秋のサヨリにご用心[少年釣り師育成ものがたり|13話]



釣りを通して子どもを教育する「釣育」をテーマに掲げ、釣り初心者の編集者とその子どもが、体当たりで釣りに親しんでいくセルフレポート「少年釣り師育成ものがたり」。前回、サビキでイワシを釣り上げた親子が、今回は新たなるターゲット「サヨリ」に挑戦します。

レベルアップした親子の次なるターゲットは?

千葉の検見川の浜でのサビキのイワシ釣りから1か月、僕と息子はせっせと“釣練”に励んでおりました。

ターゲットはサヨリ。イワシ釣りの時に海面を泳いでいた、あの細長~い魚です。

検見川の浜の表層を漂っていたサヨリ。

最初は直感

イワシ釣りの数日後、僕は地元の釣具店にいました。
「検見川の浜でサヨリを釣りたいのですが」
店員さんに案内された仕掛け売場には、サヨリ用の仕掛けがズラリ。イマイチ違いがわからないので、僕は直感で2つの仕掛けを選び、買い物カゴに入れました。
仕掛けには、ウキと針のほかにプラスチックの弾丸のような、カゴというパーツがついています。中は空洞で、ここにコマセを入れるのだそうです。幸い、コマセはイワシ釣りの時のオキアミの予備が残っています。

サヨリの仕掛け。さまざまなバリエーションがある。

店員さんによると、白いものに反応する習性を持つサヨリのエサは、ハンペンがよいのだそう。ストローを貫通させて引き抜き、反対側から息を吹きこむと、ハンペンが円筒形にくりぬけます。これをそのまま針に通せば、サヨリのエサのできあがり。僕はその足でスーパーに向かいます。

検見川の浜・北側突堤にて

数日後の夕暮れ時、僕と息子は検見川の浜にやってきました。
検見川の浜には、南北に2本の突堤が突き出ています。前回のイワシ釣りは南側でやったので、今回は下見もかねて、北側の突堤で釣りをしてみることにしました。

北側の突堤はこんな感じ。遠くからではわからなかったけど、近くまで来てみると、かなりボロくて驚きます。

陸側の柵の状況はこんな感じ。鉄パイプとネットで応急処置が施されている箇所が広がっており、やや心もとない。

息子の手を引いて、突堤の先に向かいます。突堤の中ほどから先端にかけては、ちゃんと柵が残っている場所があって、ちょっと安心。僕らはそこに陣取って、釣りの準備を始めました。

今日もトラブル続出

ハンペンのエサ作りは、息子の担当です。僕が試しに1つ作って見せると大喜び。ノリノリでエサを量産してくれます。その様子を横目で見ながら、僕は堤防釣り用の格安竿にリールをセット。仕掛けを結んでいきます。実はこの竿、穂先が30センチほど破損していて、微妙なアタリを感知できません。いずれは買い換えたいものです。

息子が作ってくれたハンペンエサを、仕掛けの針に通します。ところがこれが、案外難しい。ストローの径が小さすぎたのでしょうか。ハンペンの身が裂けてしまい、針から外れてしまうのです。何度か試したところ、やや不安定ながら針につけることができました。

仕掛けのカゴにコマセを充填していきます。これも息子のお気に入りの作業です。カゴの開口部はやや狭く、コマセを詰めるのはひと苦労。でもそこは、気長に待つのがお約束。



レッツ、キャスト!

コマセの詰め込みが完了しました。いよいよキャスティングです。
気合いを入れて竿を振りかぶったところで、
「あっ!」
僕は大事なことを思い出しました。キャスティングのやり方を調べておくのを忘れていたのです。
とりあえず周囲の釣り人の様子を観察し、真似して投げてみます。最初は仕掛けが真下に落ちたり、すっぽ抜けたりして、なかなかうまく飛びません。そうこうしているうちに、あらら、またやっちゃった。ラインと仕掛けが絡んでしまいました。

日没が迫っています。壊れかけの竿をあきらめた僕は、急いで予備のトラウトロッド(マス釣り竿)をセッティング。何度かフォームの確認をすると、やがて仕掛けを真っすぐキャストできるようになってきました。

慌てる父にお構いなく、息子はコマセの「おだんご」作りに夢中です。できあがったら、それを海面に投げつけていきます。なんでも「おさかなたちをおどろかせる」のだそうです。きっと「おびき寄せる」という意味なのでしょう。でも、彼なりに一生懸命釣りを楽しもうとしていることが、よ~く伝わってきます。

海は夕焼け、魚はサヨリ

うまくキャスティングできました。仕掛けが気持ちよく飛んでいきます。着水地点からゆっくりリールを巻いていると、すとん、とウキが沈みます。そのまま巻いてみると、水面に波紋が広がってきました。どうやらアタリが来たようです。僕は息子に竿を手渡します。

「ゆっくりリールを巻いてみて」

こうして息子は、初めてサヨリを釣り上げました。サイズ的にはかなり小ぶり。でも、夕焼けに照らされて、とてもきれいな姿をしています。息子はとっても誇らしげ。

夕焼けの海で釣った初めてのサヨリ。サイズは20センチほどだった。

2尾目を狙ってキャストすると、ラインがちぎれ、仕掛けだけが海の彼方に飛んでいってしまいました。日暮れとともに、海の上は寒くなってきます。季節はもう、すっかり秋だね。

2尾目のサヨリはかくれんぼ

翌週も、その翌週も、僕らはせっせと海に通い、サヨリ釣りに精を出しました。ところが、

ポイントを変えてみたり…

人もまばらな台風一過の南側突堤。

エサを常連さんおすすめのアミエビや、人工エサに変えてみたり…

解凍したアミエビ。身が小さいうえに柔らかく、なかなか針にかからない。

リサイクルショップで買ったシーバスロッドを使ってみたり…

北側突堤の陸から30メートルほどの地点でシーバスロッドを試す息子。なお4度目のサヨリ釣りを行った2017年10月上旬時点では、安全面の理由からこれより先の沖側への通行が禁止されていた。

いろいろ試してみたものの、2尾目のサヨリはかかりませんでした。短期間で場数を踏んだことで、釣具の扱いはだいぶ慣れてきました。でも、釣り人たちからアドバイスをもらうたびに、釣り方を変えたのはよくなかったかな、と反省。

三度目のボウズの夜、息子がポツリとつぶやきました。

「ボク、つれなくって、つまらなかった…」

思わずハッとしました。

たび重なる不釣で自分たちの釣りを見失うなか、彼の小さな体は、今にもガッツを使い果たそうとしていたのです。

息子のモチベーションは下降気味…。次回の釣行は、いったいどうなることやら。

行き詰まった時には目先を変えることも大切。子育ても釣りも“遊び”の部分がポイントなのだ。

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