想像を超える”9フィート超”バスロッドの新世界【デプス×松下雅幸”グングニル”実釣検証】



9フィート越えのバスロッド! 長すぎるレングスがもたらすのは、ただの奇抜か新境地か…。岸からのカバーアプローチで取材班が見たものは、未開拓水域の野池バス! こんな場所も攻略可能なのか…メジャー場でこそ長さが活きる長尺ロッド「サイドワインダー・グングニル」(デプス)を監修した”まっつん”こと松下雅幸氏に実釣解説を願った。

松下雅幸(まつした・まさゆき)/「エムブロー・ガイドサービス」で琵琶湖・長良川ガイドをするかたわら、フル参戦を視野にB.A.S.S.へチャレンジし、17年オープン戦では3位入賞!!! また自身のブランド「ギークス」からマツラバなど独自のアイテムをリリース中。

アメリカB.A.S.S.の”規制緩和”が9フィート台ロッドを生んだ!

国内外のトーナメントレギュレーションにより、いくつかの例外はあれど、これまでバスロッドは8フィートまでが主流だった…。が、ここに来てその流れを大幅に飛び越えた長尺ロッドが登場! その威力は、まさに黒船級なのか!? 提唱者の”まっつん”こと松下雅幸さんと実釣しつつ、その可能性を探っていこう。

「2016年に、B.A.S.S.で来年からロッドの長さ規定が10フィートまで伸びると聞いて…ピンときたんです。パンチングとクランキングにいいんじゃないかと。やってみたらドンピシャでしたね」

長さは上の写真を見ての通り! 背後に障害物があると振りかぶりにくかったり、スナップを効かせたキャストがしにくかったりというデメリットはあるものの、それはロッドの個性を打ち消すものではない。槍には槍ならではの長所があるのだ。

名竿サイドワインダーシリーズに加わった新たな個性「グングニル」

松下さんがプロデュースする「グングニル」は、デプスロッドのフラッグシップライン「サイドワインダー」シリーズからリリースされる。2ピースは、感度や強靱さを非常に求められるシーバス界でも常識の継ぎ数。曲がりも自然で、むしろ長さに対する強度や保管中のトラブルも担保する。長さゆえのデメリットは確実にあるものの、唯一無二のメリットが突出している超個性派ロッドと言えるだろう。

サイドワインダー グングニルHGC-962HR/GP[デプス]
●全長:9フィート6インチ ●ルアー:3/8〜5オンス ●ライン:14〜25ポンド(PEライン:50〜100ポンド) ●価格:54,000円(税抜き)

松下さんは、スライドスイマー250やグルカナイフ4.7オンスの使用も視野に入れていると言う。

「ジャイアント級のルアーも扱えちゃいますね。投げて気持ちいいのはスライドスイマー175とか。かなりパワーがあります」

カバーエキスパートとしてのグングニル

1〜2オンスなどのテキサスを高くキャストし、分厚いマットカバーを突き破るパンチング。このとき、カバーを突き破るにも回収にもロングロッドが適している。

「実はパンチングは、ルアーの回収に手間取るメソッド。超ロングロッドなら、侵入スポットに『角度』がつかないので、入れやすく抜きやすいんです」

マットカバーに突き刺さったリグは、極端に考えて、垂直方向に抜くのと、限りなく水平方向から引っ張るのでは、垂直のほうがカバーが引っかからず、抜きやすい。リグを落とし込むときも、垂直方向はカバーの抵抗がない分、シェイクなどロッドワークが伝わって落としやすい。この「出入り」がパンチングの鬼門だが、超長ロッドなら解消される。

「琵琶湖でも、カバーが厚ければ厚いほど油断してるのか、入れたら食うイメージです」というパンチング。岸近くに分厚いカバーがあれば、ぜひアプローチしてほしい。基本はフォールで即食うバスを想定し、バイトがなければ少しシェイクや上下動して誘う。
「マットカバーがあると、落とすか、上を引くか。上を引くならフロッグ一択ですね」。水を噛んで移動距離を抑えられる、バスタークをチョイス。これならグングニルでも、動きすぎない。
スイムジグとも好相性!


ステータス異常をきたすオーバーパワー!

劇的な長さがもたらすメリットは、はやり唯一無二。フッキングは、言わずもがな。ロッドを一定角度あおったとき、レングスが長ければ長いほど、ルアーは大きく動く。

「その長いストロークで、フッキングは驚くほどいいですね。パンチングでもバイト後、ラインが三次元的に何ヵ所かウィードをまたいでしまい、フッキングパワーが伝わりづらい。その点、グングニルならかなりフックアップできますね」

岸際のオーバーハングの上空へキャストし、カバーを越えたら着水前にラインを沖側へ…。そんなテクニカルなラインメンディングも、長いサオならお手のものだ。

「ルアーが飛んでいるあいだに、飛ぶ軌道の修正も簡単なんですよ。キャストミスしても、ジャストに調整できる」

中〜長距離のカバー攻略では、圧倒的なアドバンテージだ。

野池のマックスサイズ55.5センチを仕留めた。プラグを難しいカバーへアプローチし、すかさずラインメンディング。思い通りのコースを通すと…期待以上の答えが返ってきた。

また、長さもさることながら、グングニルはパワーがかなりあり、テーパーも素直。重めのルアーやリグは、別次元の飛びをみせる。手の届く落ちパクなバスは釣られていても、誰も触っていないスポットには…!

「また、ロングリーダー系のリグも簡単に投げられて、これがまたよく飛ぶんです(笑)」

グングニルセッティング例:フロッグとテキサスにはPEセッティング。クロナークMGLXG(シマノ)に、シューターステューター(サンライン)70ポンド。マツラバやノーシンカーには、バンタムMGLXG(シマノ)とFCスナイパー18ポンドというフロロ設定。

まっつん式「パンチング」「逆フリップ」「スイムジグ」…可能性は無限大!

グングニルは、パンチング以外の用途でもその個性が突出していた。

「ロッドの硬さもあいまって、マグナムクランクも使いやすかった。ディープクランクはロッドを長く水に突っ込めるので、より潜らせられるようになったり。琵琶湖だと取水塔とか大きな障害物を狙うじゃないですか。風にルアーがあおられたり、ミスキャストしても軌道修正しやすいのも、大きなアドバンテージでしたね」

陸っぱりだからこそ…というグングニルのメリットも、本気で底知れない

とはいえ、この超ロングロッドの釣りも、松下さんと一緒にこれから成長していく部分も少なくない。

「たとえばボートでのランディングが、まだネックですね。ネットにしろ抜き上げにしろ。また、パワーがありすぎるからか、いつもの釣りをグングニルで試してみると何度もスッポ抜けたり…。リールのギヤやフック、ラインとの組み合わせも、まだまだ煮詰めていきたいですね」

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