寒い時期のバス釣りならこいつで深場を攻略! バンタム Btバイブソリッド[シマノ]



大きな口を開けて、ボトムに追い込んだエサを吸い込んでいるかのような独特なデザインのNEWルアー。リップレスクランクとメタルバイブのハイブリッドとも言うべき新基軸スモールハードベイトが、誰もが手を焼くウィンターゲームに風穴を開ける!!



バンタムシリーズ2020最後の隠し玉

マイクロスイムベイティングという新たなカテゴリーを築いた『Btベイト99SS』にはじまり、狂鱗・AR-C・フラッシュブーストという最先端テクノロジーの粋を集めた『ワールドミノー115SPフラッシュブースト』、そして極太ワイヤにBtブレードを組み合わせてディープエリアにおける横方向へのサーチを容易にした『スウェジーストロング』と、シマノは2020下半期に入ってから斬新なアイデアと高い技術力の融合たるバンタムルアーを次々に市場投入して話題を集めた。いずれも季節に則した即戦力ばかりであり、SNSでの一般アングラーによる釣果ポストは枚挙にいとまがない。

そんな新作攻勢のトリを飾ったのが、水温低下とともにタフ化していくまさにこれからの時期に欠かせないアイテム、『Btバイブソリッド』だった。バスがラージマウスを開けてエサを捕食する瞬間を彷彿させるユーモラスなボディデザインは、どちらかといえばファンシーなエンジョイフィッシングの方向性を感じるかもしれない。しかしそれは、あくまでも機能を追い込んだうえでの結論。必然の造形なのである。

シマノフィールドテスターであり、『Btバイブソリッド』の開発に深く関わった黒田健史プロにご登場願い、このルアーを軸に据えて晩秋から初冬へと切り替わるタイミングのリザーバーを攻略してもらった。

【Profile】
黒田建史
くろだ・けんし/たとえスポンサーのアイテムでさえ、歯に衣きせぬ黒田節で「ダメなものはダメ」と言い切るインフルエンサーにしてJBトップ50プロ。トーナメントプロの節目ともいうべき齢35を迎えた今年、勝負に出るつもりだったがコロナ禍により全試合が中止に…その鬱憤を晴らすだろう来季に注目!!

バンタム Btバイブソリッド(シマノ)

【Spec】
●重量:7グラム、10グラム ●全長:45ミリ ●カラー:全12色 ●タイプ:シンキング ●価格:1200円(税込み)

樹脂ボディならではのクリア系カラーがローテーションの幅を広げる

7g(上)と10g(下)

メタルバイブでは絶対にラインナップできないクリア系カラーが揃うのは樹脂ボディならではの特権。

黒田「メタルルアー=フラッシングのイメージが強いですが、バスが明らかにそれを嫌がるケースもあるんですよ」。

2ウエイト同サイズを採用。口を見れば重さは一目瞭然。

7gと10gの2タイプあるが、頭部のウエイトルームに入れたシンカーの重さが異なるだけでボディ形状は一緒。ウエイトは口に記載されているので迷うことはない。

根掛りの不安も最小限!

このままの姿勢でシミーフォールし、ボトムが平らであれば着底後も倒れてしまうことはほぼない。しかもアクション時は背中側がダンパーの役目をはたしてくれるため、根がかりも少ないのだ。

黒田「着底時はこんなふうにボトムで立ちます!!」

クローム系カラーはすべて狂鱗をまとう

実際の魚の鱗を忠実に模写してアウトライン化、重なり方までそっくりそのまま再現したシマノ独自のリアルホログラムパターン『狂鱗』カラーを6色ラインナップ。単なるクローム系とは一線を画す輝きでバスを魅了する。

独自のボディデザインと一点集中のウエイト配置がシミ―フォールを生み、スイム&着底時の姿勢安定も確保

リフト&フォールのイメージ。フォール中はゆらゆらと左右に揺れるシミーフォールで誘い、着底後も横倒れしないため、ロッドをあおれば(リフトすれば)ゼロタイムでタイトなバイブレーションを演出できる。ボトムでステイさせると食ってくるケースもある。

個性の塊

黒田「時期的にこれから活躍してくれるのは間違いないんですが、ぶっちゃけBtバイブソリッドは一年中使えるんですよ。リップレスクランク、いわゆるバイブレーションプラグは春~秋に起用しますよね。メタルバイブはその特性上巻くと暴れすぎてしまうので基本的にはリフト&フォールがメインになるじゃないですか、そうなるとどうしても出番が冬場に限定されてしまう。でもこのルアーなら、リフト&フォールはもちろん巻きもイケる」。

