30年以上の歴史を持つメガバスにとっても稀有なプラグができるまで
ここからはメガバスのこれまでのルアーを思い出しながらバーニングシャッドに至る経緯を探ってみます。
ポップXやドッグXなど、メガバスにはたくさんのサーフェスプラグがありますが、リップ付きのものとして最も古いルアーになるのはおそらくプロップダーターだと思われます。
シャイナー形状のミノーであるX80をベースに、2000年に誕生したルアーです。翌年にはマイナーチェンジしていますが、すでに20年以上のロングセラーアイテムとなっています。
続いて2003年に登場したのがグリフォンゼロ。
グッドデザイン賞も獲得しているクランクベイト・グリフォンの発展形として登場しました。
そしてこのグリフォンゼロはなんと、バーニングシャッドにも搭載されているジャイロバランサーシステムが初めて搭載されたルアーでもあるのです。
そういう意味ではグリフォンゼロはバーニングシャッドの源流であるともいえそうですね。
ちなみに、このジャイロバランサーシステムの根幹ともなるシャフトバランサーシステムを初めて搭載したのが2001年に登場したビジョン95。わずか1年でこの画期的なシステムを考案しているのだから驚きです!!
さて。ここまで紹介してきた2つのルアーは今でこそメガバスのルアーではありますが、当時は別ブランド、ITOエンジニアリングの製品としてリリースされていました。
次に紹介するルアーこそがメガバスのリップ付きトップウォーターとしては元祖かもしれません。
それが2004年に発売されたコチラ。
グリフォンゼロのシャフトバランサーシステムが移植されたアンスラックス。
天地逆さまのままとはいえこのベイトフィッシュライクなプラグが見せるアクションのド派手さは、今見ても物凄いインパクトです。
インパクトと言えば、トップウォーターのジャンルでありつつメガバス初のビッグベイトでもある2005年デビューのITジャックシリーズの登場も印象的だったのではないでしょうか?
元祖ビッグベイトと呼ばれることもあるフィッシュアローのモンスタージャックに、メガバス(厳密には当時のITOエンジニアリング)によるチューニングが施されて発売されたものがITジャックシリーズです。サイズ違いでノーマル、ジュニア、ベビーの3種類がありました。
大質量のボディを水面で暴れさせながら、ウッドボディならではのジョイント部分の接触音や、金属パーツによって奏でられるサウンドが混ざり合うハイアピールルアーでした。
その後もリップ付きのトップウォータープラグはぞくぞく登場しておりますが、面白いのは2007年にリリースされたラットXでしょうか。
往年の名作・メドウマウスのオマージュともいえるネズミ型のサーフェスプラグです。
メガバスらしからぬ可愛らしい見た目とは裏腹に、ヒョウタンを用いた伝統漁法から着想を得ているというメガバスらしいエピソードが添えられているというのが印象的でした。
なおこれ以降も、2011年の卯年にZバド(USAバージョン)、2012年の辰年にドラゴンバド、2016年の申年にゴングと、動物モチーフのウェイクベイトはいくつも誕生しています。
そして2015年、ITジャックのサウンドパワーに着目して誕生したのがIジャックです。
ラダーアクションバランサースシステムという機構が搭載されており、これはITジャックのジョイント部分から発せられるウッドボディならではの「ポクポク音」を再現するために生み出されたものでした。
そのラダーアクションバランサースシステムですが、内蔵された左右に動くフラップの先端に取り付けられたウェイトがボディ側面にヒットすることで音を発すると共に、倒れこむようなロールアクションを実現するものとなっています。
そう、アクションに影響を与えるウェイトとしては、ラダーアクションバランサーシステムはオーバーレブクランクやバーニングシャッドに搭載されているジャイロバランサーシステムと同様の狙いがあるのです。
そのためIジャックも、フラットサイドボディとローリングアクションがあいまって放たれるフラッシングや引き波が武器のルアーでありました。
そしてIジャックの誕生から数年後、まったく別の角度から似て非なるルアーの開発がスタートしました。
それが昨年リリースされたオリジナルのオーバーレブクランクです。
当初からIジャックに似たコンセプトで開発が進められていたようですが、ラダーアクションバランサーを組み込むためには相応のボディサイズが必要なため、オーバーレブクランクには不適合だという結論にいたったのは開発ブログにもある通りです。
そしてオーバーレブクランクは人気ルアーとなり、2020年、今回紹介したバーニングシャッドの誕生へと至ったわけなのです。
30年以上という長い歴史があるからこそ実現したルアー。
それがO.R.C. バーニングシャッドなのです。
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