究極の血抜きの津本さんに、江戸前シーバスを釣って締めていただき、お寿司にしていただいたお話



何度も告知させていただいていますが、ただいま話題の「津本式・究極の血抜き」の完全解説本が小社から来年1月に発売予定。ただいま、急ピッチで取材をすすめております。今回はそんな取材シーンから抜粋して、実は釣り人(ただしブラックバス)だった津本さんの、東京湾シーバス釣行の様子をすこーしご紹介! いつもはリリースするのですが、今回はお寿司のネタにすべく、少量キープさせていただきましたぞ!

【Profile】
津本光弘(つもと・みつひろ)
革命的とも言える、血抜きの方法で魚を仕立て熟成させて、ポテンシャルを引き上げる、「津本式・究極の血抜き」の開発者。腐敗や臭みの原因となる血を完全に取り除き、長期熟成に耐えうる仕立てをすることで、いままでにない魚の旨味を引き立てる。その方法をYouTubeなどで公開したところ大きな反響を呼び、現在、釣り人や料理人、学者などの注目を浴びている。



現場での血抜き、最適解を取材するために、シーバスボート取材を敢行!

津本さんが東京湾のシーバスフィッシングを楽しみつつ、釣り人向け、津本式・究極の血抜き実践方法を解説してくださるとのことで、先日、取材をさせていただくことになりました。集まったのは、普段、津本式を実践したり、津本さんの卸す魚を仕入れてお客様に提供する東京のお寿司屋さん「sushi bar にぎりて」のメンバーと、津本式のコミュニティに所属する岩崎和也さん。そして、主役の津本光弘さんご本人。

出船をお願いしたのは、シーマンさん。

東京湾には遊漁船がたくさん。

休日でしたので、東京湾には結構な数の釣り船が浮かんでおりました。流行ってるな〜!

主役の津本さんはバスフィッシャーマンなので普段は、海釣りはされないのですが、同じバス繋がりということでシーバスを狙うことに。そ・し・て! 昼便はそれなりにテクニカルながら、アタリが出続けるいい展開に。津本さんもテンポよく釣果を重ねていかれます。

ただいま、東京湾の各ボート船、シーバス絶好調との報が入ってきていますので、釣りが気になるお方は要チェック!

メタルバイブの反応が良い日でした。
釣果を重ねていきます。

釣った魚を、数尾締めまして、豊洲の魚屋さんに持ち込み、津本式を施します。徐々に理解をススメていくと、前回も記事にしました、エラ切りの方法がかなり重要なことがわかってきます。エラ切りの方法を間違えると、極端に言うと、津本式を施術できなくなります。ご注意を。津本式を知っている、やっているという魚屋さんや釣り人、船長クラスでもココを間違ってらっしゃいます!

豊洲の大元さん、ご協力ありがとうございます! こちらで魚を仕立てさせていただきました。佐久間さん感謝します! 佐久間さんは津本さんから津本式の認定を受けた豊洲市場内の第一号とのこと。
血抜き完了。個体によりコンディションはさまざま。魚の目利きって大事なんだなと気付かされます。津本さんは魚の「ポテンシャル」と呼んでらっしゃいましたね。




江戸前のスズキを食すことに、やや懐疑的な編集者。いざ、お寿司とご対面。

数日後に、釣りにご一緒いただいた東京は西新宿のお寿司屋さん「surhi barにぎりて」の保野 淳さんに釣り上げたシーバスことスズキの熟成をお願いし、食しに行くことに。

なぜ、個人的に江戸前の魚に懐疑的かというと、味は濃いけどフワリと香る江戸前魚独特の東京湾臭さがちょっと苦手だったのであります。でも、そんな臭みを津本式を施せばほとんど臭わないとおっしゃるので、興味津々。

奥が保野さん。右が、オーナーシェフの土屋景一さん。
もう、10日寝かせたとかくらいじゃ驚かない! けど、やっぱり凄いなー。それぞれの魚のとあるタイミングを計ってにぎりてさんでは、熟成魚を提供している。そう、こう名付けました「旨味のゴールデンクロス・ポイント」と。これについてはいずれwebではサラリの解説。本では詳しく解説予定。

にぎりてさんでは、津本さんから仕入れた仕立て魚を熟成させたものと、独自の仕入れで津本式を施して提供するラインがあるようです。コガネマルコバンってなんやねん? と一瞬思いましたが、メニューを二度見!

