2021年テンリュウのトラウトロッド「レイズ」は3タイプが追加。レイズとともに、旅せよサクラマス釣り師たち



2021シーズン、テンリュウのレイズシリーズに追加される3本は、9ft1inのロングロッドと、オールラウンドな8ft4inレングスのスピニングロッドとベイトロッドだ。

【Profile】
佐藤雄一(さとう・ゆういち)
1962年宮城生まれ、宮城在住。団体職員。石巻シーバスフリーク代表。サポートメーカーは、バリバス、天龍、ジップベイツ、エコギア、フォレスト、ラパラ。トラウトはもちろんソルトルアーも得意とする。

レイズの9ft1inは大河川や湖の遠投スペシャルだ

広大な河川規模の追波川。この川幅なのでロングキャストできる方が有利なのは確実だ。

佐藤さんのホームリバーは北上川だ。北上川といえば、追波(新北上川)と旧北上川の2つが含まれるが、どちらも大規模な川だ。必然的に魚を釣るうえで遠投は前提になる。

佐藤「追波は川幅が200mくらいあって、フルキャストしても川の真ん中までもルアーは届きませんから、川の中央付近はルアーにスレていないサクラマスがいることになります。レイズの9ft1inは、やはり遠投を意識した長さです。ロングロッドで人より遠くまでキャストすることは、フレッシュな魚に出会える可能性を広げますから」

遠投だけが釣果への道ではないが、少しでも遠くまでルアーを届けたいと思うのは釣り人の本能だろう。そして、追波は一か所に釣り座を決めて、あまり動かずに釣る人が多い。動いてもいいのだが、ハイシーズンには釣り人が多く動きようがないというのが本当のところだ。

佐藤「30gのスプーンやジグをフルキャストできブランクパワーは必要なのですが、1日中ロッドを振っていることもありますから、長さを生かした緩やかなテーパーで、長時間振り続けても疲れないロッドをめざしました。小さな川なら長さを持て余すかもしれませんが、米代川、赤川、九頭龍など、全国のサクラマスの遡上する大河川や、湖でも実力を発揮するロッドだと思います」

スプーンを、ミノーを、ジグを投げ、魚を掛けて試される中でロッドは熟成の度合いを深めていく。

レイズ RZ912S-H シルバースケール

【スペック】
●タイプ:スピニング ●全長:2.77m/9’1″ ●継数:2 ●アクション:レギュラー ●仕舞寸法:142cm●ルアー:MAX30g ●ライン:MAX16lb/PE1.2号 ●リアグリップ長:330mm ●ティップ径:1.9mm ●自重:151g ●素材(カーボン/グラス):98/2 ●価格:58,500円(税抜き)



オールラウンドに使える8ft4inにはベイト仕様もラインナップした

ロングキャストが得意な9ft1inが大河川仕様なら、8ft4inはサクラマスロッドとして汎用性の高い長さと言える。

また、スピニングだけでなく、ベイトタックルファンの要望に応えた842Bを用意したことも目を引く。渓流でベイトタックルを使う人が激増しているが、本流でも増加しているのは事実。クラッチのオンオフでラインの放出を容易にコントロールできるので、ドリフトの釣りで有利になるというポジティブな面が再評価されれば、ベイトロッドの上はさらに高まるだろう。

レイズ RZ842S-MMH シルバースケール

【スペック】
●タイプ:スピニング ●全長:2.54m/8ft4in ●継数:2 ●アクション:レギュラー ●仕舞寸法:130cm ●ルアー:MAX25g ●ライン:MAX12lb/PE1.0号 ●リアグリップ長:315mm ●ティップ径:1.6mm ●自重:135g ●素材(カーボン/グラス):97/3 ●価格:55,500円(税抜き)

レイズ RZ842B-MMH シルバースケール

【スペック】
●タイプ:ベイト ●全長:2.54m/8ft4in ●継数:2 ●アクション:レギュラー ●仕舞寸法:130cm ●ルアー:MAX25g ●ライン:MAX12lb/PE1.0号 ●リアグリップ長:300mm ●ティップ径:1.6mm ●自重:145g ●素材(カーボン/グラス):97/3 ●価格:59,500円(税抜き)

北上川の2021シーズン

北陸の河川が沈黙する中で、2020シーズンの北上川は、秋田の米代川、雄物川と並んで例年通りの遡上、釣果が得られた。

佐藤「年によって、いい年もあれば全然ダメな年もあって、東日本大震災以降あまり良くない年が続いたんですが、2020シーズンは比較的良かった。特にサイズは良かったシーズンでした」

2020シーズンのサクラマス捕獲数は16本だったとか。

佐藤「そうです。サイズがやっぱり良くて、16本の中で60アップが10本。3月半ばのルアマガリバーさんの取材で釣ったのが、65cmともう1本が50cm台。今シーズンの私の最大は67cmでした。自分以外の魚でいえば友人が74cmっていうのを釣っているし、今年は70アップが3本出ているんです。例年なら1本出るか出ないかなんですけど」

それにしても年間16本というのは凄い数で、それだけ釣るからこそ、ロッドのテストにもなるわけですよね。

佐藤「以前にラインナップしていた8ft7inとか、プロト何本かを釣り場に持ち込みますから、16本すべて1本のロッドで釣っているかと言えば違うかもしれませんけど、サクラマスを1、2本掛けて完成させたロッドじゃないですよ(笑)」

地元にサクラマスが多く遡上する川があるという地の利、長い経験と確かな技術、釣りに通い続ける情熱。これらが揃っているからこそ、一般の釣り人にとっては「夢の」「釣ってみたい」「年に1匹釣れるかどうか」と評される魚るためのロッドの開発に携わり、試し、熟成させることができるのだろう。

名手の元で最高の形に昇華したレイズ。2021シーズンのサクラマス釣りの相棒にいかがだろうか。

65㎝、3.6㎏の大型サクラマス。カメラの前で見事なサイズが捕獲された。