初心者歓迎”ジギングテンヤ”って何だ!?【釣って楽しい、食べて美味しいタチウオ釣り】



関西をはじめ西日本では既に定番化しつつあるタチウオボートゲームのNEWスタイル「ジギングテンヤ」。『ルアーマガジン・ソルト2018年11月号』では、秋を想定した真夏の関東において好釣の記録をお届けした。さて秋も深まり冬へ向かおうという今はどうなのか。この釣りに造詣の深い松本猛司氏が解説する。



松本猛司(まつもと・たけし)/淡海水問わず、現場の第一線で活躍し続けるエキスパートアングラー。フィッシュアロー開発スタッフとして、新作の探求とテストで夜討ち朝駆け&東奔西走の日々。ジギングテンヤを始め数々の名作を生み出してきたヒットメーカーだ。

そもそも「ジギングテンヤ」ってどんなもの?

ジギングテンヤセット例がこちら。ライトジギングテンヤ80gに、フラッシュ-J4in SW(ともにフィッシュアロー)を装着。アシストフックは別売りで、アンチョビ太刀魚フック(ジャッカル)のSを使用。

西日本ではよく知られているが、東日本ではまだまだ馴染みが薄い「ジギングテンヤ」という釣法。はたして、ジギング寄りの釣りなのか? テンヤ寄りなのか? それとも…?

松本「ひとことで言えば、ジグヘッドリグの進化版です」

ヘッドが水切れの良い紡錘型。ウェイトは陸っぱりとは異なり、水深の深い層で使うボート用のためやや重め。フックはジグヘッドと異なり、ラインアイとは反対側を向いて乗りやすさを重視。トレーラーとなるワームをよりセットしやすいツインキーパーを搭載して、手返しを向上する構造だ。

トレーラーを外せばこの通り。ヘッド部から延びたキーパー部にトレーラーのワームを頭から差し込み、ツインキーパーで「フラッシュ-Jに内蔵された板状のアルミホイルを挟み込むようにセット」して腹側をがっちりホールド。

松本「使い方は『ジギング』とほぼ同じで、ローテーションのひとつとして使える『テンヤ』と考えていただけたらいいなと」

「テンヤ」とは名が付くものの、東日本アングラーの多くが連想する「一つテンヤ」とは似て非なるもの。エサも使えるという点では共通するが、基本的にはジギングと同領域にある釣法と考えたほうが良さそうだ。

「釣り方は落としてシャクって…のジギングとほぼ同じです」と松本さん。


なぜジギングテンヤはよく釣れるのか?

見出しの通り、素朴な疑問を投げかけると、松本さんは船縁にソレを落とし目で見える表層でアクションを解説し始めた。

松本「ジギング同様にこうシャクると、その度にピュン、またピュンと360度回転しながら上方向へ弧を描くようにダートするんです」

メタルジグはシャクれば上方向へ刻み、フォールでスライドやロール。ジギングテンヤはトリッキーな動きの一方で、中層ステイも可能。明らかに異なるアクションが今まで反応しなかった個体の本能を刺激する。

シャクればラインアイを支点にヘッドを持ち上げては下がるダートを見せて、再び水平姿勢へ。シャクって糸フケを巻いて…と、ジギングのような連続動作であれば瞬間的な水平姿勢からダートへとクイックな動きを見せ続ける。

松本「数回シャクって、止めます。すると水中でジギングテンヤが水平姿勢でピタッ。多くはこの瞬間にバイトがありますね」

水中から伝わる微かなアタリを感じるや即座にフッキング!「もちろん時には空振りもありますよ(笑)」 このバイトを獲れるか獲れないか、そんなゲーム性の高さもアングラーを熱くさせる。

ダート幅は多過ぎず存分なアピール力で、乗合船で使用しても周りのアングラーとトラブルなく楽しめる粋な設計。止めた時の水平姿勢が喰わせの間となり、タチウオが激しくバイトすることが多いという。

