「豆アジ専用のフックが欲しいと言われましてね。いま、それを開発中なんです。そして、それに対応した豆アジ用のロッドも開発中ですよ」。そう話してくれたのは、アジングのパイオニアとして業界を牽引するサーティフォーのCEO、家邊克己さん。先日、衝撃的なベイトフィネスアジングの構想を披露してくれたばかりだが、並行してすすめていたのが「豆アジ(アンダー10cm以下)」用のアジングタックルの開発なのだ。その開発の意図とは?
家邊克己(やべ・かつみ)。アジングやメバルなどのライトゲームに関わる製品群の専門メーカーであるサーティフォーの代表を務める。自宅に戻るのは月に2〜3日。福岡にある会社に戻るのも数日。その他の日は実釣取材や製品テストに明け暮れるワーカーホリック…。それゆえに製品群に対するコダワリは尋常じゃない。度を過ぎた現場実戦主義(褒め言葉)により送り出されるアイテムは賛否を越えて、多くの人に注目される。まさにアジング界のパイオニア的存在。
初めて話を聞いたのは2018年の11月。家邊克己による豆アジ構想。
家邊「いま、豆アジ用のフックを開発中でして。昨日の夜、サンプルを自分で曲げたんで、それを形ごとに曲げて、テスターに送ったり工場に送ったり…。これの繰り返しです、大変よ〜」
実はこの手の家邊さんのボヤキは毎度のこと。納得できる製品ができるまで幾度も幾度も試行錯誤を繰り返し、実戦で製品を磨き上げる。これがサーティフォーのスタイルでありアイデンティティーだ。納得のいくまで絞り上げた後、市場に投入する。
思えば、家邊さんがアジング界に送り出した極端なオープンゲイプ構造のフックも一部では批判された。しかし、その批判に対して家邊さんは常に「現場で出た答えだ」と一蹴する。確かに、製品の開発工程の長さと念の入れ用を見ていると、「そうですね」と納得せざるを得ないのだ。そして、使った人からの評価を得てセールスを重ねている。
さて、2018年に初めて構想を聞かされ開発を進めていた豆アジ用フック。家邊さんからついに、その豆アジ用フックの取材に来ないかとお誘いをいただいた。完成?? あれから半年以上、流石に形になっているだろうと思っていたら、取材に同行したサーティフォーのインストラクターのひとりタイキこと山根大輝さんがひとこと。
タイキ「ようやく線径が決まりました!」
ということは?発売予定はいつなんでしょう。
家邊「来年の4月にはなんとか間に合わせますよ」
相変わらずのコダワリっぷりだ。しかし、遅々として開発が進んでいなかったわけではなく、この豆アジフックを核としたタックル構想にまで企画が発展していることを聞かされた。しかも、どうやら家邊さんがサポートをしつつ、各地にいるサーティフォーテスター&インストラクター陣に開発の核を任せているという。タイキさんはその開発陣のひとり。
家邊「もともと彼らが、豆アジ用のフックやロッドなどのタックルが欲しいって言ってきたんです。うちにもTHE MAMEという豆アジ用のフックはラインナップしているんですが、僕が想定していたのは10cm以上から15cmくらいのサイズ。彼らはそれよりも小さいサイズを意識したフックやタックルが欲しいというんです(笑)」
タイキ「僕の通っている能登、北陸方面、特に夏のアジはサイズがどうしても小さくなります。そういうサイズのアジを釣って楽しんでいる部分もあるので、より、そういったアジをより釣れて、より楽しいフックやロッドが欲しいなという話になりまして。僕以外のスタッフの中にも同調者がいましたので、現在、商品開発の最終段階に入っているところです」
具体的なスペック。4ft6inで1ピース&ショートグリップ。
タイキ「豆アジ用ロッドのスペックは4ft6inです。やっぱり狙っている豆アジのサイズが10cm以下なんで吸い込みも弱い。アタリも小さいですから、手元が若干近くなるのは感度の面でもメリットといえますね。あと、ワンピースでこの長さなんで、キャスト時のフリ抜けの良さなど、現時点では高いレベルになっています。グリップ? グリップは超ショートグリップになっていて、やはりロッドエンド側に持つ手がくるので、感度がかなり上がります。もうすぐ、いま握っているロッドを調整したサンプルが届くので、ここから再調整して、発売につなげたいと思います」
ベイトフィネス・アジングコンセプトに続き、超がつく豆アジ釣りのための、コンセプトシステムを開発中のサーティフォー。家邊さんの言う、「アジングにはいろんな遊び方がある」。メディアとしても注目していきたい。豆アジロッド・システムに関しては、近日中にもう少し掘り下げて紹介していきます!