連載6回目です! ちょいと、内容がとっちらかりですが、今回はオヤニラミという魚食魚&縄張り意識の強い魚と、他の淡水魚をどのように多魚種混泳させて楽しむかという、少々マニアックなお話を含めてご紹介したいとおもいます。ふう…ようやくここまで来ました…。あ、ちょっとした身近な淡水魚図鑑にもなると思いますよ〜。
通常は孤高の存在として飼うべき魚…しかし!
連載中でも再三語っておりますが、オヤニラミという魚はとても縄張り意識が強い魚です。2尾とか3尾で飼うと、だいたい喧嘩が始まってバトルロワイヤル、フォートナイト状態になってしまいます。前回は、それでもオヤニラミをひとつの水槽で多頭飼いするにはどうすればよいのかというお話をさせていただきました。
で、今回は同じ種ではなく、他の淡水魚と混泳させたいという方のためのノウハウ。と、いうのも、この魚を飼うためにオススメしている60cmサイズの規格水槽で、オヤニラミ1尾だけ飼うというのは優雅ではあるのですが、ちょっと寂しい…と感じてしまいます。
もちろん1尾をその広さで飼う楽しみ方も正当で、楽しいのですが当方、どうしてももう少し賑やかにしたいタチ…。
しかしですよ? ミニチュア・ブラックバスと表現しているぐらいの肉食魚、プレデターです。同族でさえそんな調子なのに、他の草食系(草食動物に例えて)の魚と考えなしに混泳させたら、その水槽、外国のダウンタウンの路地裏かという感じで、また一尾、そして一尾と混泳させていた魚がいなくなってしまいます。それを東京上野の路地裏ぐらいの治安にいたしましょう!ということですね。
ですが、他の魚との混泳は余裕なのであります。実は、オヤニラミという魚、とても賢くてお行儀の良い魚です。指導さえしてしまえば、平和主義者として水槽ヒエラルキーのトップに君臨させることができるのであります!
そのノウハウのキーワードは3つ!
1)愛称の良い魚と組み合わせて飼う
2)飽和飼育(水槽の許容をわずかに超える程度の密度の個体数で飼育する)
3)幼魚から飼育する
今回は特に有効な1を基準にお話できればと思います。
オヤニラミのベスト・オブ・パートナー
まず、混泳相性指数を設定します。基本的に相性指数4以上の魚種を混泳魚としてあげてくださいね。
1 エサになる
2 エサになりやすい
3 場合によってエサになる
4 エサとして認識されにくい
5 ほぼエサとして認識されない
マドジョウ、シマドジョウ系 相性指数5
これ、当初は意外な発見だったんですが、オヤニラミとドジョウの関係は良好です。餌やりを欠かさない状況はもちろん、少々、お腹をすかせた状況に持ち込んでも、ドジョウ系はオヤニラミのターゲットになりにくいことがわかりました。ということでドジョウ系は相性指数5でございます。
オイカワ、ウグイ、カワムツ、ヌマムツ、アブラハヤ、クチボソ、タモロコ、ホンモロコ、ズナガニゴイ 相性指数5
我々ガサガサチームは、隠語でこれらを「青物系」と呼んでます。細長くて遊泳力があり俊敏なやつらですね。この子達、ほぼほぼオヤニラミのターゲットになりません。相性指数5ではありますが、逆にエサをオヤニラミから奪ってしまうほどの俊敏性と食欲なので、オヤニラミにエサが行き渡らない事態が生じるため、これらの種を混泳させることを避けております。特にオイカワのギャングっぷりには頭を悩ませます。なので、私の水槽ではオヤニラミが主役ゆえに、オイカワは出禁魚種に指定されています(笑)。
そのあたりのコントロールができるのであれば、混泳は可能です。最後に挙げたズナガニゴイだけは、餌喰いの貪欲さも含めて、良いバランスでオヤニラミと混泳できます。
スゴモロコ、イトモロコ、コウライモロコ 相性指数3
スゴモロコ類は、タモロコやホンモロコとはモロコと言っても別物で、動きはどっちかというとワカサギ系じゃねー?という、ちょっと、ふんわりユルユル系のお魚たちです。
この子たち、数が減っているのですが、これ、なるほどなーと思ってしまうわけです。動きがトロいし、美味しそうだから、確実にイーター系に狙われちゃうタイプなんですね。
個人的に大好きな種類です。キレイだし!
