サイトの天才・藤田京弥選手が今度はブラインド戦で勝利を積み上げた。初日から今大会最重量ウェイトとなる5125グラムを叩き出し、トップスピードのまま単独ゴール。昨季トップ50ルーキーイヤーにして七色ダムで挙げた初優勝に続き、2年連続の通算2勝目。全域ほぼマッディウォーターの旧吉野川を相手に、底知らずの才気がみなぎった。年間レースは暫定2位まで急上昇。今戦準優勝を挙げ、開幕戦優勝から首位をキープし続ける三原直之選手との攻防が2019終盤戦を盛り上げていく。
初日5キロ超で京弥選手がロケットスタート!
プラクティス段階では「デスリバー」「(バスは)絶滅危惧種」「5リミットは不可能」とさえ囁かれ、本戦へと突入したトップ50第2戦旧吉野川。7月19日(金曜日)午後3時、予選初日の帰着時刻が近づくに連れ、まるで選手たちに呪いをかけたかのように雨は勢力を増していった。
ウェイインが始まるや、ゼロ申告が続出。1〜2尾で1キロ台が主流となり、大方の予想通りロースコア戦は免れなかった。そんな中でも必ずロケットスタートを切る選手が複数、その名を挙げるのが国内最高峰トーナメント、トップ50の手練たちだ。
5尾でほぼ4キロを稼いだ昇格2年目の準地元選手・山下一也、マッディ戦での強さは定評の鈴木隆之が4290グラム。そして唯一の5キロ台を叩き出したのが藤田京弥の各選手。日を追うごとにタフ化する3日間の長丁場、かつ総ウェイトで勝負が決まるトップ50。初日の大量リードは明らかに優位性を保てる。
が、しかし…。
2日目、暫定2位山下一也と共に、3位以下を置き去りに
予選2日目、20日(土曜日)。この日もローライトながら雨量は前日に比べ少ない。本来なら予選は共に、旧吉野川で呼ぶところの『平水日』で流れが変化を生む予定はなかった。ところが折しも日本列島を西から北へとかすめた台風5号による降雨の影響が2日間を『減水日』へと変えてしまったのだ。
平水で組んだパターンは壊滅。急きょ減水で組み直した選手が初日を制したが、2日目は流れによる濁りが全域に蔓延。さらなる試練が選手たちを襲う。暫定2位の鈴木はまさかのゼロ。3位山下、首位藤田の両選手が堅調にスコアを積み上げ、5キロ後半と7キロ前半へ。以下を4キロ台へと引き離し、最終日決勝は上位2選手マッチアップの様相を呈してきた。
最終日、まさか…も、前代未聞の優勝へ!
決勝、トレーラーウェイインが始まる。最初にギャラリーの前へ颯爽と姿を見せたのが三原直之選手。予選暫定上位5選手が順に登場する慣例だが、彼らを差し置いてとは…ビッグウェイトが想像できた。
結果は2尾のキロフィッシュを含む3尾3392グラム。初日21位、予選14位から尻上がりで大幅ジャンプアップに成功。
続いて上位5選手が順に、ギャラリーの前へと現れる。ところが、暫定5位の小林明人選手が2尾のビッグフィッシュで会場を沸かすも、ゼロ申告の続出。
前代未聞のトレーラーウェイイン。この日誰一人として京弥選手のウェイトを超える選手は現れず、この日の釣果をアピールする前に早くも優勝が決定してしまった。
なおも差を広げ、堂々の優勝なのか。期待に胸を膨らませるギャラリーだったが、最終日の旧吉野川は京弥選手をもってしても固く口を閉ざしたままだった。決勝ゼロでの優勝も前代未聞だ。
AOYレースは三原直之vs藤田京弥。共に20代、平成生まれの対決
表彰式の壇上では、優勝の京弥選手、準優勝の三原選手のコメントが実に興味深かった。
開幕戦優勝、第2戦3位、そして準優勝と絶好調街道を驀進中の三原選手に、MCがAOY(=年間優勝)へ向けての抱負を求める。
三原「(ライバルが)横にいるんで…」。
対する京弥選手は、最終日のゼロに関してこんなコメント。
京弥「坂東谷川で三原さんにボコボコにされて…」。
今戦に限っては、勝負に勝って試合に負けた三原選手、勝負に負けて試合で勝った京弥選手の構図。互いが常に意識せざるを得ない理由がある。
AOYレースは現在、さらにリードを広げ三原選手が暫定首位をキープする一方で、前戦までの9位から背後まで迫った京弥選手が暫定2位に控えている。
2019シーズンも残すはあと2戦。9月6日からの霞ヶ浦、10月11日の桧原湖のみ。経験値が問われるトップ50伝統の秋の2連戦。共に20代、平成生まれの若き次世代NEWヒーローたちは終盤戦をどう戦い抜くのか。今年の秋が今から楽しみだ。
*大会結果及び詳細は、JBNBC公式サイトNBCNEWS(https://www.jbnbc.jp)を参照ください。