破格すぎるのでは……? 東海汽船から「1等船室」往復5000円の「令和」改元記念きっぷが発売!



「平成」から「令和」へ。新たな時代への区切りを迎える改元の話題でもちきりの昨今ですが、なんと伊豆諸島旅行の大動脈、東海汽船からは「令和」改元記念きっぷが発売です。4月29日、30日、5月1日の3日間で各日限定10名様のみの日帰り限定という条件付きですが、「1等船室席が往復で大人1名5000円」という驚きの格安設定。新時代の祈念を伊豆諸島を巡る、船旅で! 少しクセのあるきっぷではありますが、ご紹介いたします。
※続報で、対象日が5月5日も追加になりました(4月8日発表)。



釣り人にはご存知伊豆諸島! ……かとは思いますが、どんなところかご説明

東京から気軽に出かけられる自然豊かな旅行先というと、いくつか候補が出てくると思いますが、楽ちんすぎる旅程で美しい離島の海、山、空気を味わえるのが伊豆諸島です。都心からのアクセスがよすぎる割に、いきなり秘境感すらある火山の島々にいけてしまう。意外と近いので交通費もお安く、魚もわっさわさいる。昭和の離島ブームで賑わった頃から比べれば、今は逆に落ち着いていて居心地の良い穴場感すらあります。

思わず「ここ本当に東京都!?」って言いたくなる美しさ(式根島神引山展望台)。
東京から神津島を結ぶ便を担う「さるびあ丸」。乗用車の乗り入れはできない貨客船ですが排水量約5000tと大きく、快適な船旅が楽しめます。

近年では航空路線やジェット船の便も発達していて時間をかけずに現地へ行くこともできますが、旅情満点なのは船旅です。あえて時間をかけて乗り物に身を任せてのんびり移動する。効率優先でせからしいこの時代に逆行するかのような時間の使い方がなんとも贅沢で、これがまた楽しいんです。

大型船の旅でしか味わえない夜行船の趣

浜松町からほど近い、竹芝桟橋から出港する夜発の大型船に乗り込めば、ゆったりした船旅が始まります。船内で買えるビールなどを片手にデッキに上がって夜風に吹かれていると、船は間もなくレインボーブリッジをくぐって、普段ほとんど目にすることのない海から眺める東京湾の夜景が眼の前をおだやかに流れていきます。

だいたいレインボーブリッジから大井ふ頭の巨大ガントリークレーン群を横目に、航空機の発着で賑やかな羽田空港を通過して、川崎の「工場夜景」を堪能するあたりが盛り上がるポイント。

夜のレインボーブリッジをくぐるというのはなかなかできない体験。
大井ふ頭のガントリークレーンがずらっと並ぶ様も迫力があります。

暗い海の上ですが、肴はこれでじゅうぶんすぎるほどに饒舌な景観です。うっかり話し込んで夜更かししてしまわないようにご注意ください(笑)。

夜明けとともに目的地へ着いてしまう、そう、それがいいッ!

目覚めるとまだ薄暗く、見渡す限りの水平線が広がり、波をかき分けて進む大型船のエンジン音だけが支配する世界です。東の空が徐々に明るくなって払暁を迎える頃に、最初の目的地、大島に到着します。

さるびあ丸の夜明け。
ぼーっと風景を眺めているだけでも楽しい時間です。

ここから先は、利島から終着折り返し地点の神津島まで、だいたい1時間おきに次の島へと進んでいくことになります。夜に都心から船に乗って自由な時間を過ごしつつ、起きたら目的地についている。移動の煩わしさもなく朝一番から島を満喫できるのですから、これほど気楽な旅行というのもそうはないでしょう。もちろん釣りにも最適です。

圧倒的な火山島のスケール感と海の青さ(神津島多幸湾)。
幻想的な朝霧に包まれることも。

伊豆諸島の旅は、復路も見応えたっぷり

なお船は神津島から折り返して、往路の逆順に伊豆諸島を北上し、夕方頃に東京に到着する便になります。伊豆諸島の島々はもちろん、浦賀水道から東京湾要塞跡地の海堡を抜け、横浜、海ほたるパーキングエリアを眺めつつお台場に帰ってくる。この風景もまた味わい深いものがあります。

東京湾横断橋とスカイツリーが間近に見えてくると、長旅もまもなく終わりです。
横浜ランドマークタワーにベイブリッジ、ときに丹沢の山並みの向こうに富士山の姿が見えることも。

島で遊び疲れた方はエンジンの心地よい振動に勝てずうたた寝する時間でもありますが(笑)。

米軍や自衛隊の艦艇、釣り船、貨物船、巨大タンカー、RoRo船。東京湾は所狭しと船が行き交います。船を眺めているだけでも楽しいです。
東海汽船のジェットフォイルは最大速度43knot(約80km/h)、大島までなら1時間45分の高速船。1日に何便もあるのでさるびあ丸は何度も抜かれます。背後は東京ベイ・クルージングレストランの「クラシカ」。
船内には時間限定でレストランも営業しています。またお酒やソフトドリンク、カップラーメン、ホットスナックの自動販売機もあります。ハーゲンダッツの自販機もあって、甘い物好きの皆さんには大好評。コインシャワーもあるので、仕事帰りに伊豆諸島へ直行……なんて利用方法も。




