次世代アングラー発掘企画:ウエッピング王子”狩野陽”の野池サバイバル!【勝手に特命釣行PLUS#04】



次世代アングラー発掘と、ルアマガ編集部フルカワの辛口コメントが意外と人気の「勝手に特命釣行PLUS」。山本訓弘氏・馬場拓也氏・植盛幹太氏に続き、今回はメガバス・フィールドスタッフの狩野陽氏に勝手に特命してみた。その実力はいかに!?

今回の特命はハードル高いよ?

みなさん、こんばんにちは。
良いモノはいいと言い、悪いものには黙秘権。
どーも、辛口コメンテーターのフルカワです。

「勝手に特命釣行」も4回目! 前回はカスミを飛び出し岡山へ出張しましたが、今回は静岡まで行ってまいりました!!

前回のカンタくんがハンパなかったから、今回はハードル高いよね~(あ、過去の勝手に特命を見てない人はぜひ見てね ↓)

すべてがやさしい、バファリン系アングラー!

狩野陽(かのう・あきら)32歳。静岡県出身、メガバスフィールドスタッフ。少年時代からメガバスルアーを愛し、2015年ヒューガフィールドモニターに応募。見事、モニターに選出されたのち、現在はメガバスフィールドスタッフへと昇格。静岡界隈の野池を中心に、様々なフィールドへ繰り出す。本職は福祉関係で、やさしさの塊のような人柄。釣りもすべてがやさしい。その詳細は後ほど。

4月24日(火)。ホームの静岡野池で特命にチャレンジ!

日の出から釣りを始めるために4時半にホテルを出発し、現場へ。

もちろん、朝飯は移動中の車内でしたw なんか最近こういうの増えたけど、誰の影響かしら・・・(スタッフ殺しやでホンマw)

そして、最初の野池に着き、クルマから降りると狩野さんは照れくさそうにこう言いました。

狩野「準備運動してもいいですか///?」

半ば嫌な予感しかしなかったけど、断るわけにもいかないのでここはどうぞ、どうぞ!

あまりにもしーーっかり準備運動してるので、また嫌な予感が…。恐る恐る「走りますか・・・?」と聞くと、

狩野「いや! 全然走らないです! ちょっとぬかるんだところや傾斜が厳しい所に行くくらいです」

なら問題なし! 早速お題をお渡ししましょう!!

狩野「えっ・・・、何このお題・・・(汗)」

まぁまぁ、前回カンタくんが選ばなかった方のお題が5尾7キロだったので、継続してこちらを・・・

って、あれぇえええっ!?

異なるルアー及びリグで釣獲した魚の合計5尾7キロ」

しまった・・・。「今回の釣行で釣獲した魚の合計5尾7キロ」にするはずが、2016年12月号ルアマガの川村光大郎さんが挑戦した「特命釣行R」のテンプレがそのまま生きてるじゃないか・・・・。

狩野「違うルアーで5尾、しかも7キロ・・・。がんばります・・・」

言えない、テンプレが生きてたなんて、ボクちん言えないよぉっ!!

気のせいか、狩野さんの手がプルプル震えている気がする・・・。もしかして怒ってる?

狩野「実は・・・取材って初めてなんでめちゃくちゃ緊張してます」

ホッ・・・、そういうことだったのね。

…ということで、堰堤周辺をシャッディングXで探り、カバーが生い茂る池の林道へ。ココからどうアプローチするんですの?

狩野「垂直アプローチです。結構レイダウンが沈んていたりするんで、表層からボトムまで静かに誘いを掛けます」

斜面に座り込んでマッシュルームヘッド+ボトルシュリンプ4インチを静かに、ていねいに落とし込んでいく。

すると、
狩野「食いました!」

どうやってランディングするんだろうと思っていたのもつかの間、竿を立てかけネットを持って斜面を駆け降りる狩野さん!

