大混泳でオヤニラミを飼ってみよう Part.2【釣った、採った!で魚を飼ったり育てたり。アクアリウム奮闘記#05】



さて、日本淡水魚の中でも人気の高い「オヤニラミ」。この子を捕まえてきて飼ってみましょうという一連の流れで話を進めてきた当連載もようやく終盤。前回は、水槽を生態を飼うのに適した環境に仕上げてオヤニラミの受け入れ準備をしましょう。というところで終わりました。ちなみに、手順的にはほぼ、どの魚を採取して飼うにしても踏みますので、この部分はしっかり、マスターしておきましょう(偉そうに言ってますが、最初はその手順を踏まずパニックになった経験者です)

どこでどうやって採取するかについては連載3回目の#03にて(モラル含み)解説させていただきましたので割愛。ということで、少し進んでもう少し具体的にいきましょう。飼うために用意した60cm規格水槽に何尾飼うか。もしくはどんな魚と一緒に飼うと良いかを解説したいと思います。

オヤニラミの単一水槽でゴージャスに飼ってみたい

さて、単純にオヤニラミという魚を多頭飼いしてみたいという方へのノウハウを紹介します。まずは同一種の多頭飼いについて。あれ?いきなりマニアックかもしれない…。

ルアマガ+他記事でも登場するLMLテスターのフッキー氏は淡水魚オタクでもあります。私のガサ師匠でもあるのですが、もともとオヤニラミを7尾混泳させ、安定していた水槽があったことを思い出し、写真を要求したらさらに難易度の上がる構成になっていました。オオクチユゴイにカワアナゴ…。中層、底物…とイーター系の混泳です。よく安定させているね…。

オヤニラミという魚はテリトリーを持つ魚で、同族でもそのテリトリーに侵入すると激しく攻撃すると言われています。つまり、水槽という箱庭空間で複数のオヤニラミを飼うとその習性が多分に働き、殴り合いの下手したら殺し合いに発展する可能性があります。だいたいの情報ではオヤニラミは複数尾を同じ水槽で飼うとダメ!って情報にあふれておりますが、そういう事情があるからなんですね。

ですが、SNSを見ていると一部の方は、オヤニラミを群泳していたり、数尾で飼っていたりという事象が見受けられます。私のアクアリウム仲間や、師匠も平気でオヤニラミの同一水槽で、複数飼育をしています。この群泳に憧れるならば、下記の手順を踏むとよいでしょう。

1cm程度の幼魚の段階から複数尾飼う【難易度3|★★★☆☆】

単純な話で、幼魚の頃から複数尾を育てていくと、案外、混泳が上手くいったりします。ただ、2尾よりは3尾、もしくは4尾と数が多いほうが良いでしょう。しかし、この手法はオヤニラミの個性次第で一気に崩壊する可能性がありますので、そうなった場合の対処法を身に着けておく必要があります。あと、サイズが基本、ほぼ同じの個体を集めておくと、より成功しやすいでしょう。どちらにせよ飼育年月が長くなればなるほど、個体の大きさには差がでがちですけどね。

飽和飼育をする【難易度4|★★★★☆】

これは、魚食性が高かったり、攻撃性が高い種を封じ込める飼育法の王道と言われています。簡単な話で、水槽の許容を少しオーバーするぐらいの個体数を投入して種族間の喧嘩を抑え込むという荒業でもあります。攻撃対象がひっきりなしに現れることで、単純に言うと「もういいや」を常態化させることで喧嘩をなくしてしまうという手法ですね。これは後述するオヤニラミ以外の魚と混泳させるときの技術の基本でもあります。

60cm水槽であれば5〜7尾程度の個体を投入することで、水槽内のバランスを構築します。この手法で、私の仲間はオヤニラミの群泳水槽を作っておりますが、手入れは頻繁に行う必要があったり、春先の繁殖期には一気にバランスが崩壊しバトルロワイヤルのコロッセオ状態に発展する可能性が高いため、それに対応するノウハウが必要になってくるところが、難易度が高めである所以です。

オヤニラミは縦ストを形成することで、テリトリー分けをすることができる

幼魚期からの飼育にしろ、飽和飼育による多頭飼いについても、そのままなんの問題もなく和気あいあいと水槽で過ごしてくれるバランスになることもありますが、一部個体が落ちて(死んで)しまったりすることでバランスが一気に崩れたり、個体差が生まれ、大きさが変わってしまうことでバランスが崩れたりということがあります。そういった事態に対応する技術が、障害物の形成による、個体ごとのテリトリーの構築という手法です。

こちら水槽のタイプも違いしますし、混泳もしていませんが、比較的高さのある水草や障害物を好むオヤニラミ向けの設計にしてあります。アナカリスやカモンバなどの育てやすい水草がいいかもしれませんね。

この手法は上手く行けば、危険と言われている2尾飼育ですら上手くいく可能性があります。コツさえ使えば応用も効くようですのでぜひマスターしておきたいですね。どうすれば安定するかは、何度も何度もレイアウトを調整して落ち着くポイントを見つけること。

特にオヤニラミは縦ストラクチャーの上下左右にテリトリーを形成する習性があるようなので、背の高い水草などで障害物を設けることでそういった事態(バトルロワイヤル)を治めることができるようです。オヤニラミの飼育には水深のあるハイタイプの水槽が通の間では選ばれたりする所以はここにあると思います。

縦ストってなんじゃ!すいません。釣り用語でした。横方向より、水深つまり縦方向に広がる水草などの障害物を指します。自然界では、杭やポールなどはいわゆる縦ストと呼ばれている障害物ですね。



次回はオヤニラミを頂点に据えた、複数魚種による混泳水槽の作り方です。

さて、今回までは、仲間のアクアリストの成功談の受け売りでした。

こちらは45cmタイプの水槽に、オヤニラミ、タナゴ、ムギツク、トウヨシノボリなどを混泳させている水槽です。いろいろな魚種の混泳水槽から、プレデターとなる魚種の餌食になりやすい魚、そうでない魚が見えてきました。案外釣りにも役立つんですよ(笑)

実は小生のオヤニラミの飼育方針は1水槽1オヤニラミを基準とした多魚種混泳なのであります。オヤニラミをヒエラルキーの頂点に据えつつ、魚食性の高いオヤニラミの性格を封じ込めて、小魚と群泳させるバラエティー・オヤニラミ水槽構築のノウハウをお伝えできればと思います。…うーん。

どうにもオヤニラミが好きすぎて、万に一つでも、オヤニラミが喧嘩で弱るという事態を避けたい系なので、個人的にはこの大混泳が一番好きなんですよね。難易度も多頭飼いよりも優しいと思います。かなりマニアックになりつつありますが、せっかくなんで最後までお付き合いくださいませ。

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