エギは通年3.5号がスタンダードサイズだが、秋になると3号が活躍するシーズンも多い。そんな中、日本海は丹後半島をメインに活躍するエキスパートエギンガー・木下さんは通年3号エギを使い続けている。新たなスタンダードにもなり得る3号エギの魅力を教えて頂きました!
3号を「スタンダード」にする理由は扱いやすさ!
フォールスピードの遅い3号エギこそメイン!
皆さんが、年間を通してスタンダードとして使っている使用頻度の高いエギは何号だろうか? 近年、海水温の上昇に伴い海域を問わず大型のアオリイカが釣れるようになり、秋の新子シーズンを除くと全国的にみても一般的には3.5号がスタンダードになっていることだろう。
木下「秋はもちろん、シーズンを通して僕は3号がメインにしています。こだわってるというわけではなく、単純に使いやすいところが、その理由です」
そう話すのは日本海側のフィールドを主戦場とする木下大介さん。
木下「3号エギの一番の魅力は3.5号よりも、フォールスピードがゆっくりなところでしょう。基本的に僕は、エギは常にゆっくり沈ませたい。過去の実績を見てもこの『スローフォール』が有効なシチュエーションは多々あります。このほか、有望ポイントである磯際やシモリ周り。フォールスピードが速いエギだと根掛りのリスクも高くなりますが、それも回避しやすいところも特徴です」
3号エギの魅力
木下さんが愛用するラグゼ『エヴォリッジ』3号のフォールスピードはベーシックで約3.5号/m。3.5号で約3.2秒/m。シャローの3号で約4.5秒/m。3.5号で約4.2秒/mとなっている。
木下「できるだけスローな方が大型には向いていると思います。特に春はスローに見せた方が効果的です。いろいろサイズやタイプを使い分けますが、今回皆さんに注目してもらいたいのが3号。小型にも大型にも当てはめられる汎用性の高さがあります」
確かに、近年プレッシャーも高まりアオリイカのスレも進行しがち。そうした個体にはスロー誘いが効果的という意見も多い。さらに、根掛りを回避できれば手返しもよくなる。
木下「3号って皆さんが思っている以上にオールマイティーなんです。だから僕は春イカシーズンにも3号を使う。イカが大きいからといって3.5号や4号だけに反応するわけではありません。通年狙い所となる藻の周辺も攻略しやすいんです。例えば、藻面に乗せたり藻面までの浅いところゆっくり落とせるのは3号の強みだったりします」
木下さんにとって3号は秋の新子にもマッチさせやすく、さらに春の親イカに警戒心を与えにくいサイズのようだ。
木下「それに3号はシルエットが小さいんで大型も抱きやすく、大型に限って小さいエギへの反応もよかったりもする。『新子やから小さいエギ使ってるの?』と聞かれたりもしますが、それだけじゃなくてゆっくりフォールさせてアピールすることで、少しでもいいサイズを狙っているんです。それが最大の目的なんですよ」
3号のシルエットとフォールスピードは、良型をも引き出す『鍵』を握っているようだ。
木下流! エギタイプの選び方!
『エヴォリッジ』には、ベーシックとシャローとデッドフォールがある。デッドフォールは3.5号のみのラインナップ。
木下「ベーシックはラインテンションを張ってコントロールすることが前提で設計されたので他社さんのノーマルモデルよりもフォールスピードが速いんです。(3.5号で約3.2秒/m)。状況によって使い分けるんですが、デッドスローはドリフトには不向き。浮き上がっちゃうんで」
小さいエギほどスレにくい
チャンスを増やす小シルエットのパワー
サイズ狙いだけでなく、数も釣りたい。数狙いを考えた場合も木下さんは3号を強く勧める。
木下「同じ場所で数を釣りたいなら、大きくても使うエギは3号までにしたほうがいいと思います。大きなエギほどスレやすく、小さいエギほどスレにくい。だから数を伸ばしやすいんです。数を釣っていると良いサイズが混じってくる確率も上がるんです」
つまりシルエットの小さい3号エギほどチャンスが増えるというわけだ。
スレイカ対策
木下「大きいエギほどスレやすい。特に秋は3号まででいいと思います。スレさせてしまうと数が釣れなくなる。サイズを狙うにしても数を釣っていく中で出る感じなんで、スレさせないことを優先に考えてますね」
木下「エギのローテーションに関しては、大きなサイズから釣って行く方が、釣れている時合いは長続きしますね。3号から始めて2.5号という流れ。サーチ的な意味合いで3.5号から始めてもらってもいいと思います。大きいエギから入れて驚かせたとしても、その後に小さいエギを入れてフォローしてやれば乗ってくる。でも逆に小さいエギから入れて見せすぎると、その後に大きいエギを入れると食ってこないケースが多い」
この組み立てはどのエリアでも変わらないそうだ。
デイゲームのスレイカは「ベイトのいない時間」を見極める
スレたと諦める前にタイミングをズラす
木下さんのエギングスタイルは基本、デイゲームのみ。
木下「日本海側は夜ほとんど釣れないんですよ。太平洋側と違って。それと、僕、夜は怖いんで・・・(苦笑)日本海側に関しては大潮満月はダメです。明るくてベイトがたくさんいるんで、その分、イカが散ってしまうんでしょうね。だからエギに反応しにくくなるんです」
木下さん曰く、イカの活性が高すぎると、イカはベイトに着いてしまいエギには見向きもしなくなる。だから、ベイトはいない方がいいという。
木下「ベイトを探してウロウロしている個体の方が釣りやすいわけです。秋は小さいイカがベイトの群れに突っ込む姿が見られます。そういう状況はエギに反応しにくい。場所を替えるか、タイミングをズラすかですね」
確かに、ボイルが連発している状況であっても、必ずしもルアーへ反応するわけではない。高活性のイカも同様に本物のエサに狂っているときは、疑似餌に見向きもしなくなってしまうのかもしれない。
木下「よく『エギンガーが増えてイカがスレた』って言うでしょ。僕はそうは思っていなくて、単にエギに興味がないだけで、他に食べられる美味しそうなエサ(ベイト)がいるから反応しないだけだと思っています。喰い気はある。ただエギに反応しないだけ。以前に実験したことがあるんです。そういった状況でミノーを投げてみたら、チェイスして触り出したんです。だから、エギへ反応する時間と、エサを喰う時間は『別』と考えています」
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