「釣れる魚はなんでも釣る。釣れない魚はなんとかして釣る」をモットーに、魚を求めて東西南北どこへでも行きまくる道具道楽アングラー”やまけん”氏が、満を持して[ルアマガ+]に出没! “無節操に”釣りまくる連載『釣りに行ってもいい?』を引っさげてやって来た! 記念すべき第1回は、伝統的でありながら実は簡単によく釣れる「テンカラ」のイロハについてレポートする。
はじめまして。無節操アングラー”やまけん”です!
『ルアマガ+』をご覧の皆様はじめまして!「釣れる魚はなんでも釣る。釣れない魚はなんとかして釣る」をモットーに、魚種・釣種まったく関係なく日々釣りのことばっかり考えている男”やまけん”であります。
そんな僕の魚種・釣種を問わない、なんなら道具紹介オンリーもアリな”無節操”連載を始めることになりました。皆様もぜひ無節操にお付き合いいただければと思います。
簡単とにかくよく釣れる「テンカラ♪」
さて、記念すべき連載1回目は、日本の毛鉤釣り「テンカラ」をご紹介します。
主にトラウトをターゲットにした毛鉤釣りとして、日本で独自の発展を遂げたテンカラ。専用の延べ竿+ライン+毛鉤という驚くほどシンプルなタックル構成でありながら、とにかく”釣れる”という実に不思議な釣りです。複雑になりがちな近年の釣りにおいて、これほど簡単に、しかも”渓流魚”に出会える釣りは他にはない!と断言しちゃいます。
テンカラは、渓流の魚が主に捕食している”虫”をイミテートした”毛鉤”を使う疑似餌釣りなのですが、不思議なことに非常にスレにくく、しかも水面近くまで警戒心の強い魚をおびき出して毛鉤に食い付かせる、誘引力に優れた”よく釣れる”釣法です。
テンカラはいたってシンプル!
さて、テンカラのタックル構成ですが、今回は渓流(30㎝くらいまでのヤマメや、イワナ、やや大きめなニジマスがターゲット)想定でご紹介します。
・ロッド(3m〜4m程度の専用ロッド)
・メインライン(ロッドと同程度の長さの専用ライン)
・リーダー(ターゲットに合わせた太さのリーダー)
・疑似餌(逆さ毛鉤)
…という非常にシンプルなものです。
ロッド選び:慣れないうちは短め軽めが◯
まずはロッド。専用のテンカラロッドが数千円〜10万円近くまで、竹の和竿だとその遥か上までとあるのですが、お好みとお財布都合で選べばよいと思います。
最初は3m前半の軽いものをチョイスするのがお勧めです。もちろん長さ=探れる範囲となりますから、より長い方が実釣ではより広く毛鉤を届けることができるのですが、4mに近づいてくると持ち重りがしてしまい、何度も毛鉤を振り込む釣りの特性上、非常に疲れます。特に振り慣れないうちは、短く軽いロッドの方がオススメです。
なお、ロッドによっては「レベルライン用」「テーパーライン用」と書かれている場合があります。これについては後述します。
ライン選び:テーパーラインの方が投げやすい
ラインは「レベルライン」「テーパーライン(シューティングライン)」と大きく2種類に分けられます。
「レベルライン」とは、そのまんま普通の”糸”です。太さが一定で、ロールで購入してカットして使えて長さの自由度が高いことが特徴です(値段も安い)。ただ、後述するテーパーラインに比べて投げるのがやや難しいかもしれません。「レベルライン専用」と謳われているロッドは、この”投げにくい”というデメリットを打ち消すように投げやすく作られています。
もう一方の「テーパーライン」は、ライン自体にテーパー(先細り形状)が付いていて、投げやすく設計してあります。ロッドやリーダーとの接続がしやすいものも販売されているので、最初はこちらを選ぶのがオススメ。長さとしては、ロッドと同じか、やや長いものをチョイスすると扱いやすいです(ロッド前後10㎝〜20㎝以内が目安)。長すぎるもの、短すぎるものは最初は避けておいた方がよいでしょう。
テーパーラインは投げやすく、接続部分もあって非常に使いやすいのですが、ロールで買って小分けにできるレベルラインよりもコスト面で割高なのと、シビアな局面ではやや魚を警戒させてしまう恐れもある存在感の大きさがデメリットではあります。とは言え、テンカラ自体が常にスレにくい釣りなので、あまり気にせず最初は専用のテーパーラインをチョイスすることをオススメします。
リーダー選び:ルアーフィッシングより細めをチョイス
