“艇王2017″琵琶湖生中継の裏側:バスプロ北大祐が見せた勝負師の選択とは?



北大祐の強さを間近に見た2日間

ルアーマガジンモバイルの現場配信企画の「艇王」。

今年の第2戦は、孤高のスタイルでデカバスを追い求める豪傑・奥田学さんと、名だたる国内タイトルを総なめにしてきた現役最強トーナメントアングラー・北大祐さんの戦いでした。

エリアはお互いのホームエリアである琵琶湖。結果的に2日間に渡ってデカバスの応酬となり、現場配信やライブ映像でご覧になっていたみなさんはかなり興奮したんじゃないでしょうか。

北さんは敗れてしまいましたが、2日目にはロクマルを見事釣り上げたほか、多くの見せ場を提供してくれました。

北さんにとって、琵琶湖での試合は久しぶりとのこと。ガイドフィッシングでやるエリアや釣りとはまったく異なってくるという。

実は今回のこの戦いに、僕は北大祐さんのボートにプレスとして乗船させていただいていました。

北大祐さんはJBトップ50でも常に成績上位の、現在最強のトーナメントアングラーのひとり。その強さのヒミツを垣間見れたような気がしました。

『釣りはメンタルのスポーツだ!』

たとえば、北さんは釣りするうえで常に“平常心”を意識していました。釣れなくても平常心、釣れても平常心。それが北さんの釣りに対するアティチュード(心構え)でした。

試合中には、

「釣りはメンタルのスポーツ。気の持ちようで釣れるようにも、釣れなくも、なる。

釣れているときほど謙虚に釣りをしなくちゃダメです。常にパターンは変わっていくんで。釣れているときも、その釣りがいつ釣れなくなるかわからないから、そのパターンを疑いながら釣りをしています」。

というコメントをしていました。

苦しい展開の中、生中継でロクマルをキャッチ!
ロクマルを手にした北さん。思わず感情が爆発します。

実際に、2日目にロクマルを釣ったあとバイトが遠のいてしまったのですが、「調子こきすぎた〜」とコメント。釣れているときほどそのパターンを信頼しすぎない、それが大事なんですね。

北さんは両日とも多くの時間をフリーリグの釣りに費やしましたが、同じリグでも狙っているエリアを毎投ごと微妙に変えながら、季節感の違う場所を探っていっていました。

「リグを変えるのではなく、場所を変える。釣りを変えるとリズムも変わるので」。

同じ釣りをしているように見えて、常にバスの場所や季節感を探りながら釣りをする。こういう釣り、簡単そうで難しいなと…。



2日目の帰着遅れの真相

試合は、初日奥田さんに約3キロも離されるという厳しい結果に。

そして、北さんは2日目終了時に帰着遅れとなり、マイナス1キロのペナルティとなってしまいました。

北さんは結果発表後のコメントでこのように答えています。

「結局、2日目は4本しか獲れなかったんですけど、時間が残り少なくなったタイミングで、このまま帰るということは、イコールその場で負けを受け入れることだと思いました。

ならば、最後の最後まで勝負したい、と思って。

もちろんダメなことで、JBでは帰着遅れは失格なんですけど、今回の艇王のレギュレーションでは5分の猶予があって。5分遅れてでも2キロを釣れば、というのが頭にありました。

ただ、結果的にそうなりましたが、本当はそれまでにもっともっとウェイトを重ねていないといけなかった。自分の力不足というか経験が足りないのを痛感しました」

帰着遅れは即失格のJBルールで日頃戦う北さんは、この戦いでも時間を常に気にしていて、休憩時間が始まるときも「あと何秒ですね」と、コチラが伝えるまでもなく秒単位で把握していました。

単純に帰着時間の計算を間違えた、というようなワケではなかったのです。

真の勝負師ならではの計算と選択

今回の艇王ルールは、5分の遅れにつきマイナス1キロ。それ以上はその日のウェイトは無効。

つまり、言い替えれば、スコアを1キロ引き替えにすると、5分間延長して釣りをすることが認められているのと同じことなんです。

この5分のあいだに1500グラムを釣れば、500グラムはウェイトに加算することができる。もし2キロを釣れば1キロ加算することができる。

2日目の中間発表のときに、北さんは頭の中で奥田さんのこのようにウェイトを計算していたことでしょう。

(相手の数字などはなるべく気にしないようにしてる、とは語ってはいましたが……)

2日目午後の中間発表の時点で、奥田さんは11700グラム。2日目の最大魚は2800グラムだったので、最低でもトータル14500グラムは持っていることになります。北さんは初日8470グラム、2日目が7340グラムで、この時点での合計が15810グラム。その差はおよそ1300グラム。

きっと北さんは、初日5尾揃えてきた奥田さんがこの日1尾で終わるはずがないと考えて、少しでもウェイトを伸ばしておきたい考えていたはず。

絶対にリミットを揃えて帰着したいという思いも強かった北さんは、帰着を間に合わせるよりも、5分延長してまでもリミットを揃えるチャンスを冷静に選択したのでした。

最終結果はこのとおり。奥田さんとのウェイト差は縮まることはありませんでした。奥田さん、強し

結果を振り返れば、合計ウェイトは大きくはなされ、帰着遅れによる1キロのマイナス。数字では大きな差がつきましたが、僕は北さんの勝負師としての選択をこの目で見て、むしろ誇りに思うくらい清々しい結果に思えました。

2日間、北さんの超本気の釣りを間近で見ることができて、かえ難い経験となりました。

この2日間の戦いの様子はルアーマガジンモバイルで現場配信の閲覧ができますし、今後DVD化されるとのことなので、そちらもよろしくお願いします!

【告知】歴代艇王タイトル獲得者が戦う「レジェンド艇王」が7月29日(土)30日(日)にAbemaTV独占生中継されます。金森隆志さん、木村建太さん、青木大介さん、川島勉さんの4名による真剣勝負。お見逃しなく‼

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