バラのリールパーツから組み上げる”カスタムアンバサダー”の楽しみ方〈前編〉【販売部イマムラ自腹レポ|釣り人的DIY】



ライギョ釣りにおいて、ABUリール「アンバサダー」を好んで使う人たちがいる。特に40年以上前の「オールドアブ」と呼ばれるリールにこだわる人が多い。シンプルながらそのスタイリッシュなフォルムは、オトナの心を奪ってしまう。100台単位のコレクターも多い。内部のパーツについては、現代のリールよりもシンプルかつパーツも少ないため、自分でオーバーホールする人もいる。復刻モデルや当時のそのままのつくりで作られた「サイモンシモムラアンバサダー」などもあったり。最近では、それらのパーツを組み合わせ、一個のリールを作り上げて楽しむ人も増えてきた。販売部”ライギョマン”イマムラより、自腹で集めたパーツを元にリールを組み上げてみたレポートをお届けする。

意外と多い?リールを作る為にイマムラが集めたパーツはこちら!

…とは言うものの、いくらパーツが少ないとはいえ、究極の不器用であるイマムラが一人で組めるはずもなく。

なので今回は、関東の老舗「プロショップ藤岡」のABU博士・山中先生に泣きついたのである。

プロショップ藤岡オーナー・山中康嗣氏:自身もライギョ釣りをこよなく愛し、定休日はほぼ毎週釣りに行くほど。アンバサダーのリールについて知らないことはない。というレベル。国内屈指のアブコレクターでもある。千葉県在住。

メインとなるフレームは通称”赤ベロ”と呼ばれる赤いサムバータイプ。なんとこちら、”スタウトフレーム”と呼ばれる強化タイプ。希少な一品。

カップはティールグリーンのベロ(サムバー)仕様。

ハンドルはストーンヘッドの90mm、ギアとドライブシャフトもストーンヘッド。

その他のパーツはパーツリストを参考にノーマルパーツで集めました。

ここで、問題がいくつか、、、

①ピニオンギアを忘れた。
②足りないパーツがある。
③いらないパーツもある。

①:なんとせっかく、ストーンヘッドのギアを持ち込んだのに、まさかのピニオンギアを忘れるという大失態。仕方なく純正ギアで組むことになりました。

②:足りないパーツはこちら(ギアはピニオンを忘れたのでw)
③:いらないパーツはこちら。

コレで準備は完了。さあ組もう!…と思いきや

山中氏:パーツはそろったけど、組むのはまだ。まずはパーツの洗浄からです。

イマムラ:一人で組んでたらそのまま組んでましたねw

山中氏:・・・。

アルミ容器に洗浄するパーツを入れ、パーツクリーナーを吹きかけます。

ここでワンポイントアドバイス。パーツクリーナーを使用する際は、ベロに付着すると点状に白化してしまう恐れがあるので、ベロフレームは避難させましょう。

しつこい汚れは歯ブラシで落とします。

すると、こんなにきれいになりました。
え?左が汚すぎる?

山中氏:続いては仮組みです。寄せ集めたパーツなので、しっかり組めるように調整します。

カップがスムーズに入らないので、ピラーの角度を調整します。

ビスが最後まで入らないのでねじ切りをして、ねじ山を整えます。

バリを取ります。こんなに鉄粉が落ちました。



コレで下準備は完了。まずは組むパーツのグリスアップ。

山中氏:ひと口にグリスアップと言っても、グリスをさすところ。オイルをさすところ。固いグリス柔らかいグリス…使い分けも大事です。もちろん飛距離にも影響します。

まずはブレーキプレートから。

赤丸がグリスをさすところ。つまりは可動部。ピニオンヨークの裏側、プレートに接触する筒状のところにも差します。当たり前ですがクラッチを切ってプレートとパーツの間にも塗り込みます。

爪楊枝を使って狭い所に入れ込んでいきます。

続いてドライブシャフトにギアを組みます。細かいパーツはパーツリストを参考にしましょう。

次はギアにグリスを塗っていきます。ピニオンギアにも同様に塗り込みます。

ちなみに、グリスは固めがお勧め。軟らかいとドラグワッシャーに廻りドラグが滑ります。ライギョ釣りにおいては致命的です。

爪楊枝を使い丁寧に塗り込みます。

ドライブシャフトポストに固めのオイルをさします。

今回はハネダクラフトさんのヘビーを使用しました。

ブレーキプレートにギアを組み込みます。

お次は、と行きたいところなんですが、画像が多くページが重くなってしまうので
続きは後編にて。

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