのフィジカルやテクニックに大きな差はない。差があるとすれば、試合へと臨むメンタルにあるのではないか。ならば、直近の試合で『勝ちグセ』を身に付けた選手に勝機があると踏み、インタビューを敢行することにした。

多忙を極める最中にあっても、試合勘を維持すべくTOP50トレイル以外の各地のローカル戦を始めとする、実戦の場に身を置く選手も実は多い。

試合を主宰するJB/NBCの公式ウェブサイト・NBCNEWS(http://www.jbnbc.jp)を閲覧すると、トップ画面には優勝者としてTOP50選手3人の勇姿が並んでいることに気付くはずだ。

4月20日JB河口湖第1戦 優勝:野村俊介
4月30日JB霞ヶ浦第2戦 優勝:関和 学
4月30日JB生野銀山湖第1戦 優勝:三原直之

この上記3選手にインタビュー取材を行った。

プリプラ終了後、直前プラへと向かう直前、その意気込みと共に『優勝予想ウェイト』を聞き込み。詳細こそ明かせないが、その数値を読むことで彼らの戦略もおぼろげながら見えてくる。はたして明日の本戦をどう迎えるのか、注目してみたいところだ。

現行TOP50開催地で史上最高18kg超!!怒(いか)れる黒豹・川口直人

…と、その前にもう1選手、エレキ戦と言えばその名を上げておくべき選手がいる。その名とは…

かわぐち・なおと 1970年4月12日生まれ(47歳)、O型。群馬県出身・山梨県在住。2009第1戦高滝ダム優勝。スポンサー:ゲーリーインターナショナル、DAIWA、ジャッカル、オプティマバッテリージャパン、エルファースト。2017ゼッケンNo.26。*写真は2016第5戦霞ヶ浦3日目、5位入賞時のもの。

川口直人さん(以下川口)「エレキ戦とはなぜか相性がいい」。

プリプラを終えた川口選手はことの外に上機嫌。怒ってはいない…。その口調から上々の仕上がり具合を察することができる。

ここで川口選手を勝者予想の筆頭に挙げた理由、それは彼が打ち立てた偉大なる記録に起因する。最高峰戦は長らくエレキ戦から遠ざかっているが、直近で行われたのが2009第1戦高滝ダム(千葉県)のこと。超ハイウェイトバトルとなったこの一戦で彼が魅せたのは、3日間6キロ前後(!!)、トータルで圧巻の18375グラム! 現行最高峰開催地では史上最高ウェイトとなる超絶大記録だ!!

川口「完全に釣り方の差だった。瞬時に激しくアオるだけで確実に魚が口を使うことは、プラの時点からわかっていた」。

大船団を形成した境橋スロープ沖で、たった一人だけ竿を曲げ続けた川口選手。隣り合うボートとの距離は時に1メートルを切りながらもキーを悟らせず、初日から決勝まで1・6・1位と終始ハイレベルなスコアでの単独ゴール。接戦を許さない勝ち方は、近年の霞ヶ浦や遠賀川での沢村幸弘選手を彷彿とさせる。

フィールドも時期も異なる2009年当時の偉大な結果が、今戦の展開に直結するとは思えない。が、しかし、良いイメージを内に秘め試合に臨めるのは大きなアドバンテージとなることは間違いない。

川口「今回プリプラを終えて、ふと思い出したのが2003年開催時(6位)のこと。あぁ、そういうことなのかと」。

濃密な経験値から何かが湧き上がったようだ。試合前のため詳細を明かすことはできないが、冒頭を裏付けるように何らかの手応えを掴んでいることだけは明らかにしていいだろう。

はたして気になる優勝ウェイトはどう計算するのか。

川口「以前に比べ大型は増えている印象だが、スーパーな魚はそうそういない。1日5キロはなかなか難しいフィールド。そう考えると…4・4・4の計12キロ」。

2003年当時の優勝ウェイトとほぼ同数値。時期的なことも含め「やや控えめ」なウェイトを挙げたようだ。



通算37勝&A.O.Y.19回!! TOP50無冠の帝王・野村俊介

対して「もっとイキそうな感じがする」と答えたのは…

のむら・しゅんすけ 1978年6月7日生まれ(38歳)、O型。静岡県出身・山梨県在住。12エリート5ウィナー、01・09・11マスターズA.O.Y.他。スポンサー:ベイトブレス、サンライン、メガバス、ニクソン、バスフィッシングボートクラブSTAGE、スワンズ。デコイ、DELTAロッドブランド。2017ゼッケンNo.28。*写真は2016第3戦七色ダム初日にキャッチしたBIGFISH賞魚2986グラム。

