ビッグベイトジャンキーに捧ぐ“価値ある1尾”を引き出すシーバスロッド【プレジールアンサー・ソップモッドPA-B80(ゼナック)】後編



現在発売中のルアーマガジンソルト12月号(10/21発売)のメイン特集である「シーバスオリジナルスタイル」において、ひと際異色のフィッシングスタイルを放つアングラー「衣川真悟」。ビッグベイトでシーバスを仕留めることに執念を燃やしている衣川さん。ビッグベイトでゲームが成立することがわかってきたときに気づいたのが、専用ロッドがあればさらに魚を手にできるということだった。今回は“鱸道維新”の名にふさわしい、革命的シーバス専用ビッグベイトロッドの真相に迫る



ビッグベイトで魚を出すのがたまらない兵庫県人

これ1本で“すべてをこなせる”シーバス専用ビッグベイトロッド

プレジールアンサー・ソップモッドPA-B80(ゼナック)

衣川さんのビッグベイトスタイルを詰め込んで完成したのがこの“SOPMOD(ソップモッド)”だ。チタントルザイド採用のスパイラルガイド、18サイズのTCSシート。ワン&ハーフジョイントなどあらゆる部分にこだわりが見える作りとなっている。

●全長:8ft ●継数(本):2 ●ルアー:15~100g ●ルアー(ベストマッチ):30~70g ●ライン:PE3~5号 ●リールシートサイズ:TCS-18(富士工業製)●価格:5万5000円(税抜き)

“流用性の高い”ビッグベイトロッドが必要不可欠だった

衣川さんのビッグベイトの使い分けなどはルアーマガジンソルト本誌12月号に詳しく記載をされているのでそれを見てもらうとして、その釣りを成立させるのに欠かせない衣川さんプロデュースのビッグベイト専用ロッドについて今回は掘り下げてみたい。なぜかというと、このゲームにおいてロッドの役割は説明が必要なほど大きいから使うルアーが特殊なだけに、ロッドも特殊なものがどうしても必要となる

衣川この釣りは安易にほかのロッドで流用できると言えないと思います。僕もいろいろ試しましたから」

衣川さんが多用するビッグベイトは70g前後のウエイトがある。まずはこれを背負えることが大前提。

衣川「命題の1つが、『重量級ルアーの重さをバックスイングで十分にロッドへ乗せ、余裕をもって振り抜けること』でした。フルキャストできるだけでもダメで、狙って投げられるアキュラシーも大事です。それを実現するために、しなやかな曲がりにこだわりました」

なぜならば、小河川や水路など、小場所のピンスポットを撃つこともあるからだ

 ビッグベイトをフルキャストできる

基本性能として、重量級ルアーがキャスティングできることが前提。

衣川「しなやかに曲がり、バックスイングでルアーのウェイトをロッドに乗せ、しっかりと振り抜くことができます。しなやかな曲がりは、キャスティングだけでなく、操作性やフッキング、ファイトに至るまでのすべてに関係するので、それぞれの条件を満たすのが大変でした」

アキュラシーを出しやすく距離感がわかりやすい

沖でボイルしている魚を狙い撃つことがあれば、小場所では強さのあるルアーを使うだけに一撃で仕留めなければならない。そのためには、アキュラシーの良さも必要だ。

衣川「曲げて投げる。つまりタメて投げられるロッドなので、アキュラシーが良いです。距離感もわかりやすいので、ナイトゲームでもピンスポットが狙いやすいです」

衣川「ショートキャストのしやすさも大事でした。普通サイズのルアーを入れざるをえないこともあるので、できれば1本で軽いルアーも投げたかった。ジャークなどのアクションの付けやすさも大事でした」

これが実現できれば、ビッグベイトにも対応できるバーサタイルシーバスロッドができるくらいのハイレベルな要求だった

ショートキャストもしやすい

小河川や水路までを網羅する衣川さんにとって、ショートキャストやピッチングでピンスポットを撃ち抜く場合も多々ある。近距離戦の性能も必要不可欠だった。

衣川「ロッドが柔らかすぎても硬すぎても、ショートキャストがしづらくなります。ショートキャスト性能も重視したところです

軽量ルアーもキャストできる

2016年のルアーマガジンソルト12月号&シーバス王vol.8の取材時には12gのラパラCD9で70cmフィッシュを一撃で仕留めた。

PEラインを基準にしたガイドセッティングを煮詰めた結果、バックラッシュが少なく、抜けが良いスパイラルガイドの採用に至った。その恩恵としては、軽量ルアーも扱えるメリットが生まれた。

衣川100gのビッグベイトだけでなく、15g程度の軽量ルアーもストレスなくキャストできます

小径ガイドのスパイラルセッティングは、バックラッシュを抑えるだけでなく、自然な曲がりになるためブランク本来の性能を引き出しやすいメリットもあった。

衣川「良いことづくめです。FGノットなどの小さいノット、長すぎないリーダーと相性が良いです

ジャークなどアクションを付けやすい8ftの長さ

ビッグベイト系の釣りは、ただ巻きだけでなく、ジャークするなど、ルアーを操作することが多い。

衣川「長すぎると操作しづらく、短すぎるとバラシが増えます。それで実戦から導きだしたのが、8ftという長さです。リアグリップが短く、リールシートより前は長いので、一般的な8ftロッドよりは長めで、ウェーディングでも水面を叩かず、取り回しで引っかからない長さです」





掛けて獲るときもロッドの曲がりは重要

衣川「硬いマスキー用ロッドを使っていたときはバラシが多かったので、しっかりとフッキングできるだけでなく、ちゃんとランディングできるところまで重視しました

シーバス専用ビッグベイトロッドのもう1つの命題が、『急激な魚の動きに応じてパワーを出し入れでき、ファイト中は一定のテンションを維持し続けられること』だった。

衣川「エラ洗いや足元でのツッコミなど、シーバスの激しい荷重変化に対応できること。これはしなやかに曲がるロッドでないとできない芸当です」

シーバスの吸い込みバイトをフッキングに持ち込める

硬いマスキー用ロッドを使っていたときにフッキングの悪さに閉口した経験が活きている。

衣川「シーバスの捕食スタイルは、ルアーの近くで吸い込み、その後反転するので口の中にルアーが入ることは稀です。ルアーが大きいですし、それを獲っていくのが難しかったのと、とにかくバレやすい、70cmのアジなので(笑)口切れとの戦いです。そこはロッドで補ってやる必要があると痛感したので、それがしっかりとフッキングできる性能をもたせてあります」

常に一定のテンションを保ち、魚とやり取りできる

シーバス自体はそれほどウェイトのある魚ではないが、エラ洗いや足元での急激なツッコミなど、ファイト中に荷重変化が多いそれがバラシの大きな原因になる

投げる、動かす、掛ける、獲る。ビッグベイトで魚を手にするための一連の動作を高い次元でこなせるビッグベイト専用ロッド“SOPMOD(ソップモッド)”は、このようにして誕生した。

衣川「大きいから投げるのが大変、大きいからバレやすい。そんなビッグベイトゲームだからこそ、ロッドでその弱点を補ってやる必要があるわけです」

おかっぱりだけでなく、ウェーディング、ボートゲームなどにも対応し、他のターゲットも攻略できるほどの高い戦闘力を持っている

衣川さんのタックルセッティング

●ロッド:ゼナック・プレジールアンサー・ソップモッドPA-B80(ゼナック)●リール:カルカッタコンクエスト301もしくは300(シマノ)●ライン:PE4号●リーダー:ナイロン40lb 70cm~1m


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