ふける秋。釣りやすい秋。シーバスの本格シーズンがいよいよ開幕! ここでは「湾奥のプリンス」こと大野ゆうきさんのホームグラウンドでもある東京湾奥都市部エリアの攻略を、河川・港湾エリアに分けて紹介していく。
捕食しているベイトに合わせるのではなく、“ルアーをマッチさせて”より深いバイトを引き出す!
マッチ・ザ・ベイトより『マッチ・ザ・バイト』
全各地でシーバスの釣果が聞こえてくるようになった11月初旬。秋の爆釣シーズンなどとも言われるように、まさに今、ハイシーズンに突入。そうなれば、国内でも有数のシーバスフィールドである、東京湾の攻略もお伝えしたいところだ。このエリアを得意とする大野ゆうきさんに、実釣と合わせて解説をしてもらった。
大野「釣ろうと思えば、とくに潮回りは関係なく釣れると思います。一番大事なのは“ベイト”の存在ですね。シーバスはこのベイトを追って泳ぎ回っています。逆に言えばベイトがいなければ釣れる可能性も低くなる」
ベイトも数が圧倒的に多いのが秋。当然ながらシーバスの数も多い。釣り場も選べないほど、様々な場所にシーバスが入ってくる。
大野「事前にリアルタイムでベイトの有無を把握できればいいのですが、行ったらいなくなっていたり、位置を特定するのってなかなか難しいんです。やはり、ランガンでポイントを回るのがベストですね。見えていなくても、深いところにいたりするので、探っているうちに把握できちゃったりします。今回は、港湾と河川、とくにエリアを区切らず釣りをしてみようかなと」
最初に入ったのは河川エリア。ウェーディングをしながら遠くのブレイクを狙う算段だったが、入ろうと思ったポイントにはすでに先行者の姿が…。
大野「まあ、よくあることです。次、行きましょう!」
いいシーズンであるからこそ、それに比例するように、釣り人の活性も高い。当然ながら、トラブルも起きやすいので近くに釣り人がいる場合はとくに、周囲に気を遣うべきだろう。
釣り人増加に伴うマナーについて
大野「最近、コロナの影響か、都市港湾部および河川エリアの釣り人が急激に増えた感があります。それと同時に、マナーに関する問題が聞こえるようになってきました」
橋脚周辺にキャストする際にはとくに気を付けてほしい、と大野さん。通行人にルアーを当ててしまう事故も起きているので、キャストに自身のない人はまず慣れることが必要だ。
大野「僕の場合はミスキャストしたら即座にスプールを抑えます」
河川のウェーディングも干潮時と満潮時にあらかじめ下見をしてから入るなど工夫しよう。
「魚がどこにいるのか? 上を見ているのか、下を見ているのか? 小さいベイトを喰っていても大きいルアーにしか反応しなかったり。釣り全般に言えることだと思いますが、パターンはあれど、細かな攻略となると一筋縄にはいかないものです。僕はルアーに関しては“マッチ・ザ・ベイト”の考え方はそれほど意識せずに、“どうすれば魚が口を使うか”という部分に集中するようにしています。ベイトはあくまでも、シーバスが入ってくるきっかけというイメージですね」
これは、ルアーをシーバスが捕食しているベイトに合わせるのではなく、より深いバイトを追求する“マッチ・ザ・バイト”。大野さんが提唱する考え方である。
釣り場によって、使うカラーについては?
大野「経験上の、ある程度の基準は設けていて、濁っていれば視覚的に派手なパールやチャート。クリアならリアル系を結ぶことが多い。でもこれもあくまでも基準であって、セオリー通りにいかないこともある」
パターン① 河川ウェーディング
サッパに付いたシーバスを明暗周辺で狙う
川の流芯部は流れが速く、ボトムが掘れてミオ筋が形成される。その周辺のカケアガリの上は浅場で流れが緩み、流芯との流速差が出来て、潮目が出来る。
大野「今回入ったポイントの場合、シャローの先からなだらかなカケアガリになっていて、沖の最深部は総じて4~5mくらい。カケアガリの先は流れが走り、手前のシャローは流れが緩い。そこに流速差による潮目ができる。イナッコの場合は、カケアガリ付近や潮位・流れによりルートが変わります」
そうしたタイミングでは、デイゲームも成立しやすくなるという。
「トップにも出るし、表層デッドスローで引く釣りも秋だからこそハマったりします」
ナイトゲームを終え、感触は?
「今回のメインベイトはサッパでした。4cm前後から、大きいのでは10cm弱くらいの個体もいました。周辺にはコノシロも入っていましたが、このシャローには入っていませんでした。サッパは目視で見えるくらいたくさん入っていました」
代表的な河川の3大ベイト
ベイトを追いかけるように移動するシーバス
大野「秋の河川のベイトと言えば、イナッコ、サッパ、コノシロ。代表的なものはこの3種類。釣ろうと思えば潮回りに関係なく、釣れるけど。シーバスはベイトとともに移動しているから、ベイトがいなければシーバスもいません」
ベイトが豊富と言えど、釣り場に入ってこなければ釣りは難しくなることも。
大野「潮が影響する場所は、潮に合わせて動くので、時間を置けば入ってくることもあります」
狙い所はどこでしたか?
大野「ウェーディングメインなので、遠くにポイントがあるシチュエーションが多かった。だから遠投性能に長けたルアーを多用しました」
この日、釣果が集中したのは橋脚周りの明暗周辺だった。
大野「東京湾奥の秋爆パターンのひとつですね。とにかく魚影の濃い流域を見つけることが大事で、サッパの密度が濃いほどシーバスも多いですから」
サッパの有無の確認は?