狩野「よっしゃ! 獲れた!!」

時刻はちょうど、6時ジャスト! 1本目からいきなり、45センチ1250グラムのナイスサイズ!!

…と喜びもつかの間、(フルカワの凡ミスにより)同じルアーで釣獲した魚は1尾までしかカウントされないという暗黒ルールが発動。

狩野「この場合ジグを違うのに変えるか、同じリグでこれより大きい魚を釣らないといけないんですよね? じゃあ、移動します!」

まだまだカバーのストレッチが続くにもかかわらず、あっさり移動を決意した狩野さん。何か策があるというのか!?

2つ目の池へ移動! TKツイスター炸裂!!

二つめの池へ移動した狩野さん。ゴージャスな崩落にTKツイスターをアプローチ。

狩野「最近崩れた崩落なんですけど、全然バスがつかないんですよね。本命はこの隣です」

そう言うと、キャストもままならない全面オーバーハングのピンスポットへ。気が付くと、狩野さんがバスを持ってオーバーハングから出てきました!

2尾目は35センチ590グラム!

狩野「サイズは伸びませんでしたが、狙い通りですね。立場が狭いのに奥行きがあるスポットなので、キャストが届かない分をバックスライドでカバーしました!」

なるほど! それでTKツイスターをあらかじめリグっておいたというわけですな!

狩野「このスポットはまだ出そうな感じあるんで、入れ替えるつもりで引き続きTKでアプローチしますね!」

その次の一投でまさかのヒット!!

狩野「さっきよりは大きいですね!」

狙い通りのサイズアップ!! 37センチ730グラム!

狩野「たぶんいまの時間帯はこのサイズがこのスポットに入り込んでる感じがするので、また夕方来れたら来ます!」

結果、このワンスポットだけ撃って2尾を釣り、即移動。他にもよさげなところがあるのになぜ?

狩野「時期と状況を照らし合わせると、野池って湖や川と違って食わせられるスポットが限られてくるんですよ。ただ釣るだけなら、色々やりようがあるんですが、今回のお題はルアーも限られるし、デカい魚を狙う必要があるんで、野池を転々として良いスポットだけを撃って行った方が逆に効率が良いと思うんです」

知り尽くしているロコだからこそ、サイズとお題を考慮した戦略というわけですか。果たしてそれが上手くハマるのかはわからないが、確かに現状ではどの野池も来てすぐ釣っておる! ココからの展開に期待ぢゃぁ~!

ここでお車拝見! キッチリ整理整頓されたトランク!

ちょっと移動の前に、狩野さんのトランクを拝見! キッチリ整理整頓されておりますな~。

狩野「ここから現場に合わせて、オカッパリボックスにピックアップする感じです。でっかいボックスにひとまとめしてもいいんですが、こっちの方がサッと取り出せるのでこの方式を採用してます!」

野池を転々とし、気が付けば昼・・・厳しくなってきたぞ

幸先の良いスタートを切ったものの、日が高くなるにつれ状況は厳しくなってきた模様。野池を転々するも、それらしい反応はない。

ガサゴソとクルマからノートを取り出し、読みふける狩野さん。それは一体!?

狩野「恥ずかしながら、バス釣りをやればやるほど自分の甘さがどんどん見えてきて、忘れないようにするためにノートに記しています。今読んでいるページはこの日の特命に備えて、あらゆる状況に合わせたエリアのチョイスやアプローチ、ルアーなどをあらかじめ書いておきました。緊張したり、焦ったりして正常な判断が出来なくなっても、これを見ることで我に返ることが出来るかなと思って」

用意周到! キメが細かい! そして、何よりこの日のためにどれだけ意気込んでいたかがわかります! なんて真面目な人なんや~!!

ノートにザッと目を通し、何か閃いた様子の狩野さん。

狩野「すいません、移動しながらの昼食でもいいですか?」

と、コンビニに立ち寄りおにぎり片手に次の現場へGO!(移動メシには慣れっこですから自分・・・・)



閃いた野池で手を変え品を変え、ナイスワン!

