キスの刺身は”炙(あぶ)り”で食すべし【淡泊な魚の旨味を引き出すコツ|釣り師のレシピ】




初夏というか「もう夏かよ!」という日差し。キス釣りのシーズンがやって来た。キスの美味しい食べ方としてまず思い浮かぶのが「天ぷら」。確かに淡泊な白身には熱を加えて旨味を活性化した方が美味しい。でも待てよ!? であれば刺身でも熱を加えて旨味を引き出す方法があるんじゃないのか??……今回はキスの刺し身に施す調理法”炙(あぶ)り”について紹介する。

皮に熱を加えることで、キス刺身の旨味がグンとアップ!!

冒頭にも書いた通り、確かにキスの味は淡泊で、刺身だとちょっと物足りない。その最大の原因は何かというと、刺身の舌触りを良くするために皮を引いてしまうから。この時に皮と身の間にある脂も一緒に取れてしまうため、物足りない風味になってしまうのです。

これからが旬真っ盛り。ピカピカのキスが手に入りました!!

そこでやるのが、皮目に「熱を加える」というひと手間です。方法は二つ、熱湯で「湯引き」にして湯霜づくりにするか、皮目を「炙(あぶ)る」こと。熱が加わることで皮が柔らかくなり、脂と身の旨味も活性化されるわけです。

湯引きは以前紹介したので、今回は「炙り」をご紹介します。

まずは三枚おろしに

今回は、新鮮なイシモチ(左)も手に入ったので一緒に料理します
ウロコをとって、頭を落としワタをとり、三枚におろします。どうです、この皮の光沢と身の透明感!
腹骨をそぎとりましょう。

熱が入りすぎないよう、強火でサッと炙る!!

皮目を下にして網に並べます。炙ったあとすぐに氷水にさらして、身に熱が入りすぎないようにします。ガスバーナーを持っている人は、皮目を上にしてサッと炙ってください。

カツオのタタキの場合、身も大きく厚みがあるので、氷水にとらず、ほんのり温かいうちに食べても美味しいのですが、キスは身が薄く小さいので、氷水ですぐに熱をとります。

強火でサッと炙ります。チリチリと音がすると皮が炙られている証拠。この音がしないと火から離れすぎ。いつまでも炙られず、熱のみが全体に入っていってしまい、これでは生焼け状態になってしまいます。

炙ると香ばしさも加わるよ


炙るのも冷ますのもスピードが命

サッと炙ったら、熱が中まで入らないようすぐに氷水にとって冷ます。冷ますのもサッとやること。いつまでも水に漬けていると旨味が流れ出てしまいます。すぐにペーパータオルや布巾で水気を拭き取ること。

ちょっと炙りが足りなかったか。でも皮目が白くなって、火が入ってるのがわかります。
盛り付け。初夏っぽく、ツマは大根ではなくキュウリにして涼やかにしてみました。

この日の献立の品数が必要以上に多すぎる理由(>_<)

…というワケで、キスとイシモチの刺身が完成。この日の御膳はこちら ↓

(左上から)キスとイシモチの刺し身、鳥肉と長ネギの照り煮(油をひかず皮目から焼いて、皮の脂でネギを焼いたら、余分な脂をふき取って照りっと煮る)、長芋のスライス・ワサビ醤油、魚肉ソーセージサラダ(ピーラーで薄切りにした魚ソをトースターでカリっと焼いたやつ)、アスパラとニンジンの白和え。写真では見えないが、もちろん定番のアラ汁も。キスとイシモチの上品な味がとてもGOOD。

おやおや、ずいぶんとオカズが多いじゃないかと思われる方もいるのでは…?

実はこの日、初の”おひとり様”船釣りデビューでして…。

釣行記も含めハデな記事にしてやろうと意気込んでいたのですが、まぁ釣果が渋くてというか、腕が未熟というか…。上のまな板に乗っていたキス2匹+イシモチ1匹が全釣果という体たらくorz

夕餉がそれだけでは家人にまったく面目が立たず、せめてオカズをたんまりこしらえたという次第…。いつもより文章の調子がおとなしいのもご理解いただけるかと。

これに懲りず、キス尽くしができるよう、近々リヴェンジしたいと思います。

一人で行って、釣れないとホント孤独を感じますね。自分の弱さと向き合うイイ機会でした。

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