野村俊介さん(以下野村)「毎日5キロはキツい。ただ、初日だけは別。おそらく6・4・3の計13キロ」。

こう読むのは、何と”37勝”というJB最多優勝記録ホルダーにして、”19”のAOY記録を持つ野村俊介選手! その圧倒的な数字は多くがJBトーナメントの聖地・河口湖(山梨県)での試合によるもの。クリアウォーターの同湖で他を寄せ付けない強さを発揮する理由とは、そう、彼の最大の武器はサイトフィッシングなのだ。

今戦の弥栄湖もクリアのイメージが強い。となれば、十八番が炸裂すると見ていいのか。

野村「2つの筋があって一方はクリア(=小瀬川)ですけど、もう一方はマッディ(=大根川、通称:美和町方面)で、本湖がステイン。一概にサイトだけが武器になるとは限りませんが、チャンスがあれば…フフフ」。

不敵な笑みは勝機を掴んでいる証拠だ。その詳細については後日明かされる日を待ちたい。

ここで問い正したいのは、意外にもTOP50では1勝もしていないという事実について。エリート5のビッグタイトルを持ち、マスターズA.O.Y.は3度もの獲得。しかし、なぜかTOP50では2006第1戦旭川ダムでの準優勝が自身最高位というのが現状だ。

野村「河口湖の試合では釣りをしながら『今日は勝てるな』とわかる。TOP50戦を振り返ると、1度勝った選手の多くは2度目に繋げているという歴史がある。ならば…」。

自身のブログで今年はじめに「今年は勝負の年」と決意を表明した野村選手。最高峰の舞台でも勝ちグセを付けたら、これほど怖い存在はいない。飛躍のきっかけとなるのはもしや今戦か? 大いに期待したいところだ。

2015CLASSIC in池原ダム制覇! 若きリザーバーマスター・三原直之

今戦は西日本エリアでの開催だが、東日本のアングラーにも熱い視線を浴びているのが各選手艇の装備だろう。

しかし、次に登場する選手は意外にもボートに強いこだわりを見せていないようだ。

みはら・なおゆき 1991年2月18日生まれ(26歳)、O型。鳥取県出身・兵庫県在住。2015クラシックウィナー&生野銀山湖A.O.Y.、2014JBⅡ東条湖A.O.Y.。スポンサー:イマカツ、東レ、リューギ、アウトドアハウス アオノ、東条湖BIG BITE。2017ゼッケンNo.54。*写真は2016第3戦七色ダム初日。

三原直之さん(以下三原)「エレキ戦と言うと、皆さんスピードにこだわっているようですが、僕はさほど意識していません」。

軽量艇を選んで最適な重量配置を講じ、驚くべき高出力エレキをセッティングして、一説によれば時速10キロの壁を越えるモンスターマシンを用意した選手もいるという今戦。

そんなハイスピードバトルを横目に、エレキ前後2機仕様は必須としながらも落ち着き払ってコメントしたのが三原直之選手。一昨季のクラシック優勝で一躍その名を世に轟かせた若きリザーバーマスターだ。

三原「昔は弥栄湖って大きな魚、あまりいなかったんですか?」。

今回登場する4選手のうち、唯一の弥栄湖初参戦。プライベートでも「7年前に1度」経験があるのみ。過去を知らない分、フレッシュな状態で現在を見極めることもできそうだ。またこれまでの数々の戦績を見てもわかるようにダム湖の戦い方を熟知した感がある。