通常は、メインのラインに張る「ショックリーダー」はその名の通りショックを吸収するためのものなのですが、テンカラの場合はそれよりも「太いラインで魚に違和感を与えない」という目的の方が大きくなります。ここでは「リーダー」と呼んでいますが、テンカラ的には「ハリス」、フライフィッシングで言うと「ティペット」の役割というわけです。
毛鉤や狙う魚のサイズによって太さや材質を変えて使うので、何をチョイスしたらいいかがやや難しいところなのですが、ルアーフィッシング経験者が[釣りPLUS]読者の方には多いとのことなので、ルアー準拠で解説すると”やや細めを選ぶ”という感じになります。
材質のオススメはフロロカーボン。ルアー用のリーダーや普通にロールで販売されている糸で十分ですが、透明なものを選んでください。
渓流でのテンカラであれば、3lbくらいを中心に魚のサイズに合わせて。号数表記だと0.8号前後、フライのティペットを使った場合は5X前後という感じになります。これはテンカラとしては太めの設定で、もっと細くても十分取り込むことが可能です。
ちなみに、ロッドが大きくしなり細いラインでも勝負が可能なのが、延べ竿を使った釣りの面白いところだったりするので、もう一段階細いセッティングもアリかと思います。
毛鉤はお好みで!十人十色でテンカラ〜(・ω・)
毛鉤はどんなものでもOK。市販のテンカラ毛鉤をお好みで。すぐに自分で巻きたくなるので、オリジナル毛鉤をどんどん巻いて楽しむのもアリです。
僕はフライのタイイング(フライを自作すること)もするのですが、そっち方向からアプローチしてドライフライ形状(水に浮くタイプ)のものや、ミッジのような小さいものまで様々なフライを巻いてみたりしたのですが、結局は普通に「逆さ毛鉤」と呼ばれる伝統の形状に落ち着きました。
逆さ毛鉤は、表層を流してもヨシ、中層を流してもヨシ、流れの中で動かしてもヨシの万能毛鉤。個人的には動かす釣りが好きなので、胴が平打ちしてあるフックを使い水中で輝くようにしています。
カラーや種類については「なんでも好きなものを」と思っているのですが、サイズについてはやや気にしています。入渓したポイントでどんな虫が流れているかをチェックして、毛鉤のサイズを変えるのが効果的なので、お好みの毛鉤をサイズ違いで持っていくと良いかと思います。
ちなみに大きな負荷がかかることがほとんどない釣りなので、結び方はフィッシング向きであればなんでもいいです。
ロッド先端のリリアンとのメインラインの接続は「無精付け」。
ラインとリーダーは、ループがあれば「クリンチノット」、なければ「電車結び」。
リーダーと毛鉤は「クリンチノット」という感じで結んでいます。
各ノットの結び方は検索するとすぐ出てきますので、ここでは割愛します(笑)
キャスティング:流す、誘う、色々なやり口。
タックルがセットできたら、次はキャストです。ラインをムチのようにしならせて毛鉤を運ぶのはフライと同様ですが、テンカラの場合はそれほどキャストに気を遣わなくて良いかと。
ロッドを12時の位置まで持ち上げて、2時の位置まで振り下ろします。12時に持ち上げる時にラインを後ろに飛ばすのではなく上に跳ね上げて、2時の位置で落っことすイメージを持つとキャストがうまくいくと思います。
こればっかりは身体で覚えるしかありませんが、水面をラインで叩いてしまったり、ラインが少しまとまって水面に落ちてしまったり…、フライフィッシング的にはNGなことが結構起こりますが、テンカラではまったく気にしなくていいです。もちろん毛鉤からひたっと美しく水面に着水する方がイイのはイイんですが、正直言って相当シビアーーーーな時以外は関係ないかと。バッシャバッシャ投げては流し、投げては流し、を繰り返してください。
毛鉤はあまり長時間流さず、5〜10秒以内ですぐに打ち返すというのがコツです。”流す”以外にも”誘う”というテもありですので、このあたりは下の動画をご覧くださいませ。
シンプルイズベストな「テンカラ」をお試しあれ!
…というわけで、シンプルな仕掛けで良く釣れる「テンカラ」をぜひともお試しあれ!
ちなみに僕が渓流ルアーフィッシングに出向く時は、サブウェポンとして常にパックロッドを差し、テンカラ用の仕掛けを忍ばせております。虫を意識して水面にバシャバシャとライズしている時、ルアーで釣れない魚をバシバシ掛けられるので、とってもオススメの組み合わせですよ!
そんなこんなで始まりましたこの連載「無節操アングラーやまけんの『釣りに行ってもいい?』」、
毎回”無節操な”内容をお届けする予定ですので、今後ともよろしくお願いいたします。