いよいよタチウオシーズンも終盤戦! シーズン終盤ともなるとタチウオの数も減るが、人為的プレッシャーは相変わらず高い、そんなときにうってつけのメソッドが本場・関西にはあるとか! “ダートしすぎない”「スローワインド」とは!? 大阪湾でお馴染みの健ちゃんプロに解説して頂きました!(Text & Phito : 柳生豊志)
関西屈指のタチウオスポット「泉佐野一文字」でワインドゲーム1本勝負!
関西地方でのタチウオ人気はすさまじい。なにしろルアーで釣れて、バイトは強烈で、顔がエイリアン、調理が簡単で、食べて美味しいという、人気魚種の条件を備えすぎているのだから。健ちゃんプロもタチウオ大好きですよね。
関根「僕も大好きですよ。でも人気がありすぎて最近は難しくなりましたよねー。人気エリアには朝早い時間帯にいかないと入れないし、タチウオ自体も釣れにくくなってますね。岸釣りだとグレーゾーンも増えてきたし。
関根「なので今回は渡船で一文字です一文字防波堤って近いわりに渡船でしか行けないのでプレッシャーが少ない。そしてポイント的にいい場所に立地していることが多いんですよ。今回乗った泉佐野一文字は大阪湾エリアでは最初に釣れ始める場所で、僕の中ではタチウオシーズンの開幕の目安となる一文字なんです」
確かに渡船料も2000円ほどだし、駐車場も完備されているから気持ちよく釣りができる。
関根「あと釣り方ですね。一時期は『タチウオ釣りといえばワインド』みたいな状態でしたが、さすがに左右に豪快に飛ぶワインドは警戒されてきてますね。ですので僕が最近メインで行ってるのは、スローワインドというテクニックです。専用のジグヘッドとワームを使うワインドなんですが、リズムがゆっくりでダートも少なめ。弱い刺激で誘う新しいワインド釣法ですね」
健ちゃんプロが使用するスローワインド用ルアーがこれだ!
ラグゼ・ラウンドDヘッド(がまかつ)
スローワインド用に健ちゃんプロが開発したジグヘッド。基本的にラウンド形状だが上の2面にフラット面をもつため、シャクリ動作で軽めのダートアクションを起こしてくれる。また、ラウンド形状のため体積あたりの質量が重く、非常によく飛んでくれる特徴も持つ。シルバーと夜光の2種類で、3.5g~21gまでの7種類をラインナップしている。
ラグゼ・ワインドマスター スマートシャッド&スマートミノー(がまかつ)
上のスマートミノーはどちらかというとシャクったときにダートをして、鋭い動きのリアクションで喰わせるタイプのワーム。下のスマートシャッドはシャッドテール形状のティアドロップテールがついているのでただ巻きでもアクションする。そしてシャクればスマートミノーほどではないダートアクションをするので、派手なワインドをやりたくないときに重宝するワームである。
上画像は両方とも今回の取材(釣りどき関西vol.18)で使用したラメカラー。右はライトを当てて蓄光した状態。左はボディ内に発光体をセットした状態。通常は発光体のみで使用するが、遠くから呼びたいときは蓄光状態で使用するのも面白い。
サイズ:90mm
カラー:夜光 #4
入り数:6本
ワイヤーリーダーとトレーラーフック
タチウオのワインド釣法で欠かせないのがワイヤーフック。健ちゃんプロはワイヤーリーダーKGⅡを使用。トレーラーフックにはワインドトレーラーシングル・タイプナノ#1を必ずセットする(ともにがまかつ製)
組み合わせた仕掛け図はこんな感じ↓↓
NEWモデルの専用ロッドも発売中!
健ちゃんプロは実釣取材時において使用していたのが、今秋発売されたばかりの『ラグゼ・ワインドマスターR(がまかつ)』
ブランクスにトレカ®T1100Gと高弾性マテリアルを使用した贅沢使用の軽量ワインドロッド。L、ML、Mにはワインド系ロッドでは珍しいソリッドトップを採用し、微妙なバイトをしっかり載せられる設計になっている。健ちゃんプロが使用したのはS89L-SolidとS86M-Solid。軽量シャープで遠投性能に優れ、操作感も軽くバイトも取りやすいのだ。
取材時はまだまだ少なそう…派手にシャクって寄せる釣りで展開
岸からのタチウオ釣りは、タチウオがベイトを追って接岸してくれなければ手も足もでない。通常は暗くなればベイトがプランクトンを求めて岸に寄り、それを狙ってタチウオも接岸するのだが、それが何時なのかはそのとき次第ということになる。
関根「前日に下見したんですが、時合は20時半からと遅めでした。泉佐野一文字は22時が最終帰着便なので、時合が遅ければ結構ギリギリになるかもです」
関西国際空港の向こうに日が沈むとSTARTワインディング。風下に向かって軽めのロングキャストをして、あまりカウントダウンせずにスローワインドで探っていく。健ちゃんプロのシャクリを見ていると、以外に大きいアクションだ。
関根「まだ今は本当のハシリのタチウオなので、昨日の手応えではそんなに数がいない感じでした。なので派手めにシャクって遠くからタチウオを寄せるイメージです。ワームも波動の大きいスマートシャッドメインでいく予定です」
取材時はシーズンも初期の9月。まだまだ湾に入っているタチウオの数も少ない状況。スローワインドで大きめなのはアピール力を高めるためなのだ。
スローワインド釣法は2つのシャクリ方をマスターすべし!
スローワインドアクションの場合
これはいわゆるワインド釣法であるが、ダート幅の少ないジグヘッドを使用することが前提。そしてワインドアクションのピッチ(タイミング)が少し遅く、シャクったあとに少し間を入れてしっかりとカーブフォールさせるのが特徴。ダートでリアクションバイト、というよりも直後のフォールで喰わせるイメージだ。スマートミノー向きだが、スマートシャッドでも面白い。
スイミングスローワインドの場合
こちらもスローワインドの亜流アクションとなる。細かいピッチでシャクってリールは巻き続ける。それをゆっくりとしたテンポでやるのがスイミングスローワインド。スマートシャッドでの使用が向いている。
タフなときほど実践する価値あり!
スローワインドにスイミングワインドを織り交ぜながらアクション、群れが入ってくるのを待つ。すると…
関根「きました!」
19時20分、待望のファーストヒット!ロッドはあまり曲がっていないが、タチウオ感はあるようだ。抜き上げると指2本半ほどの小型のタチウオだった。
関根「今年はすごくサイズが小さいんですよ。でもとりあえずボーズは逃れました。よかった…」
ヒットルアーはスマートシャッドにDラウンド14gシルバーヘッド。台風前の強風下のコンディションとあり、実はかなり釣果的には心配していたのだ。ここから釣れ続くかと思われたがパタリと止まり、次にヒットしたのはなんと21時15分。2時間近く間が空いた。
関根「いやー、本当に群れが小さいんでしょうね。波もあってコンディションが悪いので、これでもよかったほうかもしれません。渡船が迎えにくるギリギリまで頑張りますよ!」
その言葉通り、21時40分に同じサイズをもう1尾追加することができた。帰りに同船した釣り人に釣果を聞くと、同サイズを1人2尾平均だった。
今年のタチウオは関西においても、シーズン開幕してからも苦戦する状況が続いている。しかしこの「スローワインド」であれば厳しい状況を打破することが可能だ。
関根「スローワインドは反射喰いも誘えるし、ただ巻きでも食性に訴えられるという両面性を持っています。なので組み合わせやアクションを工夫することで意外にバイトが長く続く釣りなんです。渋い今こそスローワインドの持ち味が生きると思いますよ」