松本「吸い込むというよりは『齧(かじ)る』ようなバイト。この瞬間に鋭いフッキングで掛けることができるかどうか。そのゲーム性の高さも楽しいですね」

メタルジグとはまた異なるアクションでジギングに反応しないタチウオに反応させることができそうだ。

松本さんが取材当日に使用したタックル

●ロッド:メタリア タチウオM-185(DAIWA)●リール:キャタリナIC 100SH(DAIWA)●ライン+リーダー:G-soulスーパージグマンX8 0.8号+ガリスFCアブソーバー アンフィニ8号(共にYGKよつあみ)
●ロッド:リーディング82MH-190MT(DAIWA)●リール:ソルティストICS 103SH(DAIWA)●ライン+リーダー:G-soulスーパージグマンX8 0.8号+ガリスFCアブソーバー アンフィニ8号(共にYGKよつあみ)


秋が深まると、関東のタチウオはどうなる?

実釣取材は8月末、真夏の盛りに敢行。9月21日発売の『ルアーマガジン・ソルト11月号』に向けて、初秋の関東ボートタチウオの釣り方を軸に松本さんにご解説いただいた。では、その後、秋が深まっていくと、ジギングテンヤの釣りはどう変わっていくのか。それとも…。

松本「基本的に釣り方は変わりません。ただ、狙う水深は変わっていきますね。あの時は水深60mの40mを主に探ることが多かったですが、これからの時期はタチウオが成長すると共に狙う水深もどんどん深くなっていきます」

上:ジギングテンヤ40号(=150g)+フラッシュ-Jスプリット7in SW、下:ライトジギングテンヤ80g+フラッシュ-J4in SW。関東はシーズン毎に大と小の使い分けがキーに。

取材は関東タチウオの浅ダナで使用しやすいジギングテンヤの60&80gをフィーチャー。深場がメインとなる関西タチウオで使う30号(110g)&40号(150g)&50号(190g)の実力をそのままに受け継いだ軽量コンパクト版だ。

松本「10月から11月、そして12月と季節が進めば、関東でも水深80〜90mの深場で大型の個体を狙う釣りへ移行していきます。そうなると、もう関西と狙う水深はほぼ変わらないので、より重いウェイトが活躍してくれるはずです」

潮が速いエリアが現場となることも多く、軽いウェイトでは正確なタナ取りも難しい。本来、関西用としてリリースされた30〜50号の出番も多くなるという。

上:フラッシュ-Jスプリット7in SW、中:フラッシュ-Jスプリット5in SW、下:フラッシュ-J4in SW。3サイズに加え、テールはV字のスプリット、シャッドテールのシャッド(*5&7inにはラインナップなし)、ピンテールのノーマルが揃う。

松本「合わせてトレーラーもサイズアップ。4inより、5inや7inの出番です。水押しがより強く、そのボリューム感でタチウオを威嚇することもできるはずです」

バス釣りやライトソルトゲームでお馴染みな名作のソルトウォーターVer.「フラッシュ-J SW」(フィッシュアロー)。サイズのみならず、テール形状も各種揃い、またカラーも豊富にラインナップ。ローテーションすることでその日の当たりを探したい。

実は、ワームのみならずエサでも対応可能な二刀流!

取材はルアマガソルト掲載のためルアーのみでの実釣をお願いしたが、実はジギングテンヤにはエサをセットして使用することも可能だ。

松本「状況が渋い時にはエサで何とか沈黙を打破。一方で、試合の際に手返しよく数を重ねていくならワーム。そんな使い分けもできます」

もちろんワームだけでも存分な釣果は期待できるのでご安心を。

取材当日は数投でローテを繰り返し「ローテ1発目のバイトが多いですね、楽しいぃぃぃぃぃ!」と松本さんも終始、破顔一笑。

松本「まだ歴史の浅い釣法で、まだまだ可能性を秘めています。僕が知らない新たな釣り方も今後生まれてくるかもしれません。ぜひジギングテンヤの釣りを楽しんでみてください」

新たなメソッドを生むのはアナタかもしれない!?

ジギングテンヤの使い方については、『ルアーマガジン・ソルト11月号』でさらに詳しく紹介!


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