メニューに僕の名前が! やっぱり〜ポンって昭和臭するから、ぽよに変更するっ!(しません)

ワシが釣ったスズキがメニューにのってるやないかい! 津本さんや岩崎さんの名前も! 個人的に気になるのは、自分の釣ったスズキはやや痩せていたということ。プリっとしたスズキは岩崎さんや津本さんが釣られたのを持ち帰りました。

左のスズキと右のスズキ、色が違いますよね。これも魚のポテンシャルの違いだということがわかった。

ということで、保野さんが、僕の釣ったスズキと、津本さんや岩崎さんが釣ったスズキを並べられました。ん。確かに、大きいけどワシの釣ったスズキは痩せてて脂がイマイチな気がする。一方、津本さんや岩崎さんが釣ったスズキは脂がのっているし、身が白くありません?

保野「ポテンシャルという部分ではやっぱり左には劣ります。理由は後ほどお教えしますね。では、まず、フカポンさんの釣ったのをまずは食べてみますか? ちょうど5日寝かせています」

確かに、比べると脂はのっていませんが、食べれば普通に美味しいスズキ。では、ありますが….。でも

そういや保野さん。今回の取材タイミング、5日くらいがベストとおっしゃってましたが、もしかして魚のポテンシャルに関係しているのかもしれませんね。

保野「魚の体格や触った感じなどで、頃合いが5日くらいがベストだと今回は判断しました」

なるほど。そのへんの見極めや、ノウハウがある意味「熟成」のテクニックなのですね!

ほな、遠慮なくいただきます。

あ、お? いや、普通に美味しいですけど….。あの独特の臭みもホントないですね。脂がイマイチのっていないという部分はありますが、美味しい白身魚、スズキのお寿司ですよ。普通なら、「あらま♡」と、有閑マダムが小指を立てながら、「おいしゅうございました」と感想を漏らすレベル。

では、こぶりながらプリプリしてたほうをいただきます。

同じ日、ほぼ同じ場所で釣れたにもかかわらず、選んで持って帰ってきた、プリプリのスズキ。

!? え、全然ちがぁあああう! 同じ釣り場、同じタイミングで釣れた魚たちなのに、これほどまでに個体差があるのぉ!? こっちのほうが、熟成具合もなんかモチっとしていて甘みがあって、脂が口の中で縦列行進してますよぉ!?

保野「この辺の感覚はなかなか伝えるのが難しい所ですが、素晴らしい経験ですよ。釣れた時のポテンシャルからその後のポテンシャルを食べ比べ。明らかに、その差を感じれた貴重な経験ですよね。産地は同じ、なんなら同じ場所でも魚1匹1匹違うんです。それを大まかに旬とかの言葉で締めくくるのはおかしいと思いません? 津本さんが良く言ってることですが(笑)」

おぉぉ、確かに….。個体差はデカイですね。どこどこの産地だからとか、旬だからとかだけでは、確かにアテにはなりませんね。

保野「フカポンさんのは腹のあたり、体表が赤みがかっているのがわかるとおもいます。これは身が疲れている現れと思われます。基本的に肌目が赤みがかったお魚は身に力がなくあまり熟成も伸びません。おそらく内臓も軽く鬱血していたかと思われます。スズキはストレスを受けやすく疲れやすい魚だと認識しております。ストレスを受けて真っ白になってしまう個体もあれば、このように疲労で赤みを帯びる個体もあります」

なるほど、魚を持ち帰る人はこういった目利きができると、無駄に魚を持ち帰らなくてすみますね。美味しく食べるということであれば、ある意味、釣った後の処理の仕方も大事ですね! それに、美味しい魚の見極めができれば、資源の保全にも役立つ。

そして津本式の最大の真骨頂、足の早い魚を長期保存することが可能という特性を十二分に活かせば….。色々と学ぶべきことが多い….。

そういった処理に気を使える釣り人って、津本さんも再三言ってるように、やっぱり美味しい魚を食べられる最前線にいますね!

津本式をとりまく、もろもろ…..深いっ! ガンガンその深みを掘り下げさせていただきます! 本にもご期待くださいませ!