大野「潮位が高い時は流れの緩い岸際にびっしりいるのが目視できたり、、流心でピチャピチャやったり。見えなくてもどこかのレンジにいる可能性があるので、実際に竿を出してみないとわからなかったりします。サッパは夜のほうが表層に浮きやすい傾向にあります」
流れに影響されるベイトの動き。河川の明暗周辺に勝機あり!?
河川にサッパの群れが入ると流れに乗って動くそうだ。
大野「たとえば満潮から下げでは、岸際にいたサッパが流心側に流されていく。逆に干潮から上げの場合は流心から動いて流れの緩い岸際に入ってくる。流れがあってサッパの群れが入っている時は、橋脚の明暗にチャンスあり!」
パターン② 港湾エリア
河川のサッパに引き続き、港湾のイワシ&イナッコ
取材日は、湾奥河川ウェーディングと港湾オカッパリのハシゴ釣り。河川を攻略したあとはウェーダーを脱いで、港湾エリアを目指した。
大野「足元には5cmくらいのイワシがいっぱいいて、イナッコも浮いている状況。水面もざわざわしていたし、明らかにこの2つのベイトにシーバスは付いているようでした。ただ、水の透明度が非常に高かったですね」
秋の湾奥は水質悪化を境にベイトフィッシュがシーバスを連れてくる
大野「東京湾奥は南向きになっています。夏は南風に吹かれるため水質が安定するのですが、秋になり北風が吹くとターンオーバーして潮の上下が入れ替わるタイミングがあるんです」
すると青潮が発生し、大量のサッパがシーバスを引き連れるようにして川に逃げ込んでくるそうだ。
大野「秋が進行し、徐々に水温が下がると、今度は岸寄りにカタクチイワシの群れが発生。彼らもシーバスを連れてきます」
透明度が高いときはどういう点に気を遣えばいい?
大野「見切られやすいので、見切られないようなアプローチを心がけます。当日のヒットルアーは『ガルバ73(DAIWA)』。水面ギリギリのレンジを自動的に攻略してくれるんです」
このメソッドで5~6つのバイトを拾えた。釣り場の近況がよいことは釣果を見ても明らかだった。
大野「逆に潜らせると反応が悪かったのもあります。これからどんどん水が澄んでいくので、こうした“見切られやすい”状況は多くなってくるでしょう。ただ巻きだけでなく、ジャークを織り交ぜたりするのも有効ですね。流れが効いてるタイミングや、荒れ気味だったりすると、ただ巻きでも喰ってきます」
河川のサッパ、そして港湾のイワシ&イナッコで“秋爆”を堪能することができた1日だった。
大野「秋のイワシは一度接岸すると長く居続けます。鳥が水面に差していたり、ボイルが発生すればほぼ確実にいます。河川のサッパと同じように、例年11月下旬くらいまで楽しめますよ」
港湾部のベイト
湾奥の運河などはよりベイトが豊富
大野「港湾部には、河川と同じようなベイトに加えてカタクチイワシも入ってくる。もっと細かく言えば、アジや小サバなんかもいます。秋のベイトはとにかく種類も量も豊富。護岸際やガレ場では、居着きのシーバスがエビやハゼを狙っていますよ」
当日の使用ルアーはこちら!
河川でメインに使用するのは『遠投』を軸としたルアーをチョイス!
大野「ロッドもそうだけど、魚が遠いことも多いから重たいルアーが活躍してくれます。『ガルバシリーズ(DAIWA)』は総じて飛ばしやすく、水面ギリギリを引きやすい。『グラバーHi68(邪道)』はちょっとレンジが入った状態でシンキングペンシルのように扱えるので、あまり強い動きを出したくない時に重宝します。水深の浅いエリアのボトム攻略なら『ヨイチ(アムズデザイン)』ですね。
港湾部では、澄んだ水で“見切られない工夫”をしたルアーをチョイス!
港湾部で鍵を握ったのは水質。
大野「当日は結構水が澄んでいました。こういう時は潜らせると反応が悪くなることが多いので、『ガルバ73S(DAIWA)』を投入。半ば自動的に水面ギリギリを泳いでくれるんです。結果的に多くのバイトも拾えて、魚も連発しました」
これからの時期は水が澄んで見切られやすくなるため、アクションを加えるなど見切られない工夫が必要になってくるそうだ」
大野「今回はナイトゲームだから使わなかったけど、日中だったら鉄板バイブレーションにのダートなんかもいいですよ」
標準自重(g):45
潜行レンジ(cm):0~約20
アクション:スローピッチ ワイドスイング
飛距離(m):最大 79.5 / 平均 75.9
フック仕様:ST-46 #1 トレブル / リング #4
大野ゆうき監修。ランカーシーバス、青物攻略に最適な大型ファットシンキングペンシル。
サイズ(mm):110
標準自重(g):22.5
フック仕様:#4 トレブル
サイズ:73mm
自重:12.8g
潜行レンジ:水面直下~20cm
フック仕様:ST-46#8トレブル#2リング
標準自重(g):10
フック仕様:ST-46 #10 トレブル
「湾奥のプリンス」大野ゆうき監修。水面直下を広範囲で探り、緻密に攻めれる。
タイプ:シンキング
サイズ:80mm / 重量:18g
カラー:チャートバックパール #YI80-003
タイプ:シンキング
サイズ:68mm / 重量:11g
カラー:ブラックポーション #14