「令和」改元記念きっぷの詳細はこちら

というわけでお待たせいたしました。「令和」記念きっぷの概要です。

【出発日】平成31年4月29日、30日、令和元年5月1日、5月5日夜発(4月8日発表)
【受付人数】毎日10名様限定
【適用航路】東京23:00発~大島・利島・新島・式根島・神津島行き夜行日帰りの往復1等
【料金】おとな5,000円、子ども2,500円(いずれも往復の価格

【ご注意事項】
〇 きっぷの有効期間は2日間(夜行日帰り)のみとなります。なお大島には路線バス1日乗車券付となり、島内の路線バスが乗り放題です。
〇 ご予約の際、出発日をご指定ください。
〇 このきっぷは特別プランのため、各種の割引は使用できません。
〇 大人1名様から承ります。
〇 発券後の利用便は変更できません。また購入後の上級席へのランクアップ(特等・特1等)および復路ジェット船への変更はできません。
〇 このきっぷは東京発着往復のみの設定となります。

【お申込み先】東海汽船お客様センター TEL03-5472-9999(09:30-20:00)

「令和」改元記念きっぷの注意点

注意していただきたいのは、このきっぷは「現地で宿泊ができない日帰り専用」であること。つまり、伊豆諸島を南下するほど現地滞在時間が短くなるということになります。

釣りをするのであればここを計算に入れてください。神津島の40分は実質的にほぼそのまま折り返しになります。利島は釣りをするには地形的な難易度が高いことを考慮すると、たっぷり現地の滞在を楽しめるのは大島ということになるでしょう。到着時間的にも朝マヅメを狙えます。なお大島下船のみ「路線バス1日乗車券付き」となっています。

【往路】
東京発 23:00
大島着 05:00
利島着 06:35
新島着 07:30
式根島着 08:00
神津島着 08:55

【復路】
神津島発 09:35(現地滞在時間 40分
式根島発 10:30(現地滞在時間 2時間30分
新島発 11:00(現地滞在時間 3時間30分
利島発 11:55(現地滞在時間 5時間20分
大島発 13:30(現地滞在時間 8時間30分
東京着 17:55

「令和」記念きっぷはどれくらいお得なのか

さて、破格の値段とご紹介させていただきましたが、実際にこの「令和」改元記念きっぷがどれくらいお得なのかを比較してみます。

東海汽船は季節ごとに運賃が異なるため一概にはいえませんが、2019年5月の運賃表から計算してみましょう。なお二等船室の場合は一等の約半額です。

【さるびあ丸】一等船室乗船料(往復)
東京~大島 8780円*2 = 17560円
東京~利島 9770円*2 = 19540円
東京~新島 11800円*2 = 23600円
東京~式根島 11800円*2 = 23600円
東京~神津島 12520円*2 = 25040円

「令和」改元記念きっぷ
東京~大島 17560円 – 5000円 = 12560円お得
東京~利島 19540円 – 5000円 = 14540円お得
東京~新島 23600円 – 5000円 = 18600円お得
東京~式根島 23600円 – 5000円 = 18600円お得
東京~神津島 25040円 – 5000円 = 20040円お得

一等船室だと大島行きでもこの価格感。まさに破格です。仮に二等を利用したとしても大島行きで3780円のお得。

東海汽船には「株主優待券」として最大35%も安くなる乗船料の割引券が存在しますが、これを利用したとしても「令和」改元記念きっぷが下回るという破格ぶり。間違いなく「これが一番安いです」と言い切れます。心置きなく祈念の旅を楽しめるのではないでしょうか。

こちらが一等船室。約10名までの相部屋で布団セット付きです。二等和室はカーペット敷きの簡易枕のみで全員共用大部屋であることを考えると、かなりの違いがあると言えます。なお布団だけでは寒いような場合、1枚100円で毛布を借りることもできます(写真提供:東海汽船)。

伊豆諸島で釣りをする際に注意したいこと

乗船時の注意

まず船内への手荷物の持ち込みについて。

三辺の合計が120cm以下かつ、総重量が20kg以下のものは「無料の手荷物」扱いとなります。これ以上の大きさになる場合は、乗船前に「手荷物券」を購入してください。

詳細な規定は東海汽船の「大型客船の手荷物について」に掲載されています。

あと、些細なことですが、乗船券の半券は乗船後も捨てないように。下船時に回収されます。

釣りをする際の注意

また、伊豆諸島では遊漁者に対するいくつかの規制があります。詳しくは東京都産業労働局の「海で楽しむ皆さんへ」をご確認ください。

それでは、良い船旅を。そして令和が良い時代でありますように。


[伊豆諸島]の関連情報はこちら!