いよいよ4月6日(金)に迫ったJB最高峰トーナメント、2018年トップ50の開幕戦。今季は野村ダムを手始めに、北浦・七色ダム・桧原湖・霞ヶ浦と続き、南は愛媛県から北は福島県までの全5戦で、精鋭たち50人が日本一の座を目指し競い合う。昨季は青木大介選手が三度目のA.O.Y.(=年間優勝)を獲得したのは記憶に新しいが、今季ははたして誰の頭上に栄冠が輝くのだろうか。編集部が注目する4人の選手に、開幕直前インタビューを敢行した。
霞ヶ浦水系を知り尽くす地元選手の雄・篠塚亮
サマリーに記した通り、今季は全5戦中で2戦が霞ヶ浦水系で開催される。となれば、この地で力量を発揮する選手が有利になると見るのは必然だろう。
「地元で勝ちたい。リスクを負ってでも、勝ちに貪欲に。期待してほしい」
昨季は11年もの長きに渡り出場してきたトップ50からまさかの降格。しかし、わずか1年でJB霞ヶ浦シリーズから権利を獲得して最前線に復帰。再昇格の勢い、そして地元戦というアドバンテージ。A.O.Y.筆頭候補と見て間違いはない。
「2015年も霞ヶ浦水系戦が2戦あった。しかし、それ以外で成績が振るわず…」
かつての第2戦北浦、第5戦霞ヶ浦はいずれも第5位と見事に表彰台圏内を獲得。にもかかわらず他3戦中2戦での予選落ち(*上位30位内が決勝進出)が影響して年間成績は19位に留まった。
「ほぼ夏開催の桧原湖と相性が良くない。今季も9月初旬(*7日〜9日開催)で…」
2009年10月初旬、秋開催時には3日間の単日順位を2・1・1位という圧倒的スコアで完全勝利をはたした経験を持つ福島・桧原湖。誰もが彼の得意フィールドと認識する地だが、優勝以降の数年、意外にも上位に名を連ねていない。
「第4戦ともなれば、年間優勝争いが熾烈となる頃。今季はこの時期を克服することが自身の課題」
戦う姿勢を露わにプランを練り上げる。いざ初のA.O.Y.戴冠へと歩き始めた。
“ポスト青木大介”候補筆頭の弱冠22歳・藤田京弥
次に注目したいのは、今季初昇格の最若手・藤田京弥選手。弱冠22歳。昨季JB2ndカテゴリーとなるマスターズシリーズから権利を獲得。2016年のJBプロデビューからわずか3年目にして最高峰トップ50へというスピード昇格を遂げた期待の選手だ。
「初めて訪れるフィールドも多いですが…七色ダムと桧原湖の僕に注目してほしいです!」
今季どの試合に注目するかの問いに力強くこう答えた藤田選手。そう、クリアウォーターの2戦。山梨・河口湖をホームグラウンドに幾多の優勝経験を持つ彼が得意とするのはご想像の通り、サイトフィッシングだ。
「トップ50は予選2日間が15時までと長い。今までのように最初から決め撃ちする必要もなく、いろんなことを試す、探す時間が増えるので、今から本当に楽しみです!」
2日間の日程で行われるマスターズ戦は初日14時、2日目13時。その他多くの試合が13時までという競技時間。これが彼にとって新たな釣りの幅を広げることに繋げるのだという。
「野村ダムですか? もちろんプリプラで生涯初めて行きました。どこでも釣れました。ふだん河口湖がメインなので、楽園のように感じましたね、ハハハ」
開幕戦に向け上々の仕上がり。「試合になれば必ず変わる」ことも見据えた上で、実釣より地形の把握を重視した模様だ。
昨季のJB河口湖B第3戦を始め、NBCチャプター戦を含めれば8度の栄冠という実に見事な戦績。そのいずれもが河口湖での試合。その圧倒的な強さに「ポスト青木大介」との声も聞こえてくる。今季、藤田旋風を巻き起こすのか。注目してみたいところだ。
勝利への渇望に奮い立つ再昇格選手・小池貴幸
「本気でA.O.Y.を獲りたい! 今季はどうしても獲っておきたい理由がある」
闘志をたぎらせ開幕戦に乗り込むのが小池貴幸選手。篠塚選手と同じくトップ50での優勝経験を持つ実力派で、昨季降格の憂き目に会うも1年で再昇格を果たした。選手の誰もが頂点を狙うのは言うまでもないが、なぜ今季に関してより強い思いを抱くのか。彼らしい熱量でこう続けた。
「青木大介という選手を倒す、ラストチャンスの年になる」
各メディア既報の通り、青木選手は今季を最後にトップ50シリーズから離れ、活躍の舞台を米国B.A.S.S.へと移す。同じ土俵で戦うことができるのはこの一年しか残されていない。そこに小池選手は強いこだわりを見せたのだ。
「公私ともにお世話になってきたゲーリーファミリーの先輩。本気で戦って、年間優勝を争って『僕が勝って』送り出したい」
高くそびえる壁を乗り越えなければ次のステージは見えてこない。当たり負けしない自身を仕上げるべく、小池選手は恐れることなく前を向きこう宣言。厚みを増す選手層の中で、ひときわ輝く存在と言えそうだ。
トップ50ラストイヤーを迎え、なお牙を剥く暫定王者・青木大介
「そう簡単には倒せませんよ。『かかってこいや!』ですよ(ニヤリ)」
あたかもヒール役を買って出るかのようなビッグマウス発言を聞くのも今季が最後。青木大介選手は来季渡米への準備を着々と進めながら、国内最高峰参戦のラストイヤーを迎える。「〜ながら」という今季の参戦姿勢をネガティブに捉えるなかれ。狙うは常に頂点であることは不変だ。
「本格的な渡米準備はシーズン終了後。トップ50に全力を注ぐことに変わりはない。最高峰戦に出場を続けることで試合勘を維持しつつ、まだまだスキルアップしていきたい」
史上首位タイとなる三度のA.O.Y.を獲得してもなお決定力の向上を目論む暫定王者。日本のエース格は停滞を良しとせず、常に何かを吸収してさらなる高みを目指す。
「ここ数年、開幕戦からのスタートダッシュができていなかった。去年の遠賀川は20位? かな? もっと好順位で始めていれば、中盤戦で(A.O.Y.の)決着がついていたんですけどね、フフ」
昨季は勝つことを前提に戦ってきたとも汲める、彼らしい発言だ。
勝てば賞賛、負ければバッシング——常に厳しい眼が向けられる最高峰戦の舞台において、結果を出し続けてきた男の説得力がそこにある。
ラストイヤーをどう魅せるのか。それとも、その暴走を誰が止めるのか。明日始まるトップ50開幕戦から見逃せそうにない。
〈大会詳細はJB/NBC公式サイト・NBCNEWSで ↓〉