昼イチは新たな小規模野池へやってきた狩野さん。

狩野「狙いはこのオーバーハング下だけです」

そう言って、スパークシャッド、ヘッジホッグジグを華麗なスキッピングで入れ込んでいく。

ちなみに狩野さんのベイトリールのブレーキは極めて緩めで、フルカワが投げるとバックラッシュする。なんで、こんなに緩いのよっ!!

狩野「ブレーキそんなに緩いですか? 確かに僕がメガバス好きになった理由が、金森隆志さんの影響だったりもするんで、ノーブレーキキャストに憧れた影響もあるかもしれませんね!」

オーバーハング下でバイトがあったので、オーバーハングの裏に回ると見えバスが! ジグ、スモラバ、ネコリグ、ノーシンカー、ポップXと手を変え品を変え、アプローチ。

ちなみに、狩野さんは基本タックルは2本くらいしか持ち歩かない(ボックスにもそのタックルで扱うルアーしか入れない)ため、この間クルマまで2回ほど往復し、専用のタックルを取りに戻っている。

狩野「機動力重視の装備が仇になってますね。何度も車に戻ってすいません!」

スモラバのちょうちんでキスバイトがあったが、その後は反応するのみ。そこで狩野さんが最終手段で入れたのは、なんとワンテン!?

狩野「手こずってすいません! でも何とか獲りました! 水面と言うよりは水面直下の反応が良かったので、水面直下でも誘えて止められるジャークベイトを選びました。そしたら、最初のジャークで寄ってきて、ポーズ中に興味が逸れる寸前にジャークしたら一発でしたね!」

周りがカバーだらけの狭いスポットでまさかのジャークベイトとは思いもしなかったが、苦戦の末42センチ1220グラムのナイスフィッシュを追加!

続いての池ではまさかのIジャックカバー撃ち!?

時間的にも回れてあと2か所というところか? そんな状況下で狩野さんがセレクトした野池は超クリア野池。ここはフィネス戦になりそうだなぁと思っていたが、狩野さんが持ったタックルは1本。しかもルアーはIジャック!?

狩野「これのカバー撃ちが結構釣れるんですよ?」

へ~、そうなんだ~・・・って、カバー撃ちぃぃっ?

こやつ・・・、本気で撃ち込みやがった・・・。

お分かりいただけただろうか?

カバーに撃ち込んで一点シェイクをかましているでござんす・・・。なくなって泣いても知らんぞ・・・・。

狩野「これがそんなにスタックしないんですよ。撃ち込む時はルアーの重量もあるんで意外と突き抜けてくれるし、回収はリップが意外と躱してくれる。しかもちょうちんの一点で誘ってもIジャックのヒッティングウエイトがカチカチ音を立ててくれるんで、バスが威嚇バイトしてくるんです!」

確かにジーッと見てると、バスがわらわらと寄ってくる寄ってくる!

狩野「疑ってますね。活性がそんなに高くないのかも。ちょっとジグに変えます」

サバイバルジグ+ボトルシュリンプにチェンジした狩野さん。ちょうちんで誘いを掛けると一撃で水面が炸裂ゥぅゥッ!!

こりゃまた、ランディングどうするのよ?パターンですよ、お兄さん。

狩野「大丈夫です!」

まさか・・・またあれを・・

やってるぅぅぅっ!!
(本日2度目の置き竿ランディング)

37センチ660グラム!

