この連載では、かつて環境コンサル会社に勤めていたルアマガファミリー・フクシゲが、そこで得た経験・知識をバス釣り界にフィードバック! もしかしたら釣りに使えるかもしれない、フィールドに関する情報をお届けする。久々の今回は夏のフィールドで見かける水面に浮いた葉っぱ…通称「リリーパッド」を掘り下げる(久々の植物ネタ)。
「リリーパッド」ってそもそも何だ?
バス釣り場には様々な変化(ストラクチャー的な意味で)がありますが、何となく見つけるとワクワクする変化といえば「リリーパッド」です(自分だけ?)
↓こんな経験もありますしね。
リリーバッドとは、
葉っぱが水面に浮いているタイプのフローティングカバー
のことを指すのが一般的です。もっと厳密?に説明すると、
生きた植物の葉が水面を覆っている場所
となるのかなと思います。
死んだ植物(=落ち葉や枯れ枝など)が水面を覆っている場合は、浮きゴミエリアというほうが一般的ですかね。また、生きた植物でも、水面を覆うのではなく水上に生えてきている、つまりアシやガマのような植物の生えたポイントはリリーパッドとは呼びませんね。
リリーパッドを構成する植物
リリーパッドとひとくくりにされていますが、構成している植物には様々な種類があり、これらは総じて浮葉植物と呼ばれています。
そして浮葉植物のうち、おそらくもっとも多くのフィールドで見かけるであろう種がヒシ。なかでもオニビシと呼ばれる種です。
こちらは、変わった形の種子(実)をつけることでも知られており(この実が忍者の道具・マキビシの元となったともいわれています)、ひし形(三角形のような気も…)のギザギザした葉っぱが放射状に広がっているのが特徴です。バス釣り的にはヒシモと呼ばれることも多いですよね。
また、きれいな花を咲かせることでも知られるスイレン
地下茎をレンコンとして食すハス、地域によっては大切に扱われているアサザ、そのほかにもジュンサイ、コウホネ、ヒツジグサ等が知られています。
ちなみにリリーパッドを英語で表記すると“lily pad”。これは「スイレンの葉」を意味する言葉であり、日本でもスイレンのことを指してリリーパッドと呼ぶ人はいるかとは思いますが、ヒシやハスのことを含めてリリーパッドと呼ぶ人も多く、国内では広い範囲で使われている言葉であるとわかります。
一方、アメリカでは植物系のカバーの総称として”vegetation”(ベジテーション)や、該当する植物の種名で”lily pad”(スイレン)や”duckweed”(アオウキクサ)と直接呼ぶことが多いそうです(by Tの目さん)
「アオヤロウ」って知ってる?
房総リザーバーで耳にすることの多い「アオヤロウ」と呼ばれるフローティングカバー。
このアオヤロウの正体は「ウキクサ」と呼ばれる小さな植物の群落。
一言でウキクサと表しておりますが、種子植物のウキクサ科に属する植物と、シダ植物のアカウキクサ科に属する植物があり、アオヤロウと呼ばれている種はウキクサ科であることのほうが多いようです。
アオヤロウも小さくはありますが葉っぱが水面を覆っているポイントであるため、リリーパッドと呼べなくもないのですが…あまり呼ばれません。
水面に浮かぶ植物。でもリリーパッドと呼ばれない植物
水面に浮かんではいるものの、リリーパッドとは呼ばれない植物もあります。
ナガエツルノゲイトウ、ミズヒマワリ系
ウォーターレタス、ホテイアオイ系
これらの植物は、フローティングマットやベジテーションカバーと呼ばれることが多く、リリーパッドのように植物の上を通すような形ではあまり狙われません(というか狙えないので隙間からルアーを落として…みたいな釣りをしますよね)。
水面に浮かぶ植物からわかること
ヒシやスイレンなどの浮葉植物はその名の通り水面に葉を浮かばせて生育しているのですが、実は根や茎で水の底とつながっており、あまり深い場所には生えません。
これは水上に葉っぱがない状態、例えば水底に沈んだ種子から発芽する際に一定量の光を必要とすることに起因しています。
一方、ウキクサやナガエツルノゲイトウ、ホテイアオイは水面にただ浮いているだけであり、水の底に根や茎がつながっているわけではありません。
これらのことから、
リリーパッドが生えている場所
・水深は比較的浅い。
・水中も根や茎でごちゃごちゃしている。
そのほかの植物が水面に浮いている場所
・風下であったり、流れが滞留する
・植物の下には何もない(ほぼ)
といったことが推測されるのです。
つまりどういうことよ!?
今回はリリーパッドについてのお話でした。
まとめると、
・リリーパッドとはヒシやスイレンといった生きた植物の葉っぱが浮かんだカバー
・リリーパッドと呼ばれないが、水面に生えている植物のカバーがほかにもある
・植物を見れば、そのポイントの様々な情報が見える
といった内容でした。
どうです?ちょっと賢くなった気がしませんか?
[※この連載は福重の経験を元に書いております。相手は自然。全てが書かれている通りであるとは限りません…]