ボート縁で見せてもらったその泳ぎは、ピッチが速くタイトな振動でタイニー・リップレスクランクという形容が当てはまる。

黒田「でね、コイツはフォールもおもしろいんですよ」。

そう言って黒田プロがラインをフリーにすると、ゆらゆらと揺れながら沈んでいった。これは…。

黒田「シミーフォールするんです。ヘッドの部分が平らになってるじゃないですか。そこに水を受けて左右に揺れる。いわばリップの役割をはたしているんですよね」

同サイズのメタルバイブをラインフリーの状態で沈めてみるとわかるが、その多くはスッと一気にフォールするだけ。もちろん、そこに優劣があるわけではない。しかしリップレスクランクさながらのシミーフォールはBtバイブソリッドだからこその個性であり、コンパクトなサイズと相まって他にはないアドバンテージと言えるだろう。

まずは7gのBtバイブソリッドが結ばれたスピニングタックルを手に取り、道路跡と呼ばれるエリアでアプローチを開始。かなり沖目でボートを停めたので、ブレイクのディープ側をメインに探るのかと思いきや、黒田プロの目当てはシャロー。朝の時合いにフィーディングで差して来ている個体を狙うというわけだ。

黒田「今の時期ならこのパターンってシャッドでやるのが一般的だと思うんですよ。でも、このルアーなら代用が利く。かと思えば、魚探の反応を見て深い側も探れる。フルキャストからピン狙いにすぐに移行できるのがいいですね」

ちょっと距離が遠いのではと思ったが、PEラインとの組み合わせはまさにスピニングメタル、軽いスイングのオーバーヘッドながら30mは楽に飛んでいる。

2つのタックルを明確に使い分ける

今回の取材で主役となったのはBtバイブソリッド。それを使いこなすためのタックルとして黒田プロはスピニングとベイトを各1セットずつボートに積み、7gをスピニングに、ベイトには10gを結んでいた。その2本をウエイトだけでなくアクション面でも使い分けていく。シャローフラットでのロングキャスト(30m以上)&リトリーブはより飛距離を稼ぐために細くて強いPEラインを巻いたスピニング、ボトムカバーや地形変化を狙う近距離(10~20m)でのリフト&フォールは手返しが良くトラブルレスなベイトが中心だ。

【Btバイブソリッド10g用(上)】●ロッド:ゾディアス166ML ●リール:アルデバランMGL30HG ●ライン:フロロカーボン10 lb 【Btバイブソリッド7グラム用(下)】 ●ロッド:ゾディアス270M-2 ●リール:ツインパワー2500S ●メインライン:ピットブル8+(トレーサブルピンク)0.6 号/リーダー:フロロカーボン6lb(約50cm)

黒田さんはBtバイブソリッドそのものも、巻きとリフト&フォールで仕様を変更。巻いて使用する場合は、微かなバイトを絡めとるためにもトリプルフック2本のデフォルトセッティング、オダなどボトムカバーもタイトにチェックするリフト&フォール用にはスナッグレス性を高めるため前後共にダブルフックをに変更していた。

巻いて使用する場合、フックはノーマルのまま(上)。ディープボトムを狙うリフト&フォールではダブルフックに変更する。スプリットリングがないぶん#10から#8へフックサイズを上げてバランスを保つのが黒田流。

スピニングタックルはフラットでのロングキャスト&巻きが中心

巻いて使うBtバイブソリッドは「よく飛ぶシャッドのイメージです」と黒田プロ。巻く速さはボトムとコンタクトする兼ね合いもあるが、自分のなかで「速い・ふつう・遅い」を意識して使い分けるだけでいい。

ボトムカバーや地形変化はベイトタックルでリフト&フォール

黒田プロのロッドワークは①→④の1リフトと、①→②・②→④の2リフト。

黒田「2回リフトするのは(ソルトゲームの)ワインド釣法のクセですね(笑)。大切なのはフォール、リフトの仕方はあまり気にしてません」

風が吹き始めた途端のバイト!!

水深3m、本湖上流部に位置する単発のオダでbtバイブソリッド10gのキョウリンクロギンカラーで喰わせた! 黒田「リフト&フォールしていて、次のリフトに移る瞬間に重くなった。アタリが分からなかったんでちょっと聞いてみたらグングンと。フォールで食っていたんでしょうね」

リアフックに皮一枚! これからの時期、水温低下でスローになったバスをリアクションで反応させるケースが増えるため、こんな掛かり方が珍しくない。ロッドのしなりを活かしてていねいに相手をいなすことが大切だ。