狩野「よし、リミットメイク!!」
フルカワ「いえ、違います」
狩野「え、5本目ですよ?」
フルカワ「うち、2本はTKツイスターなのでデカい方しかカウントしません」
狩野「あっ・・・・(半泣)」

ラストスパートがエグイ・・・。名付けるなら「崖の上のカノゥ」

なんとしてもリミットを揃えたい狩野さん。ラストは起伏の激しい林道沿いにある野池。

角度85度くらいの傾斜をよじ登り、

つるや木が生い茂る斜めバンクを軽快に突き進む。カメラを抱えてはキツイよ~狩野さぁん。
(※フルカワの体力がなさすぎるだけなのに、カメラのせいにしているのである)

そして、ゲリラ豪雨が降りしきる中タイムアウト

4尾トータルでウエイトは3860グラム!(TKツイスターの1尾目590グラムをカウントせず)

狩野「最後までありがとうございました。うわ~ホントに悔しい!これが取材なんですね・・・。7キロは確かに厳しいんですけど、これが今の自分の実力だというのを真摯に受け止めて精進します!」

フルカワ的辛口総合評価

さてさて、おきまりの辛口評価ですが・・・、

総合評価「C」

基本的にピンスポット撃ちが多く、それで結果を出しているのでことホームの静岡野池のみなら評価はもう少し高く付けられるのですが、まだまだ伸びしろもあるということを踏まえ、のちに全国的に釣りの場を広げるとするならば・・・ということで厳しめにつけさせてもらいました。

ただ、個人的に一日通して釣りを見て思ったのが、むしろこれから積極的に全国のメジャーフィールドに繰り出してほしいと思いました。

というのも、冒頭に「すべてがやさしいアングラー」と書いた通り、アプローチ~誘いのすべてがやさしい。撮影したデータを振り返るとアプローチの7割がこんな感じでした↓

一見、バンクからの垂直アプローチに見えますが、基本的に岸際の何かに糸を持たれさせて水面にルアーを落としていく、いわばラインの存在を消すアプローチ。これは、バンクを使った一種の「ウエッピング」。この極めて優しいアプローチを狩野さんは意識せず、自然にやっているというから逆に驚きなんだが、極度にタフ化した霞ケ浦水系の流入河川等では極めて有効なテクニックになるんじゃないかなと。そういう意味でもメジャーレイクで腕試ししてほしいと思いました。むしろ野池でここまでのアプローチが自然と身に付くのだから、これが全国に出たらまた優しい技が生まれるんじゃないか?という期待の方が大きいです。

今現在の評価は厳しめですが、今後の伸びしろでいえば、過去最高クラスに高いと感じたので今後要注目ですね!

取材終了後、静岡名物「さわやか」で・・・

TOP50プロ・黒田健史さんと合流。狩野さんと交流が深く、師匠的存在。前日は狩野さんと長良川で釣りをしていたそうで、相変わらず手厳しい発言をしておりましたw

黒田「コイツの釣りどうでした? 狩野、昨日長良川で釣りしてる時から緊張しててヤバかったんですよw」
狩野「・・・恥ずかしいです」
黒田「正直に言うと、狩野は全然上手くないですよ。バスプロもメディアプロもうまいのは当たり前。だから、その面でいえばまだまだダメ」
狩野「はい・・・」
黒田「でもちゃんとそれを理解してるし、釣りが上手くなりたいっていうハートはすごく持ってる。変にカッコつけたりとか、そういうのは一切なくて、釣りに対してすごく真面目。だからまだまだこれから成長すると思うし、伸びしろはあると思いますよ」
狩野「いや、ホント黒田さんの言う通りでまだまだ修行が足りなかったです。後ろでカメラのシャッター音がするのってホントに緊張しました」
黒田「良い経験だと思うよ。そういえば、最近俺も後ろでシャッター音が聞こえるような釣りしてないな~。ねぇ、フルカワさん!」
フルカワ「何かネタをください」
黒田「ごにょごにょ・・・」
フルカワ「それ、やりましょう!!!」

近くにトップ50のこんな先輩がいるなんて、なかなか期待できるんじゃありません!? 特に黒田さんは釣りも人間性もいい意味で尖っているんで、その鋭さをぜひぜひ吸収していただきたいなと!

今後も楽しみにしておりますよ~~!

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