オヤニラミの幼魚状態から一緒に育てていれば、捕食される確率は減りますが、突然の高まりスイッチがオヤニラミに入ったら、持って行かれる可能性が大なので混泳はオススメしません。
ムギツク 相性指数5
ある意味、オヤニラミと1セットになっている魚ですね。クチボソやモツゴ類に似ています。鳥のカッコウのようにオヤニラミの卵を狙って托卵しちゃうという面白い習性をもっています(これは見聞です)。なので、オヤニラミのいる水域にはムギツクあり(これは実体験)。なんですよね。
で、とてもオヤニラミと混泳させるのに相性がいい魚です。俊敏で、捕食されにくく、なおかつ餌喰いもほどほど。特に小型のムギツクは体の黒い線が映えて、観賞魚としても素晴らしいです。5匹程度、群泳させると、ほんとに映える魚です。
ギンブナ、キンブナ、ゲンゴロウブナ 相性指数3
フナって強いイメージがあるのですが、どうにもフィッシュイーター系と相性が悪いことを確認しています。あと、他の魚との相性が割にあり、バラエティー水槽を構築する場合の要注意魚種と個人的には思っています。
特に餌喰いのスピードが意外に遅いので、俊敏な魚と混泳させると痩せていく傾向があります。この事実を知って、野生ではフナってバスちゃんにも結構狙われる魚なのでは??? と個人的に妄想しております。
ビワヒガイ、カワヒガイ 相性指数4
ヒガイ系は、混泳OKです。OKですが、もしかして食べられちゃうかも! という種です。あと、ヒガイそのものが少々攻撃的な種で他の魚などを攻撃しがちだと言われておりますが、育てている感じだと、ちゃんとエサを与えていれば他の魚を攻撃することは少ないはずです(ビワヒガイしか飼ったことありませんので、カワヒガイの性格については推測です)。
ちなみに、カワニナなどをコケ対策で入れておくと、スネイルイーターでもあるので、食べられちゃいます。つまり、水槽に貝が増えすぎたならコイツの出番とも言えます。
余談ですが、野生では、割にバスなどには捉えられやすい魚のような気がします。泳ぎにトルクはあるのですが、オイカワに比べると俊敏性に劣ります。あと、石影などに隠れる習性がありますね。
タイリクバラタナゴ、ニホンバラタナゴ、カゼトゲタナゴ 相性指数3
この3種タナゴ、種としては親戚とお考えください。この3種、実は、フィッシュイーターと相性が悪い種と認識しています。
タイリクバラタナゴって強い種に思えるでしょ? これが面白いのですが、他の在来タナゴと混泳すると個体としては非常に弱い種であることに気付かされます。
当然、その余波を受けて、オヤニラミなどにも最終的には狙われかねないのであります。基本的にタナゴ類はオヤニラミのエサにはなりにくいのですが、多魚種混泳となると個体として弱い彼らは、弱っていく過程で攻撃のターゲットになりやすいんですね…。
あと、タイリクバラタナゴを飼育していてわかったことがあります。個として弱いのですが、環境には強い種なんですよ。溶存酸素量が低く、水質が比較的悪い場所、流れが弱い環境などでも生き延びやすい…。
ああ、だから劣化した水辺環境になってしまった日本各所の水辺でタイリクバラタナゴは増えたのだな…と。
アクアリウムのファンや釣り師による密放流が確かに起点にはなってしまっていますが、そういった劣悪な環境を整えたという問題点も認識しなければ、意味がないと思うのですよね〜。
おそらく在来種のニホンバラタナゴもその傾向はあるのでしょうが、残念ながら外来種のタイリクバラタナゴとの競合で負けてしまい、数を減らしてしまったのだと思います。はい、バラタナゴ小噺はここまでにします(笑)
アブラボテ、カネヒラ、ヤリタナゴ 相性指数4
この3種は俊敏で、体力もあり、オヤニラミとの混泳に向いた魚だと言えます。ただ、上に挙げたバラタナゴ種との混泳は避けたほうが良いと思いますのでご注意を。
ちなみにこの3種、飼ってみた感じの個体の戦闘力ヒエラルキーは、アブラボテ>カネヒラ>ヤリタナゴかなと思っています。ただ僅差なのでバランスが取れる3種とも言えます。混泳のお供にどうぞ!
メダカ類 相性指数1
改良種のヒメダカにしろ、在来種のクロメダカにしろ、オヤニラミの混泳には向いておりません。エビほどではないですが、非常に狙われやすい種ですので混泳はお避けください。
ヨシノボリ系、アカザ、ボウズハゼ 相性指数4
底生のハゼ系との相性は良好です。大きくなりすぎないヨシノボリ系は混泳に向いていると思います。他のエサがあるのにわざわざこの種を狙う傾向がありません。その論理でカジカなどとの混泳も可能ですがカジカは別の意味で飼育が難しい魚ですので、オヤニラミとの混泳は環境的にマッチングしにくいかと思います。イワナ、ヤマメなどのトラウト類も混泳には向きません。あとナマズ系ですが、アカザは混泳可能です。
ツチフキ、カマツカ 相性指数4
これらの魚も意外にオヤニラミには狙われにくい魚です。どちらも水質には敏感なんで、注意してくださいね。小型すぎると狙われる可能性があります。オヤニラミと同サイズ以上が望ましいです。
混泳させにくい魚食魚
きりがなくなってきたので、一緒にさせにくいフィッシュイーター系を列挙します。ヌマチチブ、ゴクラクハゼなど、サイズがオヤニラミに近くなる種は注意が必要です。ヌマチチブは日本淡水魚飼育の問題児・乱暴者で、他魚種と混泳させにくい筆頭種です。
ウキゴリというハゼのほうが強いぜ!弱いぜ!みたいな論争になることがありますが、正直、ヌマチチブ最強説を支持します。あと、ギバチは混泳に向いておりませんので注意。カワアナゴ、チチブモドキ、テンジクカワアナゴ、タメトモハゼの親戚4種も注意が必要です。混泳させている人を知っていますが、かなりテクニックが必要です(笑)
あと、カマキリ(アユカケ)も混泳が難しい種です。徐々にサイズがでかくなる魚ですし、そもそも飼う環境が違いますので向いていません。基本的にオヤニラミよりサイズがでかくなるフィッシュイーター系は避けてあげましょう。
だめだ! もう何を語ってるのかわからなくなってきました(笑) 想定できるオヤニラミと混泳可能な魚たちの情報は排出できたと思います(おそらく、日本でここまでオヤニラミとの混泳魚に関して列記した情報はないと思います…)。
で、気づきました。混泳させる魚の話はわかったけどさぁ、オヤニラミって根本的にどうやって飼うの? エサとかさぁ…。という基本情報をすっ飛ばしていることを…。最終話はそのお話で締めくくり、愛すべきオヤニラミの飼い方の連載を終わりにしたいと思います!