【ラストクラシック回想記】テネシーリバーのマイケルP【最終回】



選ばれたプロだけが参戦できる大舞台、それが「BASSMASTER CLASSIC(バスマスタークラシック)」。これまで大森貴洋さんや清水盛三さんたち日本人選手の活躍はルアーマガジンでお伝えしてきたので、ご存知の方も多いはずだ。アメリカ最大のトーナメント組織、B.A.S.S.の頂上決定戦は今年、テネシーリバーで開催された。発売中の『ルアーマガジン6月号』ではレポート記事が掲載され、大会当日はリアルタイムでマイケルPが現地からSNS発信していたが、改めてルアマガ+でお届けしたい。今回は最終回!

3日目。「ブランドン」に同船取材だけど、「ブランドン」じゃない

クラシック2日目夜に「明日はブランドン・パラニュークと同船取材」というメールを事務局から受け取った。

3日目、ウキウキしながら待ち合わせ場所に行くとスタッフが、「今日はブランドン・レスターに同船ね!」と……。

アメリカの取材現場でよくある手違いなので、気分転換に朝ご飯。プレスアングラー用に主催者側が簡単な食事を用意してくれていて、この日はフライドチキンビスケット。

ボッソボソのビスケットに脂っこいフライドチキン。日本人的には夜明け前からボリューム満点すぎ(笑)。

今年30歳のブランドン・レスターは2014年からバスマスターエリートに参戦。クラシック出場は4度目という実力派で、しかも開催地のテネシーリバーは超地元だ。

さあこの日はレスターの知り合いがランチングを手伝ってくれたので、自分が操船することはなかった(笑)。

「ライジャケ、これでいい?」と、船に備え付けのを借りることに。全然OKっす。

スタート地点から30分ほどフルスロットルで走り、たどり着いたのはとあるクリーク。点在するボートドックやブッシュをラバージグで撃っていくという、2日目のスキートとはまったく違った展開。開始後すぐにロッドが曲がったが、ノンキーパーだった。

ボートドックの隙間に送り込んだジグにバイト。フッキング直後、素早く抜き上げた。

ライトリグやクランクベイト、ラバージグなどが結ばれたロッドがデッキに所狭しと並ぶ。「その日に合った釣り方を探すよ」と、次に彼が手にしたのはスピニングロッド。濁りまくったテネシーリバーで、ミドストを駆使するとは……。ワームはガルプのミノーシェイプ。あっという間に3尾ほど釣ったが、すべてノンキーパー。

はるか沖を、選手のボートが走り去る。おそらくケビン・バンダムだ。岸沿いの障害物をジグで釣るレスターにバイトが連発し、キーパーを立て続けにキャッチした。

ポイントのバッティングはなかったが、移動中の選手は何度となく見かけた。選手を追いかける一般アングラーのボートもかなりいた。
ヘビーアクションのロッドで、ラインはフロロ20lb。サイズに関係なくすべての魚を抜き上げていた。
ジグで手にした2尾目のキーパー。「2lbちょっとかな」。


見事6位にジャンプアップ! 「パラニューク」超えのパフォーマンス

その後も快調にジグでキーパーを手にし、4lb超のでかスモールマウスもキャッチ。ノンキーパーも含むと20尾は釣っていただろう。30歳にしてクラシック4回の出場経験は伊達じゃなかった。この日は入れ替えを繰り返してトータルウエイトは18lb10oz(約8.4kg)。6位まで順位を上げることに成功した。

テネシーリバーでは、スモールマウスバスは18in(約46cm)以上がキーパー。キッカーフィッシュを手に、レスターも思わず笑顔。
事務局から支給されたスマホ内アプリ「バストラック」で選手のスコアを報告するのもプレスアングラーの役目。画像はリミットメイクした時点のもの。
入れ替えを何度か行ない、トータルウエイトは18lb10oz(約8.4kg)まで上昇。最終日は6位でフィニッシュと大健闘した。

この日も巨大スタジアムはギャラリーに埋め尽くされ、ウエイインショーは大盛況だった。優勝は、3日目のトップウエイトである18lb14oz(約8.6kg)を持ち込んだオット・デフォー。大勢の地元ファンが、地元出身のオット・デフォーを祝福するという最高の結末となった。

家族と一緒にステージに立つオット・デフォー。「お父さんは世界一!」という娘の言葉に場内は割れんばかりの歓声と拍手。

ウエイインショーがすべて終わり、帰りのシャトルバスを待っていると、オット・デフォーのボートが目の前を通過。最後まで最高のクラシックだった。

だが、日本のファンにとってはこれが決して「ラストクラシック」ではない。今年度から青木大介さん伊藤巧さんがバスマスターセントラルオープンに参戦しているのはご存知だろう。

オープンに優勝すれば、来年度のクラシック出場権を獲得できる。またオープンの上位カテゴリーには宮崎友輔さんが参戦中で、来年度クラシック出場の可能性も濃厚だ。

15年前に大森貴洋さんが劇的な逆転優勝を遂げたバスマスタークラシック。あの時と同じように日本人アングラーがウエイインショーを盛り上げる日は、そう遠くないだろう。


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