三原「僕の中でリザーバーには2種類あると思っています。(中略)生野銀山湖と東条湖、どちらかといえば前者に弥栄湖は似ていますね」。

詳細を聞くと、それはフィールドの立地条件の差異ではないのだという。何がどう異なるのかは、彼の戦略を明かすことにもなりかねないのでここでは伏せておく。

では、優勝予想ウェイトはどう読むのか聞いてみよう。

三原「7・3.5・1.5の計12キロ」。

な、何と初日7キロ!? 昨季第3戦七色ダムで優勝した小森嗣彦選手の初日は7355グラム。最高峰戦史上でも稀に見る「7」を頭にする4ケタ数字を、弥栄湖でも可能だと三原選手は踏んでいる。

三原「あくまでも目標です。リザーバーは初日にドカンと釣って来ないと、2日目以降はプレッシャーが高まるので」。

昨季七色ダム戦の三原選手を振り返ると、初日2位の5155グラム(=プロフィール写真)をウェイイン。目標数値まで至らずもスタートダッシュを狙っていたことは明らかだ。

ベテラン勢が恐れる『がむしゃらな若手の狂気』は今戦で発揮されるのか。大いに期待したいところだ。

「ドン底」から完全復調! 覚醒するカスミ魂・関和学

そして、ラストに登場する注目の4人目は、この選手だ。

せきわ・まなぶ 1971年8月1日生まれ(45歳)、B型。東京都出身・茨城県在住。2016エリート5ウィナー、2002JBⅡ霞ヶ浦A.O.Y.、1999ワールド第2戦北浦優勝。スポンサー:エバーグリーンインターナショナル、ゲーリーインターナショナル、モーリス、オフィスZ.P.I.、スワンズ、ウォーカーウォーカー、スキンズ。2017ゼッケンNo.5。*写真は今季第1戦遠賀川2日目。

関和学さん(以下関和)「周りが釣れていようがいまいが、大切なのは自分が釣ること」。

開幕戦で3位入賞の後、使用タックルを撮影すべく関和選手の元へ訪れると直接聞くことができたのが、この力強い言葉だった。試合3日間を通してリミットメイク0人・ノーフィッシュ続出の激タフ戦ながら、脇目を振らず強靭なメンタル。確実に1本1本を積み重ね、日を追うごとに順位を高めていったのが関和選手だ。

一語一語を噛み締めながら語る表情には迫力すら感じることができた。

関和「一時は『もう釣りができないぞ』と言われ絶望したことも…」。

一昨季2015第4戦桧原湖でのこと。初日を終え、ランチング時に起きてしまった不慮の事故。右足粉砕骨折。手術から入院、そしてリハビリ。およそ半年以上にも渡る「ドン底」の生活を味わった。

関和「気負うものは何もないんだなって。以前に比べ、釣り方やテクニックが変わったわけじゃない。何も変わっていない」。

2016年奇跡の復帰を果たした後、因縁の地・第4戦の桧原湖では4位入賞! 完全復調を印象付けた後、エリート5出場枠の年間5位をつかみ取り、つ・い・にビッグタイトルを制覇! 明けて今季は第1戦から3位、そしてJB霞ヶ浦第1戦で優勝と立て続けに表彰台上から降りることがない。

関和「去年から魚釣りが本当に、本当に楽しくなった。楽しくて、楽しくてしょうがない!」。

全ての根底にあるのはそこだ。関和選手にプリプラの模様を事細かに聞いたが、最後の最後にその言葉を聞き感動すら覚え全てが吹き飛んでしまった…。しかし、優勝ウェイトだけは聞いておこう。

関和「5・3・3の計11キロ」。

4選手のうち最も控えめな数字だが、他選手と同様にスタートダッシュが肝心と読んでいることだけは判明した。

タイトルレースを左右する第2戦の行方は?

開幕戦の九州に続く、第2戦山陽ラウンドはいよいよ明日6時半、弥栄湖レンタルボート前をメイン会場にスタート。帰着は14時半〜、ウェイインは15時から。

はたして初日にトーナメントリーダーとして首位に立つのはどの選手なのか。

当サイトでは明日、試合終了後に現地から速報をお届けする予定だ。

[続報]当記事作成後の5月28日に行われたJB生野銀山湖第2戦で、何と三原直之選手が初戦に引き続いて連覇を記録! これは期待せずにはいられない!

■トーナメント詳細はJBNBC公式サイトでご確認ください。

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