投げ続けられる信頼のルアー

取材は11月初旬に実施した。早朝の気温はひと桁台だが日中は20℃近くまで上昇。表層水温は朝で15℃弱、午後には16℃を超えてきた。その数字を見ても、水の中はまだ冬というには時期尚早だったかもしれない。事前の情報では釣果の大部分がライトリグで、いわゆるハードベイトはほとんど釣れていないとのこと。タイミングとしては季節の変わり目であり、秋らしいかと言えばそんなようすでもない。どっちつかずの中途半端な状況がバスの口を閉ざしてしまっている…とにかくバイトが遠いのだ。

取材当日の釣り場は120cmの減水、そこかしこにオダが顔を出していた。黒田プロはまったく臆せずキワをタイトに攻めていく。スナッグレス性に優れたBtバイブソリッドならではのアプローチだ。

朝はワカサギが表層に浮いていて、それがフラットに入ればバスもシャローで食ってくるはず。時間とともにベイトフィッシュは沈み、各所のオダや地形変化でバスらしき反応を高性能魚探が捕捉するようになる。水温が上昇した午後は、再びシャローフラットも気になるところ。実際、ヘラブナの群れが差していたし、バスが混ざっていても不思議ではない。経験値とリアルタイムで得られるさまざまな情報から判断して、Btバイブソリッドの巻きとリフト&フォールをていねいに繰り返していく。傍から見ていて、そのアプローチになぜ食わないのか、不思議なくらいに反応が薄い。

黒田「ぶっちゃけリフトは1ジャークでも2ジャークでもかまいません。それより大切なのはフォール。張り過ぎずの微妙なテンションをかけて、ラインが横に逸れたり、落ちる速度が急に速まったらバイトの可能性大です」。

にも関わらず黒田プロは、2尾の1キロクラスをBtバイブソリッドでキャッチしてみせた。2尾とも、上流からおりてきて1発目のオダ(本湖の一番上流側にある単発のオダ)で、風が吹き始めた瞬間に口を使った魚だった。

ウエイトとカラーを換えて、1尾めと同じスポットからリフト&フォールでキャッチした42cm、ジャスト1kg。この魚もリアフックに皮一枚で掛かっていた。その食い方からもパターンとしてハマってはいないのかもしれないが、逆にそれでも反応させてしまうのはBtバイブソリッドの力ゆえと言えよう。

ダブルフックに換装しているとはいえ、無数にあるオダをダイレクトに狙っているのに根がかりが少ない。そのデザイン&構造上、たとえ根がかってもボートを寄せれば回収できるというストレスのなさも、値千金の2尾に繋がっているはずだ。途中、スウェジーストロングやパブロシャッドを投入する場面もあったが、結局、黒田プロは湖上で過ごした時間の9割方をBtバイブソリッドに費やしたのだ。それは取りも直さず、このルアーに対する信頼の証とも言えよう。

一年中使えるオールラウンドプレーヤー。その中でもBtバイブソリッドがもっとも本領を発揮するのは、11月下旬以降だ。





カラーに対する考え方・黒田流

キョウリン系

クローム系に狂鱗ホログラムやイエローを重ねたカラーであり、フラッシング(光の反射)が強く、ローテーションのベースとなる。特にシルバー系は一番最初に投げることが多い。クロキンやレッドはターンオーバーで水質が悪化したときや光量が乏しいときに有効だ。

クリア系

魚に与えるインパクトが小さいためスレにくく、オカッパリなど立ち位置が限定されてしまうときに起用。カラーローテーションを行なう場合は、最後に投げることが多い。

マット系

特にハイシーズン中、投げて巻くバイブレーション的な使い方がメインになるときの選択肢。魚の目線よりも上で食わせることを意識したときに有効なラインナップだ。

取材時に使用した3色

黒田「シルバー系(上/キョウリンクロギン)、ゴールド(中/キョウリンクロキン)、そしてクリア系(下/クリアワカサギ)の3カラーがあれば、リザーバーはほぼ事足ります」。ワンスポットでローテーションすることも!

年内、巻いて釣るならこの2つも必携デス!!

バンタムパブロシャッド59SP MR(シマノ)

●全長:59mm ●重量:6g ●タイプ:サスペンド ●カラー:全25色 ●価格:1,650円(税抜き)

バンタム スウェジーストロング(シマノ)

●重量:5/8oz、3/4oz ●タイプ:DW(ダブルウィロー) ●カラー:各タイプ全10色 ●価格:1,490円(税抜き)

Btバイブソリッドのほかに、出番は少なかったがシャッドとスピナーベイトでもバイトを得た。パブロシャッド59SP MRはディープフラットでのドラッギングで使用し、45cmクラスを掛けたもののボート縁で痛恨のフックオフ。スウェジーストロングはオダ狙いのスローロールでブレードバイト。どちらもディープを直撃できる強力な武器だ。